見出し画像

裕次郎のダンディズム、日本遺産、離島の百年物語…港町ソングの世界観

3月2日放送回のテーマは、出会いと別れのドラマに溢れ、日本人の郷愁を誘う『港町ソング特集』!ゲストに三沢あけみさん、三山ひろしさん、おかゆさん、羽山みずきさんを迎え、港町を舞台にした悲喜こもごもの人間ドラマを歌って頂きました。

昭和港町ソングの代表格 石原裕次郎と八代亜紀
港町ソングというと真っ先に挙げられるのが、「赤いハンカチ」を始めとする石原裕次郎さんの楽曲。「夕陽の丘」は函館、「赤い波止場」は神戸、「波止場の鷹」「帰らざる波止場」は横浜が舞台。
波止場で船を係留する杭に長い足をかけて水平線を見つめるあの勇姿を、誰もが思い浮かべることでしょう。
そんな中でも今回は、カラオケファンに今でも人気の「港町・涙町・別れ町」がランクイン。どこか若い頃の”裕ちゃん”の面影を感じさせる三山ひろしさんが、”
裕次郎ばり”の男の色気たっぷりに歌ってくれました。

方や、女性が主役の港町ソングの代表格と言えるのが八代亜紀さんの「おんな港町」。
先出の三山さんは八代さんとの縁が深く、修行時代には八代さんのコンサートで前座として歌っていたことがあるそうで、その頃は八代さんの歌声を舞台袖で聴きながら毎度感動していたとのこと。特にこの歌の時は、ファンと一緒に「亜紀ちゃ〜〜〜ん!」と合いの手コールを挟んでいたのだとか。
今回の収録でも八代さんの歌唱VTRが流れると、三山さんが歌詞の合間にコールを絶叫!突然のことに出演者やスタッフも驚き、スタジオは笑顔に包まれました。

   ひなびた離島の港町ソングに潜在する
      日本人のノスタルジー

さて、いわゆる港町のイメージといえば、横浜や神戸のような文化と歴史に培われた異国情緒溢れる街並みと、熱海や長崎のようなネオン煌めく誘惑的な夜景が目に浮かびますが、歌の舞台となるのはそんな大型港ばかりではありません。
ローカルな漁港や離島の港で繰り広げられる日常を綴り、ふるさとへのノスタルジーを呼び起こさせる叙情的な名歌がたくさんあります。

その1つが、羽山みずきさんが歌ってくれた小柳ルミ子さんの『瀬戸の花嫁』。

瀬戸内海の小島で育った若い娘が船で嫁いでいく様子を描いた歌で、小さな港での家族との別れのシーンが登場します。夕日に照らされた穏やかな瀬戸内の海、なだらかに広がる段々畑やぽつぽつと点在する入り江の集落…。そんなノスタルジックな風景が今も残る瀬戸内の港は、広島県尾道市や呉市、福山市鞆の浦が『瀬戸の夕凪が包む国内随一の近世港町』として日本遺産に認定されています。

     100年前の港町ソング
そして今回のベストテンで特に注目すべき港町ソングは、伊豆大島南東部の村を舞台にした「波浮の港」。三沢あけみさんが歌ってくれました。

川端康成の「伊豆踊り子」にも登場した波浮港は、明治から昭和にかけて多くの文人墨客が逗留した人気の保養地。かつては沖合漁業の中継港でもあり、町にも大変な賑わいがあったと伝えられています。
そんな離島の港で暮らす人々の日常が生き生きと描かれたこの楽曲、作詞は「七つの子」や「赤い靴」「シャボン玉」などの童謡で知られる野口雨情、作曲は同じく「シャボン玉」や「背くらべ」などを手掛けた中山晋平。

この詩情豊かな美しい歌を佐藤千夜子が唄って大ヒットしたのは1928年ですが、野口雨情が詞を発表したのはそれより遡る1923年。なんと今年でちょうど100年前の懐メロです。そんな歌が“世紀のランクイン”を果たしたというのは、単なる流行歌から永遠のスタンダートへと昇華した証と言えるのではないでしょうか。

高校時代、港で積荷のバイトに励んだ三山ひろし
そんな多種多彩な港町をテーマに、ゲストの思い出トークも盛り上がりました。
高知出身の三山さんにとって最も思い出深い港町は、四国の西部南端・足摺岬の近くにある漁港、土佐清水の港。三山さんは高校時代、そこで船に荷物を積み込むバイトをしていたのだとか。果たしてそのバイトとは?

詳しくは3月2日(木)よる9時『港町ソング特集』にて。どんなランキングになるかもどうぞお楽しみに!

ゲスト: 三沢あけみ 三山ひろし おかゆ 羽山みずき

構成作家 工藤ひろこ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?