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京都・智積院の名宝(サントリー美術館)


智積院は池のあるお庭とか昔から好きなお寺で、京都に行く時はちょくちょく訪れていた。でもとんとご無沙汰かな。

最後にブログ記事にしたのはもう16年前?

むろんあの有名な襖絵も何度も拝ませてもらった。父子で制作した桜の絵などぼ〜っと眺めていたことよ。あれたしか別室にあり拝観料と別にまたお金取られるんじゃなかったかな。

そのお宝がいまサントリー美術館に来ているらしい。あれ門外不出かと思っていた。六本木でまた改めて見るのも乙なものと、会期終了間際に足を運んだ。

《櫻図》長谷川久蔵 桃山時代 16世紀
さすがに四百年とか経てば完成当時の極彩色はほとんど見る影もないのだろう。ただ記憶の中のイメージよりもくすんで見えるな。お寺の保管所はこの美術館より照明が明るかっただろうか? 旅目もあるだろうか。

もうそのへんは脳内補正をして、ひとつの試みとして絵の前でしゃがんで見上げてみた。あら不思議、桜の木の下、ゴッホもびっくりの絵具てんこ盛りでふかふかした、降ってきそうな八重桜の花びらに囲まれてお花見でもしているかのような錯覚を起こした。この花はおいしそう。実際八重桜は食べちゃう品種も多いのだ。

しゃがむことにより、立って見ていた時には見落としていた絵の下の草花、蒲公英、菫、キャプションには触れられていないがシャガ(もはやシルエットでしかないが)も右下に認められた。キャプションには躑躅とも書いてあるのだけどどこだ?? ってか牡丹がいると思うのだが。

周りからは邪魔で変なやつだと思われただろうが、もともと襖絵は床に座して小津安二郎のローアングルみたいな位置から見上げられることを想定して描かれているはずなのでこれは正しい鑑賞法なのだ。(もっとも、立ち上がって「これはよい絵ですなあ」と見られることもあったろうけど)

《楓図》長谷川等伯 桃山時代 16世紀
櫻と対をなす秋の図である。萩、赤と緑のもみじ、白い菊が密集してバトルしている。ただこれは秋の自然な風景である。だがそばに寄り、立って眺めているとあら不思議、木の上に登ってそこから下を眺めているような錯覚に陥った。

もともと襖絵は主と客人が部屋で彷徨いて溝口健二のようなクレーンショットで上から見下ろされることを想定して描かれているはずなのでこれは正しい鑑賞法なのだ。(もっとも、座って「これは良い絵ですなあ」と見られることもあったろうけど)

…っておい。さっきと逆だろ。まあ絵なんて好きな角度で見たらいいのだ(?)。

そういえば、作品はみんな平らな一面にして屏風絵っぽく折って飾られてないな。襖絵だから?

追記: これ、正確には襖絵じゃなくて障壁画と呼ばれるものなのね。実質的には限りなく似通ったものみたいだけど。

《楓図》(部分)

これは盗撮したわけではなく、入口にあった大看板のアップ。印刷されたものの方が本物より発色がいいんだよね。素人にはこの方がよくわかる。

この二作がハイライト。他にはずっと最近の寺所蔵品の展示もあった。

《婦女喫茶図》堂本印象 昭和33年(1958)
マリー・ローランサンみたいな色使いの襖絵が面白い。存じ上げてなかったが印象さんって名前はどうなんだ? 印象派ファンだったのかな。

他には仏像とか、曼荼羅図とか。ミニチュア仏舎利みたいのがどうにも不思議で。別に趣味で作ったわけではなく催事で使われるようなこと書かれていたが。

はじめてみるものばかり。これらは普段未公開で隠してあるのかな。たまに展示したりしているのだろうか。たしかあそこには宿泊施設もあったと思う。そのへんにホールとかあるのかな。

そうだ京都行こう。これで解決。

会期は~2023年1月22日(日)。急げ!



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