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あのころの着物 絞りの羽織とその美しさ
京都新聞には半年間連載した「あのころの着物」の記事に加筆したものです。撮影場所には苦労しました。幸いモデルさんには苦労しませんでした。
絞りの羽織は奥様たちの憧れ
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最近は絞りの羽織を着る方が少なくなりましたが、 昭和40年 50年は絞りの羽織の全盛期でした 。
絞りが流行して、しかも一般の方々の手にはいる価格になったのは、日本だけではなく 中国 韓国に絞りの技術を伝え 製造を発注したからです。この発注はききとり調査によるとかなり早い時期に始まっていました。
それは職人さんや 絞り加工の業者の方々の功績によることが多かったようです。水のイオン濃度の違いなど、染色をする上での苦労はかなりあったそうですが、おかげで絞り反物の価格はかなり下がりました。着物製造の海外流出には賛否両論があります。大島など、韓国に発注して、柄や色がもとの大島紬と全く違うものになってしまった例もあり、伝統的な着物を守ろうとする立場からは反対の声があがるのもやむなしでしょう。
しかし絞りは手間がかかり、大きな 反物ですと、一反の制作に 1年以上かかります。海外に発注がなければ なかなか 庶民の手には渡らなかったと思います 。
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絞りは最初は単調な 文様に単色の染めのものが多かったのですが、後になって複雑な文様や 染め分け などの 絞りが生まれました 。そのあたりも絞りを製造する会社の企業努力によるものが多いようです。
絞りの羽織は暖かい
絞りの生地をご覧になってわかるように、実際の布地を平らに置いた場合より絞っている分布地はたくさん使われています。
また立体的であるので そこに空気が膨らんで 大変 暖かい空気の層を作るのです。
仕立てていない絞りの仮絵羽(仕立てる前の布地を、着物の形にしたもの。消費者に分かりやすいように衣桁などにかけて展示される)になっている絞りの羽織をご覧になったことがありますか?まるで子供の着物のように小さく縮んでいます。
幸せな奥様のイメージ
私のような 昭和時代生まれのものにとって絞りは幸せな家庭の奥様のイメージです 母や祖母が外出の時 絞りの羽織を取り出して来ていたのを思い出します。
今は昔より 絞りの羽織を安くで買えることが多くなりました もし リサイクル店などで 安い お品を見つけたりした場合 是非購入されて 絞りの感触を味わえることをおすすめします。
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2024年3月16日と17日 10時から17時まで絞りの専門家である池崎愛二さんが実演と販売にギャラリー百合庵に来られます。相談は無料ですので疑問のある方はぜひこの機会にどうぞ。
似内惠子(一般社団法人昭和きもの愛好会理事)
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