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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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#お坊さん

エコーする過去と未来

※本記事はnoteマガジン「松本紹圭の方丈庵」の定期購読者限定記事として執筆していますが、これからのお寺や宗教に携わる人にとって特に読んで欲しい内容なので、5/25まで期間限定で特別一般公開します。いつも定期購読してくださっている方には、改めて感謝申し上げます。 ◆ 前回のnote記事「「日本のお寺は二階建て」のリフォーム案」(2021.5.10)の続編となる記事なので、よければ先にそちらをお読みください。 ◆ 前回の記事で話したように、お寺の一階は、Time Sca

「日本のお寺は二階建て」のリフォーム案

※本記事はnoteマガジン「松本紹圭の方丈庵」の定期購読者限定記事として執筆していますが、これからのお寺や宗教に携わる人にとって特に読んで欲しい内容なので、5/25まで期間限定で特別一般公開します。いつも定期購読してくださっている方には、改めて感謝申し上げます。 ◆ これまでたびたび「日本のお寺は二階建て」論を語ってきたけれど、この度、翻訳中の『The Good Ancestor』からインスピレーションを得て、その二階建てをどのようにリフォームしていけばいいのかという方向

リンク

このところ『The Good Ancestor』の翻訳三昧行に入っていて、それ以外のことがまったく手につかない。毎日10時間以上の翻訳を、来る日も来る日も続けている。翻訳の仕事はマラソンのようであり(マラソン走ったことないけど)、一度途切れると最後まで翻訳仕事をやり切れる気がしないので、どうしてもこの勢いでやってしまわないといけない想いに駆られている。このnoteマガジンでも、5月半ば頃までは、この「The Good Ancestor」の話題が続くと思うけれど、訳文先出しキャ

名前の話

星覚、という良き友人がいる。星覚は、お坊さんらしいお坊さんだ。永平寺を降りてから20年近く、この資本主義社会の中にありながら、貨幣経済による価値交換からできるだけ距離をとり続けた生活を実践し続けているのは、本当にすごい。 星覚は、コロナ前にアメリカでmonk manager実験プロジェクトをやった時、当時住んでいたベルリンからアメリカへ飛んでくれた戦友でもある。 ◆ 星覚と長年付き合ってきていつも感心するのは、彼の人との接し方だ。人との関係を大事にするというのは、こうい

現代仏教と古典仏教の配合比

ふと振り返ると、テンプルモーニングラジオのトークゲストには、アーティスト系のお坊さんが登場する率が高いです。実際に美術や音楽のプロフェッショナルとして二足のわらじを履いている人もいるし、お坊さん専業だとしてもかなりアーティスト的な性質の強い人が多いと思います。お坊さんならそれが当たり前では?と思われるかもしれませんが、実際のお坊さん世界ではむしろ理論派というか学者肌というか、右脳よりも左脳系の人の方が「出世」している印象。テンプルモーニングラジオでは、トークの内容以上に「言葉

音の巡礼、はじまる。

ご存じ、今年4月から始まって以来、力を入れて続けているテンプルモーニングラジオ(TMR)ですが、その背後には遠藤卓也氏あり。TMRの企画の相談からサウンドエンジニアまで、二人三脚のような形でやっています。 遠藤さんとはもう学生時代からの付き合いなので、思えば人生の半分以上ずっと交流の続いている長い友人であり、「誰そ彼」というお寺の音楽会を共に始めたり、今では仕事も一緒にする仲間なのですが、僕が最近「音」の可能性に注目しているのも、二人での盛り上がりも大きいです。音楽好きの遠

オンライン法要の隠れた本命

友人とメッセンジャーでたまたま「お経」の話題になり、そうしたら「実は、明日が亡き父の七回忌の命日なんです。でも、お墓が遠方にあってコロナだから行けなくて」と。 「ちょうどマイクも買ったところだし、僕でよければお経をあげさせてもらいましょうか? リモートで、音声だけでよければ」

2045年の日本社会と宗教者のリーダーシップ

今年から始まった「未来の住職塾NEXT」では、従来の未来の住職塾で中心テーマとしてきた「お寺のマネジメント」に加えて「宗教者のリーダーシップ」を扱っています。 従来の未来の住職塾でもリーダーシップという科目がなかったわけではなく、ビジネススクールで取り扱うような一般的なリーダーシップ論を、お坊さんの文脈に翻訳して概説するということは行っていました。ビジネススクール留学から帰ってきたばかりの私にできることは、「翻訳」作業が精一杯でした。 しかし今回、あえて「宗教者のリーダー

宗派はふるさと、信仰は継承。

「お坊さんになんでも相談してみよう!」の会を開くと、すごく良く聞かれる質問の一つは、「イエの宗派って大事なんですか?」というもの。この質問は、聞く人によって意図が全然違います。 ・宗派で決められた仏事のやり方を守らないと、バチが当たるのか心配 ・菩提寺に耐えられず、もっと評判の良いお寺に移るのに、宗派を変えていいか ・親の葬式の時にイエの宗派を葬儀社から尋ねられて、答えられなかった ・夫婦それぞれ実家の宗派が違い、どちらを優先すべきかわからない ・自分が気に入ってよく出入り

築地本願寺に響く「檀家制度終了」の鐘

僧侶派遣は派遣業なのかここ数年で、僧侶派遣の事業者数はずいぶん増えました。Googleで「僧侶派遣」検索してみると、事業者が大量に出てきます。みんれび改め、よりそう社が大規模な資本調達を行い、また昨今ではDMM社が僧侶派遣に参入するなど、事業者の動きも活発なようです。 「僧侶派遣」というのは、派遣元事業者が一般顧客からの要請を受けて、派遣元事業者のリストに登録した僧侶の中から、求めに応じてマッチングして手配するというビジネスモデルです。事業者によって契約形態は様々ですが、一