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米国市場:10/18週の振返りと10/25週の予定

市場概況
今週の主要株価指数は、10月に入ってからの上昇幅をさらに拡大しました。決算シーズンの内容がコンセンサスを上回るものが多かったためと考えます。ただ、決算を発表した企業からはサプライチェーンの混乱や輸送、材料コストの上昇に関する話題が多く出されています。少なくともこれまでに発表した企業はコスト面を予想以上にうまく管理しているようですが、コスト上昇圧力を緩和するために価格を引き上げるという話も多く聞かれました。
 週間失業保険申請件数が再び30万件を下回ったことなどから、10年債利回りは上昇して終了しました。

10年債利回りは1.655%で終了しました。
金価格は1,800ドル手前で終えています。
WTI原油価格は1バレル83ドル前後で推移しました。

米国経済
10月18日(月):
9月鉱工業生産指数(前月比)は-1.3%と予想の0.2%増を下回りました。8月の修正値は-0.1%でした。
特に製造業では-0.7%となりました。自動車が-7.2%と半導体不足などの要因で大きく落ち込んでいます。
Source:FRB
10月19日(火):
9月住宅着工件数が前月比-1.6%の155万5千戸と、8月の修正値158万戸、予想161万5千戸を下回りました。前年同期比で7.4%増加しました。
9月建築許可件数は、前月比-7.7の158万9千件と予想168万件を下回りました。前年同期比で±0%でした。
Source:USCB
10月20日(水):
10月21日(木):
10月9日週の新規失業保険申請件数は29万件と、予想の29万7千件を上回りました。前週の修正値29万6,000件から6,000件減少しました。
なお、4週間の移動平均値は31万9,750件となり、前週の修正値33万5,000件から減少しています。
Source:DOL
10月22日(金):

原油
今週は、原油価格が7年ぶりの高値となる1バレル82ドルを超えた状態で始まり、週中までは上昇しましたが、週末まで大きく上昇することはありませんでした。しかし、米国の供給は依然として逼迫しており、EIAの水曜日のデータでは、原油在庫は前週比3,120万バレル減の4億2650万バレルで2018年10月以来の低水準となりました。
 中国は、石炭価格の上昇により国の大部分で電力不足を引き起こしている価格高騰を冷やすために介入する可能性があることを示唆しました。報道によると、中国は発電所が冬の暖房シーズン前に備蓄を回復できるように、鉱山会社に石炭生産の増強を促し、輸入量を増やしているようですが、それでも少なくともあと数ヶ月は石炭不足が続くと予想されています。
 エネルギー価格は、投入コストや輸送コストだけでなく、個人消費にも影響を与えるため、引き続きその動向を注視したいです。

株式
今週は、S&P 500種構成銘柄の約23%が四半期決算を発表しましたが、まだ約4分の3が残っています。
企業の決算については、来週はアップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOG)、フェイスブック(FB)などの大手ハイテク企業の決算が目白押しです。また、キャタピラー(CAT)、ボーイング(BA)、コカ・コーラ(KO)、マクドナルド(MCD)などが出ることになっており、経済の状況を確認する上での材料も出てきます。
 例年通り、決算を発表する企業は日を追うごとに多くなってきており、28日(木)がピークになる見込みです。今週末には、S&P500の構成銘柄の半数以上が決算を発表することになり、4Q決算への期待がどのようになっていくのか伺うことができると思います。

来週の主な決算発表(予定)
10/25(月):
<寄付き前>Kimberly-Clark (KMB), Restaurant Brands International (QSR).
<引け後>Celestica (CLS), Facebook (FB), Packaging Corp. (PKG)
10/26(火):
<寄付き前>M (MMM), Corning (GLW), Lockheed Martin (LMT), Raytheon(RTX) , Sherwin Williams (SHW), UPS (UPS), Waste Management (WM)
<引け後>AMD(AMD), Alphabet (GOOG), Digital Realty Trust (DLR), Hawaiian Holdings(HA) , Inc.Microsoft (MSFT)
Twitter(TWTR), Texas Instruments (TXN), Visa (V).
10/27(水):
<寄付き前>Boeing (BA), Bristol-Meyers (BMY), Coca-Cola (KO), General Dynamics (GD), General Motors (GM), McDonald's (MCD), Norfolk Southern (NSC).
<引け後>CyrusOne (CONE), Driven Brands (DRVN), Ethan Allen (ETH), Ford Motor (F), ServiceNow(NOW), Twillio(TWLO), United Rentals (URI), Yum China (YUMC).
10/28(木):
<寄付き前>AGCO Corp (AGCO), American Tower (AMT), Anheuser Busch (BUD),Caterpillar (CAT), Hershey Foods (HSY), Mastercard (MA), Northrop Grumman (NOC), Shopify (SHOP), Yum! Brands (YUM).
<引け後>Amazon (AMZN), Apple (AAPL), Starbucks (SBUX), Atlassia (TEAM)
10/29(金):
<寄付き前>AbbVie (ABBV), Church & Dwight (CHD), Chevron (CVX), Colgate Palmolive (CL), Exxon Mobile (XOM).
<引け後>N/A

米国の主な経済指標
10/25(月):
10/26(火):新築住宅販売件数
10/27(水):耐久財受注(前月比)(速報)
10/28(木):新規失業保険申請件数、2021年第3四半期GDP
10/29(金): PCEコアデフレータ、個人所得・消費支出

今週の着目点
 27日(水)には耐久財受注の最新情報が発表されますが、今回、注目すべきは2021年第3四半期の国内総生産の最初の数値です。
 ここ数週間、シティバンクのエコノミック・サプライズ・インデックスはマイナスの値を示しており、経済データが予想を上回ったというよりも予想を下回ったことを示しています。また、多くの人が経済再開の勢いが弱まると予想しており、エネルギー価格の高騰や中国での製造業の抑制、サプライチェーンの課題など、世界経済に影響を与えている現在の問題が影響がどのようなものなのか引き続き注目します。
 29日(金)には9月の個人所得・支出が発表されます。アドビが発表した2021年のホリデーシーズンのデジタルショッピング予測では、今年は例年よりも早く消費者が行動を起こすとされており、消費者の購買力がどの程度あるのかを把握しておきたいです。8月のデータでは、実質可処分所得は0.3%減、米連邦準備制度理事会(FRB)が推奨するインフレ指標である個人消費支出価格指数は前年比4.3%増となり、30年ぶりの高水準を記録しました。
 再来週には、FRBのテーパリングとその規模について、市場に動揺が走るかもしれません。


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