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仕組み化は創造性を破壊するか?

はじめに

「仕組み化」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?

多くの人々にとって、仕組み化は効率と秩序を象徴する概念かもしれません。
一方で、この概念は時に、創造性や個性とは対立したものと見なされがちです。

しかし、実際のところはどうなのでしょう?

音楽、芸術、科学。さらには、経済や資本主義の中… 考えてみれば、創造性が最も際立つのは、そもそも仕組み化された構造の中でです。

では、仕組み化された環境がどのようにして私たちの創造的な思考を引き出し、拡張するのでしょうか?

このブログでは、仕組み化が単なる制約ではなく、創造性の新たな扉を開く鍵であることを探求してみたいと思います。

仕組みが創造性に及ぼす2つの影響

1.型としての仕組み

仕組み化は、型としての機能を持ちます。

「型」という言葉を聞くと、何を想像しますか?
一見すると、型は創造性の敵のように見えるかもしれません。

しかし、仕組み化された「型」は、実は創造性の強力な触媒です。

たとえば、日本の伝統的な概念「守破離」を考えてみましょう。

これは、まず「守」で基本を学び、「破」で既存の型を打ち破り、「離」で独自のスタイルを確立するプロセスを意味します。

基本的なルールや技術(「守」)を学ぶことで、それらを超越し(「破」)、独自の創造性(「離」)を発揮する…

ここでは詳しく述べませんが、知識創造のプロセスを表したフレームワークであるSECIモデルもここに通じるものがあります。

つまり、型は創造性の発展を制限するのではなく、むしろその発展を促す基盤であり触媒なのです。

2.時間と精神的余裕

仕組み化は効率化や最適化を通じて、時間的・精神的余裕を生み出します。この余裕が創造性を発揮しやすくするための重要な要素です。

こちらはイメージがし易いかと思いますが、この余裕があることで、私たちは新しいアイデアを考えることができ、それらを実現するための時間を持つことができます。

また、仕組み化によって日々の作業がスムーズになることで、創造的な活動に集中できるようになります。


これらの点から、仕組み化は創造性を制約するのではなく、むしろ創造性の発展を支援し、新たな可能性を開くための重要な役割を果たしています。

では、それぞれ、具体的にどのような事例があるのか?
下記で見ていきたいと思います。

具体例で見る仕組み化と創造性

型として機能する仕組みの例

  1. 音楽制作の構造化されたプロセス: 作曲家やプロデューサーは、特定のコード進行やリズムパターンを用いながら、創造的な旋律やリズムを生み出します。このプロセスは、ジャズやクラシック音楽の領域で特に顕著で、既存の音楽理論を基にして新しい作品を創造します。これは、まさに固定された「型」の中で創造的な活動が行われることの例だと言えます。

  2. 料理のレシピ開発: 世界中のシェフたちは、基本的な調理法や既存のレシピを土台として、独創的な料理を創り出します。たとえば、伝統的なフランス料理の技術をベースに、新しい食材や調理法を取り入れた革新的な料理が生まれたりします。これは、定められた「型」を超えて、新たな味覚体験を創造する例です。

時間や精神的余裕を生み出す仕組みの例

  1. Googleの20%ルール: Googleでは従業員に対して、勤務時間の20%を自分の関心プロジェクトに費やすことを奨励しています。これは、ダイレクトに時間を生み出すことを目的として仕組みが運用されている例ですが、このアプローチにより、従業員は日常業務から解放され、自由な発想ができるようになります。実際、Gmailのような革新的な製品が誕生しました。(3Mでは同じような運用を行い、ポストイットも生まれています。)

  2. アジャイル開発: ソフトウェア開発におけるアジャイルメソッドという仕組みは、柔軟性と継続的な改善を提供しています。短い開発サイクルと頻繁なフィードバックにより、開発チームは迅速に新しいアイデアを試し、改善することができます。このプロセスは、創造的なソリューションを迅速に開発し、市場への適応を加速させます。

  3. ポモドーロ・テクニック: この時間管理法では、25分間の集中作業と5分間の休憩を交互に行います。集中とリフレッシュを繰り返すことで、創造的な思考を促進し、疲れを軽減します。これも仕組みの一例と言えますが、このテクニックを行うことで、長時間の作業においても、創造性と生産性を維持するのに役立ちます。

結論

以上で見てきたように、仕組み化は創造性を制限するものではなく、創造性を支援し、拡大する重要なツールです。

型を理解し、それを超えることで、私たちは創造性の新たな領域に踏み込むことができます。

また、仕組み化によりもたらされた時間的・精神的余裕を利用することで、より創造的な活動を行うことができるようになります。

このように仕組み化は、決して創造性を壊したり否定したりするものではなく、新しいアイデアや解決策の発展を支援する土台となります。

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