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秋田へ行こう⑤(2023年1月 秋田編・秋田県立美術館)

秋田県立美術館

や〜っと本来の目的地秋田に着いたよ。ローカル電車の長旅の後、ホテルにチェックインして(ホテル宿泊記については次回の記事で)、クラブラウンジのティータイムのスイーツをガツガツほおばり大急ぎで美術館へ。この時は17時で閉館と思っていた。

7年前に来た時と同様に蕗娘(?)さんたちが出迎えてくれた。

ぜえ、はあ、「お、おとないいちまいい…!」「あの…美術館のチケットは2階になります…(チッ、まただよ)」「ああ!す、すいません…」
このやり取り前回来た時もやった気がする。進歩のない私。貨物用エレベーター(?)で美術館のある2階へ。乗ってよかったのかしら??

《秋田の行事》1937年
これを見に来た。この美術館の端から端までを占める巨大な壁画。やはり壮観だ。今回は双眼鏡を持ってきたので隅から隅までもう穴のあくほどズームで見まくった。最初はぼ〜っとしてしまったが次第に気付きや疑問点がが

「丁内安全」ののぼりの下にいるリアルな顔した人が平松さんだよね。絵を注文した人の顔を作品に紛れ込ませるのはよくやることだ。ついでに画家本人も載せるもんだ。かなり探したけど、藤田さんはこの絵の中に出てこないと思う。いるの?

「秋田音頭」で踊っている?手のひらを鼻に当てて「てやんでい、こんちくしょう!」みたいにやってる三人は男っぽいかっこしてたけど女性なのね。あれなんか振り付けがあるのかな? 監視員さんに(もしも秋田の地元の方だったら)あれこれ聞いてみればよかった。

花傘?の祭りの場面では刺青した男が登場している。それがどうしたって? 日本で入れ墨は罪人の印。だから温浴施設とかではいまだタブーとなってると聞いている。お祭りには参加してよかったんだろうか。
あ、でも「この桜吹雪が目にへえらねえか」の金さんは警察みたいなもんだったはずだしな。と調べると江戸後期ではファッションとして入れる人も少なくなかったとか。でもこの絵は江戸時代からはだいぶ経ってるしな。どうなんだろ。柄によるのか?桜はセーフとか?

「お前、ちゃんと鼻かみな!」「イヤだい! 離せよかあちゃん!」みたいなやり取りの親子とかくんずほぐれつの対決してる人や犬の迫力あるバトル場面はあの猫や戦争画と同じニオイがする。フジタの得意技なのかな。

でも一番の気付きは、そういえばこの中にナマハゲがないんだね。秋田といえばナマハゲだが、祭りじゃないから?でも「秋田の“行事”」だよね? なにか理由があるんだろうか?

「秋田の行事」の周りの壁に飾られた平野政吉コレクションのフジタ作品も傑作揃い。どこかで見た作品も多かったかも。

《眠れる女》1931年
素晴らしき乳白色のヌード。だがよくよく見ていると、この絵はその上にある漆黒の闇がとても効いていると気付いた。線の画家フジタならではの驚異の輪郭線は美の暗黒イデアと現世に具現化した肉体との境界線かと思われるくらいの絶妙なレベルに。

《五人女》1935年
みな同じ亡き妻マドレーヌの顔をしているらしい。ふとこれもキュビズム表現のひとつかなとひらめいた。記憶の中にある数々のあの時のマドレーヌを色んな角度で同時に描くものだから。

《踊子》1939年
エコール・ド・パリっぽい作品。パステル画のような色使い。アバターの様な青い皮膚の顔。組んだ足がとてもエッチ。これも顔はマドレーヌらしい。

《カニ》《猫と蜂》1936年
墨絵。もう絵から飛び出して動き出しそうなくらい抜群にうまい。蜂に驚いて飛び上がるニャンコ。うまそうな蟹さん。カニはゴッホも描いていたがもうひとつだった。フジタの爪の垢でも飲ませたい。そういえば墨絵だけには署名に手のひらマーク🖐みたいなのを付けているのは何なんだ?

同時展示 岸田劉生

とにかくフジタがお目当てで来る前は岸田劉生さんのことなんてほとんど眼中になかった。こんな企画やってることすら認識せず。でもせっかく来たので見てみるとなかなかどうして見応えがあったな(当たり前だ)。

笠間日動美術館所蔵作品とのこと。笠間日動美術館ってちょくちょく名前を聞くしその内行ってみたい。秋田並みに陸の孤島だが…。

岸田劉生は麗子さんの肖像がとにかく有名でそのイメージばかりなのだが、デューラーやらブレイクの影響を強く受けていたってのは知らなんだ。いや聞いてたかも。

《第二回フュウザン会展 会場装飾画》1913年
人魂みたいな模様が浮遊しているのは岡本太郎かと思ったらたしかにブレイクだねあれは。

《麗子十六歳之像》1929年
あの不気味さは影を潜めだいぶ写実的な肖像画になっている。あの時代の着物の質感が伝わってくる。あの潰れたような丸顔から面長に大人びて、それでも目元に幼い頃の面影が残るか。実はこれがラスト麗子像になったらしい。

若くして亡くなってしまった彼のデスマスクが展示されていた。そういえば最近デスマスクって聞かないな。昔の偉い人はみんな取ったのかな。横山大観さんなんて脳みそ保管されてるとか聞いたし。死生観もずいぶん時代で変わるものだ。

最後の方は鑑賞者は私ひとりになった。フジタを独り占めしてる幸福。監視員の方は「早く帰れジジイ」とか思ってたかも。誰もいなくなっても帰れないだろうが。

でも私が会場を出た後何組か入っていったのであり?17時までかと思ったらなんだ18時までか。もっと居座ればよかった早く帰れ?

夜景もきれいだったよ~。

駅にいた子かなあ?🐕


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