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時代を表す家の特徴

時代時代の流行り


 家の外観や間取りって、時代の流行りやライフスタイルの変化を表していてとても面白いです。最近は、戸建て住宅でも庭は雑草の処理をしないように配慮したり、バルコニーもない、和室もないといったものや色合いもシンプルでデザインもシャープな感じが増えている気がする。
 時々、中古物件のサイトを興味半分で見たり、実際に販売されている中古物件の外観を見てみると、建てられた時代の背景が見えてきたりして面白い。

応接間

 昭和の住宅、特に1960年代、70年代あたりに建てられた家には、応接間という空間が狭いながらも備え付けられていたように思う。そこには、化粧べニア板で覆われ、今では考えられないような木製フレームの重厚長大な家具調のステレオセット、飾り棚には舶来物の洋酒ややたらと重々しい船のプラモデルやガラス製品、応接テーブルには、レースのテーブルクロスと大理石の灰皿とライターが備えられていたり等々。
 あと、そうした洋風空間に合わない「熊の木彫り」や「こけし」や「三角ペナント」(懐かしい)中には、百科事典も飾ってあったりと。
 今では、応接間という存在は、一般の住宅から消えてしまっているように思えるが、時折古い住宅の物件を見ると、それらしきものがあり、幼少期にお金持ちの家に遊びに行った時に、通されケーキや”お紅茶”が出ていたのを思い出してしまう。
 あの時代は生活感を見せない、来客用の異空間が必要だったのか?それともモダンというものに憧れてできた空間なのか? いずれにしても「合理性」の流れで絶滅危惧種となってしまったのは少し寂しさを感じる。

出窓

 今でも見かけるし、決してあの時代限定ではないが、バブル期前後あたりの家には、やたらと出窓が多用されていた気がする。学生用の賃貸アパートでも、風呂トイレあり、ロフトあり、「出窓」とわざわざ記載していた広告を見た記憶がある。あれはいったい何だったんだろう。
 大方出窓の手前のスペースには、花や飾り物がのせられている家が多かった気がする。
 実際には、窓が全開することができない仕様になっていたりして、掃除も通風にもあまり良いようには思えなかった。当時の出窓は、外からの見栄えとスペースの有効活用を併せ持ったゆとりの象徴だったのかなと勝手に解釈している。

パステルカラーと三角屋根

 これもバブル期に建売住宅の販売でよく見かけた記憶がある。実際に新幹線からパステルカラーの家々が丘の上にきれいに建てられている「湘南日向岡住宅」をご存知の方もいるのではないでしょうか。
 黄色、ピンク、ライトグリーンといった外装と特徴のある三角屋根。見ていて何かの童話とかに出てきそうな雰囲気。
 また、パステルカラーの家というと、ロスジェネ世代には懐かしいかもしれませんが、チャーミーグリーンの宣伝。ロケ地は確か函館だったと思うが、その宣伝に出てくる家というのが、まさしくパステルカラーの外装。当時の遊び心を表しているのかなと思う。
 こうしたパステルカラーを用いたものは、外装だけではなく内装でも多かったように思う。バブル期に建てられた公共建築やホテルなどで、いまだリノベーションされていない物件をみると、内装の壁や柱、カーペットとかも淡い色合いを用いたものや単色ではなく複数用いた仕様が多い気がする。大方リノベーションしていないものは、淡い色がより淡くなってしまっていて、一層年月の流れと栄枯盛衰を感じてしまう。


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