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雲の向こう

ぼんやりとしている。

黒でも白でもない、灰色の雲の所々にもっと薄い雲がかかっていて、精一杯目を見開いたら晴れ間が見えそうな気がする。
でも実はそんなことなんてなくて、ただ灰色の雲より低い位置にかかっているだけで、一面に広がる野原にタンポポの群集を見つけたときのような喜びなんてない。

雲間から太陽の光が差し込んでこないかなと淡い期待を抱いてみるけれど、雨は強くなる一方で、瓦屋根は灰色から濃灰色に少しずつ変化をしている。

絡み合う電線が笑うように雨を弾いては、アスファルトに唾を吐く。
ベランダに置き去りにした少しだけ残った缶コーヒー。
濡れたコムデ・ギャルソンのTシャツ。

なんだか眠くなる。
雲の向こうはきっと目を覚ましてくれるような青空を想像して、おやすみ。

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