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捨て奸(sutegamari)【詩】

命を
何の未練も無く
なんなら進んで擲つ男たちがいた
主君を逃がす盾となるために
それが捨て奸
四百年以上前
天下分け目の一戦での逸話

似たようなことはいつの時代にもあって

百五十年以上前の近代国家黎明期
命を
理想のために擲った男たちがいた
彼らは
新国家実現を夢見て
文字通り命をかけた
理想とする国作りのためなら
自分の命が失われることも躊躇しない
そんな男たち
独りよがりの狭量な思想だが
己の信じるところに依って
国中を縦横無尽に駆け回り
命を取り合い
命を落とし
それで良しとした
多くが
無駄死に
世界を変えることに
いささかの影響も与えないところで
命をためらわず差し出し
あっけなく死んだ

八十年近く前の大戦末期
戦略的に何の価値もない策で
爆弾を積んで敵艦に体当たりする男たちがいた
ここでも命は紙屑のように消費され
火をつけた紙屑のようにあっけなく燃え尽きた
己が生きることより
命をこうやって使うことで
国を守る 
大事な人を守る
そう思ったから命を使うのか
そうせざるを得ない状況だったのか
負けは明らかなのに
多くは体当たり前に撃墜されたという
全くの
無駄死に
世界を変えることに
いささかの影響も与えないところで
命をためらわず差し出し
零になることも厭わず
あっけなく死んだ

いつの時代にも現れる
捨て奸の男たち
命の使いどころを知っているのか
知らないからこそなのか

あなたは
命をどうしたい?

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