サンスーピューターを完全攻略した話

ご存知だろうか?
サンスーピューター。

30代以上の方ならギリギリ知っているかもしれない。
80年代に存在した家庭用知育玩具である。

名前から想像がつく通り、小学校低学年程度の四則演算を学習できるコンピューター型のおもちゃだ。
(Youtubeに動画があったのでこちらを見るとわかりやすい)
https://youtu.be/srf9o_HzlwE

私がこのおもちゃを買い与えられたのは、たしか小学校1年か2年の頃だったか。
親が自営業で忙しかったため、部屋で一人で遊ぶことの多かった私は、このおもちゃが大好きだった。

四則演算が楽しかったわけではない(むしろそれは即飽きた)。
これにはその他にあと2つ
「相性占い」
「ハイアンドロー」
という遊べる機能がついていて、そのハイアンドローにハマっていたのだ。

画面左側に数字が1つ表示され、右側には数字が高速ランダム表示されている。
左側より大きな数が出ると思えば「<」を、小さな数が出ると思えば「>」を選ぶ。
正解なら右側の数字が左側に移動し、またそれに対して大小を予想する……という、オーソドックスなゲームだ。

最初はただ単純に当たった外れたで楽しんでいたのだが、何度も何度も遊んでいるうちにあることに気づいた。

「あれ、このパターン前も見たような……?」

正解した時の「ピロリロリー」という音に合わせて一定のリズムでボタンを押していると、2の次は4、4の次は3、3の次は5……のように、決まった数列が出る場合があるのだ。
しかし、1パターンではない。2からスタートする場合でも、「2、4、3、5……」のパターンもあれば「2、0、6、4……」のパターンもあった。

そこで小賢しい子供であった私は、
「こんなチャチなおもちゃで高度なことはしないだろうし、おそらく数字の出現パターンは一定にちがいない。つまり、試行回数を重ねていけば、ずっと正解しつづけることも可能なのでは?」
とまあ子供ながらにこんなようなことを思った。

そして、トライアンドエラーを繰り返した私はついにこのゲームを攻略するに至る。

このゲームは一定のリズムで押し続ける限り、AまたはBの2つの数列のいずれかを永久にループし続ける。
それぞれの数列はそんなに長くないものだったように記憶してるので、たしか20個前後だっただろうか(残念ながら数列自体はほぼ忘れてしまった。のでさっきの例もでたらめだ)。
AからBに途中でループが切り替わることはなく、AならAをずっとループする。
つまり、今自分がどちらの数列のどこにいるのかさえ判れば、あとはリズムが狂わない限り永久に正解し続けていられるのだ。

今思えば、小学1~2年生にしてはすごいことをやっていたなと思う。
これが今の時代だったら調子に乗ってYoutubeに動画をアップしたりしていたかもしれない。
が、当時はネット環境もなかったし、ファミコンならともかくそんな知育玩具の完全攻略をしたところで誰にも共有できなかったので、家族に見せて「すごいねー」と言われて終わった。
そのため、当時同じ攻略に至った人が他にいたのかもわからないままだ。

あの時、もうちょっと自分のすごさに気づいて、テレビとかに投稿するなりして、成功体験を積んでおけばよかったと今になって思う。
すっかりほこりをかぶった過去の思い出となってしまったが、時々こうして思い出すのも悪くないものだ。

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