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特別展「華風到来」@大阪市立美術館

電車の中で中吊り広告を見るたびに、行きたいなぁと思っていた大阪市美に行ってきた。
チラシも素敵すぎ。

ちょっと折れちゃった。

今までの展示の感じから、中国との縁が深そうだとは思っていたが、本当に深いということが、概要説明に書かれていた。”国内屈指の中国美術コレクションを所蔵していることが特色”とのことだ。改めて特別展のタイトルを見返したら、副題は「チャイニーズアートセレクション」であった。デザインの素敵さに目を奪われ、副題があることすら気づいてなかった。
展示場の説明パネルも誘導パネルも、この素敵デザインでとても可愛かった。

展示室入口
出口パネル。

大阪市美はいつも展示方法に工夫を凝らしてくれているので楽しみにしていたが、今回の展示はキャプションが素晴らしかった!コメントが面白い!
以前兵庫陶芸美術館の「やきものの模様ー動植物を中心に」という展示でもかなり面白いキャプション(「アートから」と「サイエンスから」という2つの視点からの解説キャプションがあった)で個人的にかなり盛り上がったのだけれども、今回の大阪市美もすごく良かった。兵庫陶芸美術館は読ませる工夫で、大阪市美は難しい話を簡単にする工夫、という印象。「キャプションにこだわる」ことで、来館者が無理せず自然に、より深い理解を得ることができるように誘導してくれている。

具体的にどんなキャプションなのかというと、まずこの絵をみる。
王時敏の墨筆山水図だ。わたしの浅学&感性では、水墨画だな、という感想しかない(ヒドイ)。

そこに、このキャプションがついている。

タイトルの右側に縦書き赤字で書いてあるのが、コメントだ。
“““回覧板まわすの大変そう”””
最初、意味がわからなくて、もう一度絵を見て、笑ってしまった。家と家の間隔の広さをそう表現したのか。
ちゃんと正統な説明キャプション(どんな人が作者で、どんな意味があるのか、なにを表現しているのか)もあって、しっかり読み込むこともできる。わたしは、もっと知りたいと思った作品だけ説明キャプションも読み、ほとんどの作品はタイトルと作者とコメントだけ読んでいった。

最初、展示室に入って2、3点さっと見たとき、正直あんまり水墨画の良さわからなくてどうしようかと思ったのだが、コメントに気付いてからは、楽しくなった。難しく考えなくていいんだ、楽しくみればそれで良いんだ、と嬉しくなった。

というのが、今回の特別展の全てかな、というくらいキャプションが良かった。コメント面白すぎる。研究者的な目線ではなく、一般人の感覚で、「この絵、面白くない?」って話しながら展示を案内してもらえて、ちょっと感動している。
これだから、大阪市美には興味がなさそうな特別展でも、足を運んじゃうんだよなぁ。

あとは、写真オッケーにして、拡散を狙っているところも良かった。
何が当たるかわからない世の中ですからね。

撮影ダメなものも数点あったが、理由を含めてキャプション置いているので問題なし。

改めて、今回の展示は本当にコメントキャプションが良かった。
コメント付けるということは、展示を作る側からしたら単純に仕事が増えると思うが、それでも来館者が楽しめるようにと付けて下さったことに展示の可能性を感じた。
展示に関わったみなさまに敬意と感謝を。
ありがとうございました。

おまけで、可愛かった猿の絵。
手が長過ぎるのも気になるけど、表情が良いんだよね。

「猿図」守住貫魚






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