【２０２１年夏　那覇市議選のすすめ】畑井モト子さん〔下〕　仲村之菊

　いよいよ７月１１日投開票の那覇市議会議員選挙が明日４日に公示される。
　本誌読者の多くは、沖縄の選挙への関心が高いものと思う。今回も激戦が予測されている那覇市議選だが、期待の立候補予定者であるはちさんこと畑井モト子さんを紹介したい。
　前回は、なぜ私が畑井さんを応援するのか、あるいは畑井さんを通して見えてくる今後の希望や展望、そして私の畑井さんへの率直な思いを述べた。
今回は、畑井さんの選挙運動などを紹介し、この連載を終わりとしたい。
　はじめに、前回も紹介したことだが、畑井さんについてよく知っていただくため、あらためて畑井さんのプロフィールを紹介する。

●１９８０年奈良県生まれ。２００９年から現在まで那覇市在住。
●大阪モード学園ファッションデザイン学科卒業。セクシャルマイノリティー、ＬＧＢＴ当事者。
●現在の職業はＴＰ・Ｗｅｂデザイナー。資格は動物福祉検定初級。
●２０１４年より任意団体「ＴＳＵＮＡＧＵ　ＯＫＩＮＡＷＡ」を設立し、犬猫の殺処分ゼロを目指す活動を始める。犬猫を取り巻く現状を知ってもらうため、フリーペーパー「つなぐマガジン」を年２回発行。
●また、犬猫の譲渡を行うイベント「つなぐフェス」を毎年開催し、動物好き以外の人にも興味共感を広げ、地域の繋がりも生み出している。
●沖縄県内の動物愛護団体で構成されている「一般社団法人　琉球わんにゃんゆいまーる」の代表理事も務め、地域住民と共に飼い主のいない猫（野良猫）のＴＮＲや保護、譲渡活動を行ないながら、自治体や行政への要請や提言、並びに講演会などを行っている。
※ ＴＮＲとは、Ｔｒａｐ Ｎｅｕｔｅｒ Ｒｅｔｕｒｎの略。野良猫を捕獲し、不妊・去勢手術を行なった後に、元の場所へ戻すこと。
●２０２０年より那覇市の商店街の有志３人と共に、商店街に活気を取り戻そうと「マチグヮーストア」をオープンする。「マチグヮーストア」は商店街の商品を手軽にネット注文が出来るオンラインストアとなっているため、ユーザーが便利なだけではなく、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、商店街から客足が遠のく状況に、わずかではあるものの困窮回避に繋がればと考えたそうだ。
●幸せを感じる瞬間は、いうまでもなく猫とゴロゴロしている時とのこと。

　現在、畑井さんは、目前に迫る公示日から投票日にかけてのボランティアを募集し、同時に地域の清掃活動やラジオに出演するなどして多忙を極めている。
　今回の選挙に向けての畑井モト子さんの拘りは、

●電話勧誘しない
●選挙カーで街宣しない
●大音量で街頭演説をしない

というものである。
　無所属新人での立候補予定ということもあり、ボランティアのほとんどが畑井さんの友人・知人で構成された後援会の人たちであるが、公職選挙法違反に少しでも触れるような事前運動は控えている。その一貫性は素晴らしいチームプレーを生み出し、一市民から見る「不快に思う選挙」を一掃する光景となっている。
　那覇市議会選挙のポスター掲示板は、立候補者多数を見越して７５番まで記されている状況だが、議席は４０となっており、知名度を上げるには時間が足りず、現実は厳しいというのが率直なところである。しかし、こうした畑井さんの拘りは、次の選挙だけではなく今後のどの選挙にもなんらかの影響を与えるのではないだろうか。長いスパンで考えれば、とても有効なスタイルだろう。
　それでいて昨今のネットやＳＮＳを駆使した選挙のあり方とも違い、活動の中心を清掃活動に置いている。地域のゴミを拾い、拾い集めたゴミを分別、洗浄して処分している。これも市民目線の「こんな人が市議だったらいいな」という思いの反映だろう。
　先日、勝手連としてボランティア募集の説明会に参加したが、そこで畑井さんはこのように仰っていた。
　力及ばない部分はあると思うが、わたしはわたしを助けてくれた多くの沖縄の人達やマチグヮーの人たちに全力で恩返しをするとともに、ＬＧＢＴＱで苦しんでいる人がいたら助けにもなりたいし、犬猫の多くも救いたい。
そうしたことをぜひ実現出来るように応援したいのだが、コロナ禍の現状を鑑み、沖縄行きは断念した。大事な時になにかあってはならないと考え、断腸の思いでそう決断したものの、何もできないことは憚られるので、誰かの目にこの記事が触れて、那覇市政を考えるとともに、貴重な支援となることをせめても期待したい。
　説明会参加者の中には、「畑井モト子さんが市議になってくれたら、本当に市政は変わるし、生きる希望になる。」といった人もいた。また、猫ボランティアを七年している畑井さんならではの説明会だと感じたことは、Ｚｏｏｍ参加者の画面に、猫があちこちから登場することだ。終始和やかな雰囲気で開催された説明会では、笑いが多く、日常の畑井さんの人柄を伺わせるものがあった。
　現時点で決まっている予定は、７月４日（日）から１０日（土）の午前８時から午後８時まで、清掃活動を通して那覇市内を歩くとのこと。参加を希望する方は、ぜひ火器の本人のホームページやＳＮＳなどに問い合わせをしてほしい。
　以上をもって、那覇市議選挙のすすめは完結となる。全国からの注目と応援を宜しくお願いする次第である。なお選挙の結果については、次号で「２０２１年夏　那覇市議選挙を振り返る」として報告する予定である。

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【執筆者：仲村之菊、「神苑の決意」第５６号・第５７号合併号より】