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医師から「脳梗塞」と言われる・・・30歳なのに・・・?

次に気が付いた時、私は病院のベッドにいることをなんとなく認識出来た。目が覚めて視界に入ってきた光景から、なんとなくそこが「病院のベッド」だということがわかった。
病院のベッドに自分がいるということを、この時初めてちゃんとわかったのだ。

そうは言っても裸眼視力0.1もない私の視界はかなりぼーっとしていたので、「なんとなくここは病院だろう」という程度だ。

前日の救急車で運ばれてからのことはこの時あまり頭にはなかった。

どうやら明け方のようだった。

ぼーっとした視界でも、窓側のベッドにいたので窓から入る「日中」でも「夕方」でもなく「明け方」のような明るさでわかった。

後になってこの時のことを母に聞くと私はベッドでぐったりとしていたそうだ。

この時、母はベッドの横にある椅子に座っていたらしい。

「らしい」というのは記憶がぼんやりしているからだ。

この時私は喋ることが出来なかったので、母と喋った記憶はない。

おそらく私はベッドでぐったりしていることしか出来ず、母はただ見守るしか出来なかったのだろう。



私も母も何が起きているのか全くわからなかった。
私はとにかく吐気さえどうにかしてくれたらいい、とだけ思っていた。


それだけだったし、それしか考えられなかった。




少し落ち着いたかと思われた頃、私と私に付き添う母のところへ担当医の先生が来て私の身に起きたことについて説明してくれた。

私の身に起きたこと。

経験したことのない強烈な吐気。

視界がぐる~っと回転したものすごい眩暈。

突然動かせなくなった身体。

それらが何によるものだったのかがこの時初めてわかった。

それは「脳梗塞」だった。



「脳梗塞」と言われても全くピンとこなかった。

脳梗塞?
・・・脳梗塞?
脳梗塞って・・何?
30歳なのに?
脳梗塞?

担当医の先生は説明をしてくれていたけれど、ほとんど頭に入ってはこなかった。

なので、何を言われたかはほとんど覚えていない。

この時の私は吐気をとにかくどうにかしてほしい一心で、それ以外のことを考えられる状態でもなく、あとはただただ頭がぼーっとしていた。

「脳梗塞」と言われても、なんとなくだが年配の人たちがなるものと思っていたし、とりあえず意味が分からなかった。




私の脳梗塞は小脳で起きたもので厳密に言えば小脳梗塞というらしかった。

左の小脳に血栓が詰まって起きた左の小脳梗塞。

小脳は左の脳が左半身を、右の脳が右半身をコントロールするらしかった。



つづき

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