【AIR】新富町、こゆ財団訪問でわかる、安定と成長のせめぎ合い
いくいく詐欺になっていた宮崎県新富町に先日行ってきました。地域商社としてふるさと納税などをテコにしつつ、地元農業産品の高付加価値化では1000円のライチなどで有名ですね。その直近の状況など含めて、忌憚なき視察をということでお声をかけていただきいってきました。
私もこういう仕事をして長いので、何事も組織の上げ下げ紆余曲折もみていますので、色々と感じるところありましたので、私なりの意見を書き綴りたいと思います。
他の現場の方にも多少なり参考になるかなと思います。これは事業基盤ができたあとのまちづくり会社が例外なくぶつかる壁でもあります。
○ 地域商社・こゆ財団訪問で見える、安定という壁
今回は新富町で進む各種開発なども見せてもらいつつ、こゆ財団の現状についても事務局長の高橋さんに解説いただきました。
ご自身たちもお話をされていましたが、ふるさと納税(といっても他自治体と比較してずば抜けて多いわけではない)ともともと観光協会を鞍替えした組織ということでそれらの事務的な仕事などを回すことで結構めいいっぱいとなり、少しマンネリ状態にあるという話をきいて、設立から数年経過している安定収益のあるまちづくり会社としてはよくあるところだなと思いました。これは私も経験しているのですが、地域活性化の難しいのは成功することよりも、長く継続して成長しづつけることなのです。
これは本当に難しい。私も実感するケースが多々あります。
当然ながら安定的な収益がなければ経営は成り立たないのですが、安定的な収益があると無駄金を使ったり、だらだらと働くようになってしまうという属性もある。特に成長意欲がバリバリあるから「地方にいきます」というよりは、「好きなことをやりたい」「都会とは違う時間を過ごしたい」みたいな人が集まってくると、そこそこ利益が出て、安心して給与がでるからとそこで安住してしまう人たちが一定層地域にきてしまうんですね。
こゆ財団はそういう意味ではいい面ではしっかり基盤を初期に作れたという良さがある一方で、その環境をもとめてきてしまう人材のパワー不足が一定あるとも言えます。
これは「そこそこ満足病」ともいえるのですが、そこそこよい感じになったら、そこでもういいよねー、注目もされるし、事業的にも安定しているからこれでいいよねー、と。これが成長の妨げになります。
で、これを破壊するためには既存の安定事業を切り出して、ある意味追い詰めて次の事業の柱を作ることと向き合わなくてはならない。そこに注力できる構造にしないとずるずるいくことになります。
○ 町とまちづくり会社との関係値
あと今回気になったのは、町との関係ですね。町役場も町長もかわり、バリバリ自分で仕掛けたい感じのトップになったことでこゆ財団にいた役場のできる職員全て巻き取っているのですよね。もともと事務局長やっていた人材も呼び戻し。
これも他の地域でもあるのですが、もともと町として単独でできない、むしろバリバリ動けないからこそ、外の組織をつくって挑戦するという構造をつくったものの、そこが思いの外うまくいったら、今度は「役場自らやりたい」となったりします。
で、町長さんとしても発破掛ける意味で「今はこゆ財団よりも役場のほうがガンガンやっている」という話をするわけです。これは今の事務局長へのシュプレヒコールとも言えますが、なかなかもって関係値の変化を感じます。
町にできないからと、別の組織でやっていたけど、それが成果をあげると自分たちの手柄にしたくなるというのはどこの地域でもあります。ただ公民連携としてすすめるのであれば、そのあたりってのはもう少しやりようあんじゃないのー、とみていて思ったところです。
説明された以下のような開発とかも町役場と農協とそれに関連する新たに設立されている農業法人とかが動いているようで、こゆ財団との連携がうまくいっている感じではないのですよね。。。まぁ町長ももう少し巻き込む仕掛けがあってもいいのでは、とは思いましたが。
これをみていても、私としてはこゆ財団として役場関連事業はある意味少し切り離して、新たな事業の柱をつくってやるべきだなと。あとは「こゆ財団」なので新富町にこだわるのをやめたらいいですわ。まわりの地域も含めて仕掛ける意識になるほうがいい。こゆ地方全域での仕掛けを考えて動きますと脱新富町宣言したらええねん、と思います。
ヤフーの安宅さんと風の谷プロジェクトをやるとか、色々と盛り上がっているとか様々な人と新たな挑戦をする話は出ているし、以下にあるような農業スタートアップとかもやっているんだし、それらをもとに情報メディアで稼ぐとかそういうのやったら?と提言しときましたが、すぐに始めるか否かですね。
やるやつはすぐにやる。やらないやつはいつまでもやらない理論。今の現場の人達、ぜひ頑張ってと思います!!
