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AMラジオがなくなる日

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

このラジオ生活ノススメ(note版)も3回目になりました。今回は巷で話題になっていることについて、見解を述べたいと思います。

2021年6月15日のネット記事の中に、民放AMラジオ47局のうち、44局が2028年度をめどにFM放送に一本化する方針を打ち出したというのがあったのです。ネットがリンク切れになっていたため、別の記事をリンクさせています。

AMラジオ放送の廃止容認へ FMに一本化したいラジオの厳しい懐事情https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/30/news127.html

AMラジオ廃止についての見解を述べる前に、ラジオを取り巻く状況を説明します。まず、ラジオの電波にはAM(中波)とFM(超短波)、短波の三種類があります。短波はまたの機会に説明することとして、AMの特徴として、より遠くまで届くということがあります。その昔、深夜ラジオのハガキが地域外から届くなってことがありました。これは夜中になると電波を遮るものがなくなるので、遠い地域の番組が電波に乗って届くというわけです。一方、FMは音質がクリアなのが特徴です。その代わりに電波の届く地域はそこまで広くはありません。

最近になって超の付くような高層ビルが多く建つようになり、都市部でのAMラジオの難聴取地域が多くなってきました。それを解消するために、民放AM局はFM補完放送(ワイドFM)を開始しました。これは、それまでテレビのアナログ放送に使われていた電波帯の一部をFMラジオ放送に割り当てたものです。これによって、AM局がFMの放送も行うようになりました。

この2つの放送を行うことがAM局の経営を圧迫しつつあります。広告収入減少などの収益悪化の中で、老朽化が進むAMラジオの施設はメンテナンス費も含め、経営の足かせとなってきているのです。また、前回ご紹介したradikoの普及もAMラジオの持つ広範囲に届くという特性をカバーするのに十分でした。

これらの事情によって、AM局のワイドFM一本化という方針に傾いたと思われます。


ここからは個人の見解をお話ししたいと思います。

AMラジオで育った人間としては、あの特有の音質で聞くのがいいのだという気持ちになりますし、AM電波に拘るリスナーはある程度いると思います。ただ、ラジオ局(特にAM)が前述のとおり収益の悪化に苦しんでいることを見過ごすことはできません。災害時の重要な情報インフラとして注目されているラジオがいざという時に力を発揮できない事態があってはならないと思います。ワイドFMでラジオが聞こえなくなる地域が出てくるのではないかとも言われていますが、AMラジオ廃止までに世帯カバー率90%を目指すという目標を掲げています(AMラジオ廃止に参加しない3局が90%をカバーする見通しが立たないことも付け加えておきます)。また、radikoを使うことによって、聴取が可能になる地域が広がることも考えられます。


若干、楽天的な要素も含みますが、AMラジオ廃止はやむを得ないと考えます。しかし、AMのあの音質が聴こえなくなる日が来るかと思うと、AMラジオが愛おしく思えてきます。

今回はこの辺りでおしまいとさせていただきます。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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