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狼人間の挽歌 怪物たちの夜【詩】

狼人間は言った
あなたは
私が本当に殺戮を繰り広げたと
そう思っているのですか

私は答えた
皆がそう言っています
私が直接見たわけではありませんが

しばらく
沈黙の時が流れ
ただ月光だけが時の後押しをした

真正の狼人間とは

やがて
彼の口から漏れ出た言葉は
実に意外なものだった

私一人です
私に眷族などいない
世界中で殺戮を繰り広げている
狼人間とは
人間よ
あなたの一族なのです

狼人間は怪物
怪物は狩られねばならない
狩人たちは
深夜の街路を
深く暗き闇の森を
寂れ果てた古城を
私の姿を求めてさまよい歩いた
もう数千年も昔からです
怪物を狩る者たちは
そうして
殺していったのですよ
同族たちに狼人間の嫌疑をかけて
何人も何百人も何千人もの
罪なき罪人を

深夜の街路で
深く暗き闇の森で
寂れ果てた古城で
狂った月の光に照らされて
怪物を狩る者は
いつしか怪物へと成り果てました

そう
あなたのように

月の光はまた沈黙をつくった

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