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チュリュ風帽子編み日記

去年の冬ごろ、職場の手芸を楽しむ仲間たちは帽子を作っていた。
わたしも一緒に作らないかと誘われていたのだが、かたくなに断っていた。
棒針編みには、良い思い出がなかったからだ。というか、なにかモノが出来上がった試しがない。
糸をゴミにする作業でしかなかったので、みんなが楽しそうに帽子を編んでいるのを横目に、秋から始めたタティングをひとりでしていた。

タティングレースは力加減が割と勝手に一定になるので、わたしには向いていた。今まで不器用だと思っていたけど、普通くらいかもしれない。
タティング以外にも、できたものを色んな人に見せては褒めてもらい、自信がついてきた。
わたし、そんなに不器用じゃないかもしれないぞ!丁寧にさえやれば、なんだってできるのかもしれない。
むくむくと湧き上がった自信を胸に、棒針編みだってできる気がしてきた。
そう、ほんとはわたしだって、みんなと一緒に帽子を編みたかった。
それに、やるなら教えてくれる人が職場にいる今だ、と気付き、一念発起して、帽子編むことにした。
これは、そんなわたしの編みもの日記である。

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9月初旬
まずは、どんな帽子を編みたいか考える。
大好きなみんぱく(国立民族学博物館)のアメリカ展示場にあるチュリュという帽子をイメージした帽子を編むことにする。

カラフルな三角帽子たち。

また、模様の図の作成をどうしようかと思っていたところ、このあいだ観覧しに行った奈良博の特別展「奈良博三昧」の限定ノートが方眼紙だったので、購入。デザインを考える。

めちゃくちゃ良い展示でした。


9月14日(火)
職場の人に糸見本帳を貸してもらい、糸の色を決める。
たくさんあって、悩ましい。
ジャミーソンズのスピンドリフトという糸が、編み込み向きの糸とのことだったので、言われた通りの糸から選んだ。

9月15日(水)
糸が届く。はやい!

9月18日(土)
輪針というものを買う。
とりあえず編んでみる。

9月22日(水)
何目で何cmになるかとか、模様の出具合とかを確認するために、ゲージというものを作ると良いらしい。
16目で4.5cmになった。
これをもとに、帽子の編み始めを196目にした。

柄は適当オリジナル。


9月26日(日)
帽子を編み出す。
天気も良いのでベランダで。

9月27、28日(月、火)
初めてのことは楽しいので、どんどん進む。

9月29日(水)
1段、編み込みの柄の目を間違えたので、編み直す。編むよりも戻す方が大変なのだと学ぶ。

10月3日(日)
生駒山に登る。良い天気の中、山頂で少し編む。昼寝のときに裸足になっていたので、足の甲を虫に刺された。

大阪平野を望む。

その晩、編み進めた帽子がメビウスの輪になってしまっていることに気が付く。
なんでやねん!!!と叫ぶ、夜10時。

メビウスっているのがわかるだろうか。

〜しばらくヤル気を失う。〜

10月14日(木)
「ニッターズハイ」という編み物男子たちの青春マンガの存在を手芸仲間に教えてもらう。さっそく読んで、やる気を取り戻す。
ようし!わたしもやってやるぜ!
と意気込んでいたが、3段編んだところで針が折れた。なぜだ。

10月17日(日)
再び針を買う。
針折れ防止のために、ゆるく編むことを意識しつつ、メビウス防止のために確認しながら編み進める。

10月19日(火)
昼休みに職場の手芸仲間たちに進捗の報告。
そこで再びメビウスになっていることが確認される。
………やってらんねー!!!
傷心のわたしを慰めながら、仲間たちがほどいた糸を巻き取ってくれた。

10月21日(木)
編みものが得意な人からアドバイスをいただき、メビウスにならないようにできることは全てやることにした。
編み目マーカーをつけ、編めた部分の端にクリップをはさむ。そして、1段できるごとにメビウスになっていないか確認する。

めんどくさいけど、大事。

10月22日(金)
職場の手芸仲間たちに、編み直した方が前より上達してきれいに編めるとさんざん慰めてもらったが、確かに前よりもきれいに編めている気がする。

10月25日(月)
少しずつでも毎日編み進める。
えらい。

10月28日(木)
これはメビウスになっていない…!!!
ついにどうしてもメビウスってしまう現象から抜け出せた……!

11月1日(月)-11月3日(水)
メビウスになりようがないところまでいけばもうこっちのもんだと、どんどん進める。

11月10日(水)
輪針の長さよりも短くなり、マジックループという技法を使わないといけなくなる。
部員に教えてもらいながら、ついにてっぺんまで編み終わった!

11月11日(木)
昼休みに、編み物上手な職場の人にてっぺんの閉じ方と、耳の付け方について説明を受ける。家に帰って早速やってみる。減らし目テキトーすぎて、てっぺんの先の方がねじれてるのはご愛嬌。

11月13日(土)
順調に耳の部分を編み進めていたはずが、途中から伸びてしまった。なんでや。

11月14日(日)
ほどかないといけないことはわかっているのだが、嫌すぎて放置。

11月15日(月)
職場の手芸仲間から叱咤激励をもらい、やる気を出す。
わかりました!頑張ってやり直します!

11月16日(火)
ほどいて減らし方を変えて編んでいく。

11月17日(水)
ガタガタやけど、片耳完成!

11月18日(木)
もう片方も完成!

糸始末の前に、人生で初めてスチームアイロンをした。
アイロンからすごい音がしてたけどやり方あってたんやろか…。

11月19日(金)
何色もの糸を使用したので、糸始末めんどくさすぎる。
終わらない。

11月23日(火·祝)
職場の手芸仲間たちと集まって持ち寄り手芸活動をおこなうことに。
この機会を逃さず、糸始末を完遂!!!
さらに、かぎ針で縁取りして、てっぺんにふさを付けたら完成!!!!!

しかし、恐れていた事態が…。
帽子、でかいね!!!!!
薄々気付いていたけど!3回りくらい小さく編んでも良かったくらいや。ゲージ、ちゃんと作ったのになぁ……。
まぁ、小さくてかぶれないより良いか。
せっかく作ったので、この冬はとにかくかぶるぞ〜!

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器用ではなくても、やり直す根気とある程度の時間(と、多少の妥協)があれば、帽子くらいなら編める、ということが実証できた。
編み物を始めてみたいかたはぜひ帽子を作ってみて下さい。



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