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『人狼ゲーム』の中毒性とその欠点について


人狼ゲームの中毒性について

人狼が持つ中毒性の源泉には下記の3点があるように思う。

  • 様々な人と会話しながらのチーム戦(=コミュニケーション)

  • 戦略や勝ち筋、役割分担などで頭を使う(=知的ゲーム性)

  • 経験によるプレイスキルの向上(=経験学習)

これらが組み合わせることにより『人狼』は知らない者同士が急速に仲良くなり、どっぷりハマらせる仕組みが内在的に存在する。

それによって他のボードゲームより一歩抜きん出て、それ単体でゲーム会やコミュニティが成り立つ1つのジャンルにまで広がったのだと思う。

人狼ゲームの持つ欠点

一方で、人狼というゲームそのものが持つ欠点としては下記の3点があげられる。

  1. ゲーム序盤から脱落者が出て手持ち無沙汰になる

  2. ゲームのルールや専門用語、セオリーが多い

  3. 同じレベル感の人同士でやらないとゲームが成立しにくい

「ゲーム序盤から脱落者が出て手持ち無沙汰になる」のは人狼というゲームの基本ルール上、仕方ないことで、それを補う正体隠匿系の陣営勝負で面白いゲームには『レジスタンス』『シャドウハンターズ』『タイムボム』『お邪魔者』『ブラッドバウンド』『ギャングスターパラダイス』などがある。

また、「ゲームのルールや専門用語、セオリーが多い」と「同じレベル感の人同士でやらないとゲームが成立しにくい」ことによって生じる初心者と経験者、感性派と理論派、ライト層とコア層による軋轢の問題も根深く大きい。

遊ぶ人同士のマナーや配慮の問題も正直大部分を占めるが、この争いや衝突が面倒で人狼が嫌いになったり、離れたりする人も多いのではないだろうか。

人狼の欠点についてのよくある解決策

解決策として、よく提示されるのが下記の2つのアプローチである。

  • 「すみわけ」

  • 「初心者歓迎」

「すみわけ」

「すみわけ」では経験者や上級者はその人達だけで、初心者は初心者達だけがクローズドなコミュニティを作り、メンバーを厳選して村を行うアプローチである。

これは最も有効な解決策だけど、いかんせん閉じた集まりのため、メンバー自身の環境や趣味の変化により縮小、消滅してしまう未来が予想されるのが難点。

「初心者歓迎」

「初心者歓迎」では暴言を禁止したり、用語・セオリーを分かりやすく説明することで未経験者を優遇・優先し、やわらかく温かいコミュニティを志向する。

多人数を必要とする人狼ゲームにおいて「初心者歓迎」はコミュニティを維持するのに絶対必要な施策だけど、過度になると激しくも論理的な推理と議論をしたいコア層の人達が離れるおそれもある。

人狼の基本ルールを変更する解決策

「すみわけ」や「初心者歓迎」という解決策だけではなく、人狼という基本ルールそのものに変更を加えるアプローチもある。

『ゴリラ人狼』

  • 最初ウホしか言えず、ジェスチャーも指差しやドラミングに制限

  • 吊られても遺言で話せる言葉残せるから楽しい

  • その結果、理論や初心者・上級者の経験差は関係なくなる

という『ゴリラ人狼』のようにパーティーゲームに全振りの方向性がまず1つ。

『マーダーミステリー 』

  • 陣営(犯人・探偵)勝利以外に各自に秘密や個人目標がありキャラ設定になりきる

  • 途中脱落はなく、情報が分散され密談や全体議論を通じて世界や殺人の謎を解き明かす

  • 1回きりの体験にすることで初心者・上級者の経験差は少なくなる

という『マーダーミステリー』のように一度きりのドラマチックな物語性を付与する方向性もある。

それと、配役非公開から進んでいき、マダミスと同じく1度きりでストーリー性のある『パンドラの人狼』もその物語性と論理性の高さから個人的には推したい。

まとめ:これからのゲームデザイン

どうしても対人コミュニケーションゲームの楽しさ・面白さは「人」に依存するものだけど、「ルール」によって遊ぶ際の心理的安全性を確保つつ、楽しさのガードレールを作っていき「コミュニティ」が生まれやすくしていくのも今後、広義の「ゲームデザイン」になってくるだろう。

そうでないと数多くのアナログ&デジタルゲーム、趣味、エンターテイメントと比較して自分の大切な時間を使おうとはならない。逆に「コミュニティデザイン」も含めてゲームやその周辺に盛り込まれていればより遊ばれやすくなる。

個人的には人狼がアナログゲームに触れるきっかけになったので、シンプルな人狼も盛り上がってほしいとは思いつつ、新たな形の人狼進化系のゲームもぜひ遊んでみてほしい!

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