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「好きなもの」について、全てを知っておかねばならないのだろうか

百舌野


上記投稿は「最新作への熱狂」についての問題提起をしているが、そことは別にこの考えを見て思った事がある。

コンテンツに限らず、どんなものでも「これがめちゃくちゃ好き」っていう人は必ずいると思う。
それはアニメ作品だったり、アイドルグループだったり、ドラマシリーズだったり、食べ物だったり、鉱物だったり、車だったり、この世に存在する全てのものが誰かの「好き」の対象になり得てて、好きであればあるほど、それに対しての造詣が深くなったり心を動かす原動力になったりしている。

でもなんか、暗黙の風潮というか、「好きなら詳しくないといけない」「好きならそれに関わる全てを網羅してないといけない」みたいな考えが薄らと多くの人に伝播している気がする。
そんなに気にしなくてもいい事なのに、一種の強迫観念のような何かが心を蝕んでしまい、好きだった筈のものに触れる気力が磨り減ってしまう人って少なくないんじゃなかろうか。
実際、私はそうだった。

アイマスシリーズにハマり始めた頃、夢中で色んなブランドに触れて、色んなアイドルを知り、色んな曲を知り、色んなコミュ(物語)を知った。
しかし、如何せん全てにおいて数が多過ぎるので一気に追い切れない事に焦りを感じ始めて気力が萎んでいく感覚が押し寄せてきてしまった。

人によっては「じゃあそこまで好きじゃないのでは」とか「本当にハマってたら夢中で全部漁るでしょ」とか思うかもしれない。それはそれでその人の考えなので否定は出来ない。
実際的を射ている部分もあるだろうし。

でもこちらとしては「好きだからこそ『全部知ってる状態』が欲しいのに中々それが叶わない」という点に意識が向いてしまったのだ。
そうなってしまったが最後、純粋にコンテンツを楽しむことは難しくなってしまう。

そんな中、アイマスオブアイマス、原点にして頂点である天海春香役の中村繪里子さんが9thライブで放った言葉を知った。

今一番言いたいのは、春香が教えてくれた「考え方は、それぞれでいいと思う」志保に、映画の中で言った言葉なんですけど、

アイドルマスターという大きな作品に、皆さんがいろんな形で関わってくださって、それに向き合う形、考え方、思い、行動、本当にそれぞれでいいと思います。今日ここに来てくださることも愛情ですし、ゲームを通して私たちをプロデュースしてくれることも嬉しいですし、その先に私たちを見て、私たちがバカみたいなおしゃべりをしたり、ちょっと可愛いところを見せて恥ずかしがってみたり、というラジオに触れてくださることも嬉しいですし、もう本当に数限りのないアイドルマスターに、皆さんと一緒にこれからも出会っていけること。

プロデューサーさんとお呼びしているけれども、どうでもいいんです。みんなが、いてくれれば。

プロデュース活動の形は本当にどうでもいいんです。みんながいてくれることが、私にとってのプロデューサーさんだから。

だから、これからもアイドルマスターのために、どうか皆さん、いてください。
これからもよろしくお願いします

文字起こしを勝手に拝借してきて非常に恐縮ではあるんだが、この言葉を知った時、私に伸し掛かっていた肩の荷が一気に降りた気がした。

どんな形であれ、アイマスを好きってだけで自分はプロデューサーと名乗っていいんだな、と赦された気がして、とても気持ちが楽になった。

その後はゆるゆるとシャニマスをメインにプロデュース業を続けている。なんなら今は学マスに力が入っている。たまにミリシタやデレステも覗く。SideMのコミュも読む。そんなサイクル。

話を戻すと、「圧倒的な熱量」を持ってなくても好きなものは好きでい続けていい筈だと思っている。もちろん、熱量が高ければ高いほどより楽しめている事は間違いない。

冒頭の投稿についても、最新作のコンテンツに熱狂的になったり沼にハマっている人ほど楽しく感じてるんだろうけど、程々に楽しんでも全然ええやんけ、と思う。
フリーレンもダンジョン飯もガールズバンドクライも、「面白かったなぁ〜」ぐらいの感想を持っても何もおかしい事はないと思うよ私は。

でもまぁ、それとは別に「好き」が強い人ってすげぇよなぁ。他者にその気持ちを強要するのは間違いだけど、自分だけの世界で自分だけの「好き」を愛で続けているってめちゃくちゃ格好良いと思う。
無理に勉強とかしなくても好きってだけでそれに関する知識は増えていくし、造詣も深くなっていく。新作が出ればテンションが爆上がるし、それの為に頑張れる事も増えるんだろう。
人生が楽しくなるためのエッセンスを無限に吸収し続けられるって相当凄いことだと思う。

なんか半分くらいアイマスの話になっちゃったけど、「好き」の在り方は自由でいいよね、っていう話。
色んな人の「好き」を尊重していきたいもんですわ。

おわり。

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