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#04アラサー百遍 歩くことは楽しめるか1

無駄なことなどあるのだろうか。いやない、とも言い切れない。

最高に無駄な時間がある。武蔵小杉駅の乗り換えである。

東横線、横須賀線を使ったことのある人は知っていると思うが、横須賀線から東横線に乗り換えようとすると、
エスカレーターを降りて地下道を通って、緩やかに上る動く歩道を登って、しばらく歩いて南武線のホームを抜けて、エスカレーターを登って改札くぐって、左に曲がってエスカレーターを降りて、改札くぐってまたエスカレーターを登って東横線のホームにようやく至る。

という15分に及ぶ世にも奇妙な長い長い乗り換えを、お店もとくにない駅の中でするハメになる。
とても無駄な歩きである。

しかし、この乗り換え、めったにやらないせいか、意外と私は楽しんでしまっている。

南武線の混雑の中を抜けていくのはストレスだが、駅にしては広い廊下を皆急ぎ足で歩いていき、動く歩道に乗りながらも速歩きをしてすごいスピードで歩いていく。まるでマリオカートのタイムアタックのようである。

道も広いだけでなく、南武線のところは狭く、かと思えば有り余るくらい広かったり、ゆるやかに曲がっていたり、地下道から動く歩道入る時はクッと急に曲がったりする。

武蔵小杉駅の乗り換えの道は、空港にあるような単なる真っ直ぐな道ではなく立体的に高低差があり、くねり、うねり、そして道幅も人の多さもスピードも変わっていく。
ホームを離れて作る必要があった、それを少しでも縮めるため施された工夫がシークエンスに富んだ道を作っているのである。

ゆえに私はこの道を通る時間は無駄だな〜と思いつつも、変化に富んだこの道を少し楽しんでしまっている。

どこからどこかへいく、どうしようもなく移動時間が発生する。駅から学校までの歩く時間、無駄な時間だなと、中学生の頃はよく思っていた。
久しぶりにその道を通り、昔こんなこと思ってたな〜と振り返りながら少しは楽しんだ。しかし、やはり面白味のある道ではなかった。

自分が楽しめない道も他の人は楽しんでいるかもしれない。
いまは楽しめない道も、そのうち楽しめるときも来るかもしれない。

武蔵小杉駅にいく横須賀線の電車にて。
2024年2月10日 23時45分


乗り換えは意外と11分で済んだ。しかし電車には乗り遅れ、次の電車を待ちぼうけ。やはり無駄なのかと。
東横線の武蔵小杉駅にて。
2024年2月10日 23時3分

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