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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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2020年6月の記事一覧

宗教、スピリチュアリティ、サイエンス。

僕がよく聴いているポッドキャストの番組を紹介したい。 On-being 英語だが、ウェブサイトにはトランスクリプト(字幕テキスト)もすべて載っている。毎回パーソナリティのクリスタ・ティペットとゲストとの1時間ほどの対話なので、少し長めの散歩をして聴ききるのにちょうどいい。タイトル通り、beingを探求するコンテンツだが、サイエンスとスピリチュアリティと宗教のバランスが素晴らしく、アメリカで数百万人が聴く超人気番組となっているのもうなづける。この番組の雰囲気が、僕のポッドキ

デジタル・トランスフォーメーションは親鸞ベースで進めたい

某首長さんとの未来ビジョン勉強会にて、今回はデジタルガバメント化が進むエストニア人の専門家からのヒアリング。エストニアといえば、バルト三国の最北に位置する人口130万人の国で、ヨーロッパでも有数の社会のデジタル化が進む国として注目されています。 以下、勉強会でのメモを共有。 エストニアは基本的に2001年からコロナの対策が取れています。デジタル化が進み、今回は行政サービスにあまり影響がなかった。一番、影響が大きかったのが、学校。フィジカルだから。3月から5月まで自宅で勉強

お経の批評可能性

先日、#ホニャララLIVEというyoutubeの番組に出演した。司会の井出武尊さんと「星読み係」のyujiさんとの1時間の深夜トーク。といいつつ時間を超過し、2時間近くまで盛り上がった。無料で録画が見られるので、よければどうぞ。 #ホニャララLIVE011 【Post-Religion】僧侶 #松本招圭 テーマが「Post-religion」で、なおかつ初めて出会うメンバーだったので、いつもの話からいつも話さない話まで、あれこれ話したのだけど、いつも話さない話としては「お

アルトルイストになるために

環境保全に関する第一人者をお招きしての勉強会。 以下、講師のお話から自分メモ。 ◆ コロナは健康や経済など被害があったけれど、悪いことばかりではなかった。人と人との繋がりの大切さに気づかせてくれた。 社会には4つの資本があるので、それぞれ見てみよう。 1つ目の人的資本にとっては大きな喪失があったことは言うまでもない。 2つ目の社会資本(ソーシャルキャピタル)にとっては、良い面もあったのではないか。人がより強く結び合うようになった。これはガバナンスに非常に大きな影響がある

DoingとBeing、波と海

知事勉強会、今回はピエール・ロザンヴァロンという政治学者を巡っての議論。 まずは東大の宇野重規先生からのプレゼンテーション。以下、ひとしきりシェア。 ピエール・ロザンヴァロンはフランスの政治学者で、コレージュ・ド・フランスというフランスで最も権威ある研究機関で近現代政治史の教授を務めている。フランス革命から現代までの代表制民主主義から福祉国家と連帯の危機まで幅広く研究してきた。 主著は 『カウンター・デモクラシー』(2006) 『民主的正当性』(2008) 『平等な人々か

断章メモ 6/16

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リセットボタンか、巻き戻しボタンか

知事の勉強会、今回は自分の都合がつかなかったので録画視聴。お話を伺ったのはW先生。たくさんの人からの参照先となる賢人として著名な先生だが、コロナに関してはそれをどう評価するか沈思黙考されている最中で、今はまだあまり表では発言をされていないそうだ。SNS時代は特に、何か事件が起こると即レスが求められがちだが、そこから一歩引いて自分でよく考えることの大切さを教えていただいた気がする。 いくつかの注目キーワードと、自分のコメントを記す。 社会的共通資本いわずとしれば宇沢弘文先生

宗教コミュニティのためのシェアリングプラットフォーム(続)

先日、「宗教者のためのシェアリングプラットフォーム」について書いた。 また、方丈庵読者グループでこのテーマをめぐっての意見交換をさせていただいた。ご協力くださった方には心より感謝。自分なりにさらに考えを進めたことを以下、箇条書きでまとめる。自分用のメモ書きなので、断片的で不親切なのはご容赦を。 <前提> ・教団宗教は終了 ・宗派仏教は終了 ・単立寺院のみならず、被包括寺院もみな実質的に単立化 ・寺院・僧侶の宗教的根拠とアイデンティティの喪失 ・宗教法人法の改革(あるいはよ

方丈記2020(June)

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誰の土地でもない“神の島”

久高島を知っていますか? 沖縄本島の東南部の沖にあるこの離島は、琉球王朝時代から神聖な“神の島”として大切にされてきました。 この島の大きな特徴は、土地の所有者が存在しない、ということです。日本国の法律において所有権の設定されない土地は存在できないはずなので(詳しい人教えてください)、存在しないというのは正確ではないかもしれません。「“神の島”は誰の土地でもない」という理念を日本国の法律の枠組みに収めるために、「総有」という形態をとることによって、その理念に近いものを実現し