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私が子どもを塾に入れた理由と、塾なしで大学受験させた理由

うちの子ども、現在は、国立の旧帝大学の大学院生だ。同じ大学の学部から大学院に上がったから、大学受験はその大学を第一志望で頑張った。

大学受験って、塾や予備校に行くのが当たり前だって感じだけど、うちは大学受験は塾なしでやらせた。経済的な余裕がなかったのが一番の理由だけど、塾なしでも十分に行けるだろう、という勝算もあったからだ。

でも、ずっと塾なしを貫いてきたわけでもない。小学生の時には、公立中高一貫校だけ受検させて、その対策塾へ通わせたことがある。

今日は、私が子どもを中学受検塾へ行かせた理由と、塾なしで大学受験させた理由を書いてみたい。

公立中高一貫校受検では、深く考える力と表現力が要求される。国語や算数の面では、基本的に、私立中学のような難問奇問はなく、教科書レベルの徹底でいいという建前のはずだ。(最近はそうでもないらしい。)

試験の内容は記述が多い思考問題の学力検査が2つ。内容を大別すると、文系分野と理系分野で試験内容が分かれているようだが、基本的に教科を横断した融合問題で、とにかく文章を書く量が多いという話だった。(最近は選択問題が増えているという話も)

その他に、個別面接でのプレゼン力と集団面接での議論する力も見られる。志望動機書では、A4の紙1枚に、その中学を志望する動機もしっかりと書かなくてはいけない。

思考力、プレゼン力と作文力の表現力、コミュニケーション能力、これからの時代に、どれも絶対に必要になるものじゃないか。

そう考えた私は、子どもに公立中高一貫校の受検を勧めて、対策塾へ入れた。対策塾はいくつかあったけれども、その中で、毎回、面接の練習をしてくれるところを選んだ。人前で話したり、集団討論したりする練習をしてくれる。

勉強内容も、思考問題に対応するための柔軟な思考力を養成するためのカリキュラムと作文が中心で、いつもうちの子は楽しそうに通っていた。

国語や算数の基礎学力の方を全くおろそかにしたために、受検は失敗したけど、時々、机の上に発見する作文を読んでみると、そこそこいい文章を書いている。このときに身に着けた作文力なんかは十分に身になっているようだ。

家ではロクに話もしてくれないけれども、学校で発表するときにも物怖じせずに堂々と話せる様子は、中学受検対策をしたおかげじゃないかと思っている。

中学受検は確信的に失敗させて、受験の厳しさを実感させたら中学校でエンジンかかるかと希望的観測をしていた。でも、全く中学では火がつかずに高校受験は第一志望に届かず、いよいよ大学受験が目前に迫ってきた高校生活。塾へ行きたいと子どもは行ったけれども、お金がないと突っぱねた。

ってか、大学受験って、教科書の内容からしか出ないはずだから、教科書と学校でもらう問題集だけで十分じゃないかっていうのが私の考えだった。

学校が終わってから、疲れた身体で塾へ行っても、なかなか身につかない。正直なところ、学校の授業でわからないところを、塾で出来るようになる訳がない。

それよりも、学校の授業をしっかりと聞いて理解して、教科書と学校の問題集をやり尽くすことが先決じゃないかと思っていた。

基本的に、センター試験(当時)と国公立大学の入試の内容は、指導要領からしか出ないはずだから、学校の勉強だけでもいけるはずだ。

本来は、塾へ行くのなら、学校での勉強が簡単すぎてもっと高度な問題に取り組みたい、っていうのが本来の姿じゃないかと思う。学校の勉強が不安なら、学校の中で解決するのが子どもにとって、最も負担がないはずだと思う。

勉強はやれば成績が上がるし、しなければ成績は上がらない。子どもの頃から行きたいって言っていた大学へ入りたいなら、まずは勉強したら?ってのは何度か言った。

ただし、親としては、最低限国公立ならどこでもいい。公立でもいい。公立なら、うちの子どもが行きたがっている分野で偏差値50を切るところもある。高校に入ってから偏差値55程度はキープしていたうちの子なら余裕だろう。

行きたいって言ってた難関大学に行くつもりなら勉強はしろ、今のままじゃ無理だけど、別に親として高望みはしていないから、今のままで入れるところでも別にいいよ。

なんか、行きたい行きたい言ってるだけでエンジンが掛からない子どもに、そんな突き放したことを何度か話した。

そうしたら、ある日突然、猛然と勉強しはじめた。英単語集を片っ端から覚えるために書き写しはじめて、学校からもらった問題集は、宿題になっていなかった最難関問題までやり尽くして、わからないところは学校の先生にこまめに質問するようになったようだ。

そうしたら、次のテストで学年1位を取った。でも、担任の先生には、行きたい大学には全然まだまだだって言われて涙目になっていた(笑)。

それでも、学年1位になったことで、本気で大学受験を考えている生徒が自主的に集まっているグループから声を掛けてもらえるようになった。

そのグループに入れてもらい、一緒に勉強したり、情報交換したりするようになったようだ。

それで、結局、第一志望に合格して、今では夢に向かって頑張っているようだ。

塾に行かせたって落ちる時は落ちるし、無理して塾に行かせなくても、受かる子は受かる。塾で偏差値だけあげて、本来の地頭以上のところに行かせることも可能だが、大学の先生が書いたブログなど読んでいると、本来の地頭を超えるレベルの大学に入ってしまった子はついていくのに大変なこともあるようだ。

偏差値だけ高くしても、社会に出たら地頭が問われる。卒業はできても、出身大学のレベルに地頭が伴っていないと、期待されるレベルの仕事ができずに苦労するのは本人だろう。

それなら、無理しすぎない範囲での準備で行けるところを選んで、そこで本来の実力をいかんなく発揮する、というのも1つの生き方ではないかと思う。

とはいえ、その辺は、それぞれのご家庭の価値観や判断によると思うけれども。

うちの子は、とにかく大学に入ってからの勉強が楽しくて仕方がないみたいだ。大学院も修士で終わりにするって言ってたのが、博士まで考え始めているらしい。

日本で博士って、理系でもどうなんだろう?って気もするけれども、本気でその分野を極めたいって気持ちになっているようだ。

それなら、奨学金を山ほど背負ってもらうしかないけど、頑張ってもらうしかないかな、って子どもの覚悟を見て思う。


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