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かぜに吹かれて【詩】

かぜが
春先からずっと
世界中で吹いている
吹き続けている
吹き荒れている

ながびくかぜだ
いまだ吹きやまぬかぜだ
かぜに吹かれて
かぜに吹かれて
たくさんの人が連れていかれた

神様の寄こされたかぜだろうか
吹かれていった人々は天国に召されたろうか
そんなことを気にしているひまもないほどに
のこされた人々はいそがしい
地に足つけてかぜに吹かれまいと
かぜに吹かれた人々を引き戻そうと
けんめいに

一方で
かぜに心だけを吹きとばされた
人々もいそがしい
何しろ心を持って行かれたから
たましいをきずつけずにはいられない
かぜに吹かれた人々のたましいを
引き戻そうとけんめいな人々のたましいを
きずつけている間だけは たましいが安らげるから

かぜは吹き あばきだす
人のみにくさを

かぜが吹きやんだとき
心をもっていかれた人々は
恥じ入るのだろうか
たましいを傷つけたそのことを

ああ それは無理なのだ
心がないから
そもそも最初から
心がなかったのかも知れない

かぜに吹かれたあとも
世界は続く
傷つけた者と傷つけられた者を
のこして
何もなかったような顔をして
世界を続けていく

吹きとばされてしまえばいいのに

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