○ 農業スタートアップAGRIST
今回訪問で面白なーとおもったのは、高専出身者たちが中心となり、こゆ財団の代表もやっている斎藤さんもはいって奮闘している農業スタートアップですね。むしろ斎藤さんはこちらに今は魂震えている感じだな! と思いました。それはやっている若者たちと話していると納得でもある。
こちらはピーマン収穫に特化したマシーンをつくっているのですが、資金調達もしてバリバリやっているので3年以内に上場できるかいなか、という結構な博打に出ていますから、ぜひ頑張ってほしいですね。
地方で若い福岡の高専に在学中から起業しているメンバーが宮崎にきてこういう会社をやるってのはなかなかおもしろいものです。こういうパターンも昔だとなかなかなかったけど、優秀な若者が挑戦できるというのはいいことです!
役場関係なくガンガン自分たちで攻めていくほうがやはりいいよねーというのをこういうのを見ていても思います。
○ 一棟貸しの宿「茶芯」
今回、こゆ財団の一棟貸しの宿「茶芯」に宿泊させてもらいました。最近一棟貸しについてやっている人増加しているけどどうなのよ、という厳しい発信していたので現場の方は戦々恐々としていたようで・・・。すみません。
が、実際よかったです! 広いし、きれいで。斎藤さんに直接案内してもらったので、その動画をあげておきます。新富町にいって泊まるならここじゃないでしょうか。
とんでもない大広間があります。笑 以下は旅仲間小田さんが寝ている様子。
小田さんによる茶芯回顧録がupされていたのでご紹介しときます。
実は近くにある「妻湯」がなかなか空いてて最高でした。サウナもバリバリあつくて、外気浴スペースも広く、地下水の温度が適温。これは絶対にいつたほうがいいです。
地元のバリバリ稼いでいる国際企業の福利厚生施設をかねて作られているということで、そりゃ立派だわーと。やはり外貨獲得してなんぼですね。
あとは航空自衛隊基地があるから、日中の轟音がすごいw 基地のあるまちだなーと感じたところでした。
ということで、まちづくり会社を数年やっているとあれこれ色々と状況もかわり、変革が必要になる。
私もやっていて当事者としてもこの手の経験は幾度とあるので。よかれと道路利活用とかで仲間とともに広告収入を作り出した結果、下手に儲かりすぎてそれで天下りまできてたりするのを見たりすると、「うーむ」と思わされたり、安定収益があるからそれでええわなーとなってそれ以上営業しなくなる現地パートナーをみたり、なかなかもって成長を飽きずにやっていける地域プロジェクトって本当に難しいんです。無理やり新規事業を地元でやったりすることもありますが、まわりのモチベーションがもう安定に向いていると難しいんですよね。結局。
そういう意味で私は複数の地域をポートフォリオにして、パートナーとも事業をやっているのは成功と失敗のバランスという以上に、成功の後の成長の困難をしっているので、ぐるぐる力をいれる地域を回していかないと、成長の楽しさがなくなるからとも言えます。
このあたり長くやるというのは飽きない環境を作ることも大切なので、ぜひ意識してこれから仕掛ける人にもやってほしいなと思います。
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