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コロナ禍の爪痕 〜街の惨状を見て思うこと〜

緊急事態宣言が明けて

新型コロナウイルスが猛威を奮い始めてからどれくらい経っただろうか。この数ヶ月で人命が奪われ、生活が壊され、経済が壊され、文化が壊され…世界中でとてつもない被害が発生している。それは私の住む松山市でも例外なく起きており、また私自身も被害を被っている。

先日、緊急事態宣言が解除された。これにより営業自粛を余儀なくされていた街の飲食店にも灯りが戻ってくるはず。そう思いたかったが、事態はあまりにも深刻であった。

死に瀕した繁華街

2020年6月4日21時半頃、久しぶりに中心街を訪れた。実は私、前日まで入院していた。いろいろ祟って胃痛が悪化したりと散々な目に遭っている。私事はさておき…街に出てまず最初に目に入った景色に戦慄した。人通りが全くというほど無いのである。

確かにここ数年は景気が良くないといった空気感が街を包んでおり、人通りも寂しいものであった。だが、その頃と現在の状況はあまりにも違いすぎる。ふらりと二番町の裏通りに足を踏み入れた。いつもであれば怪しげな中国系のネーチャンが

「オニーサン、マッサージアルヨ」

と客引きしてくるエリアである。が、誰もいない。

そのまま八坂通りへ抜けてみる。この通り沿いにはいわゆる案内所が多く軒を並べているが、さすがにここは営業中だった。

「1軒どーですか?」

と元気良く絡んでくる方がいれば、人通りが無く仕事にならない為か同業者間で雑談に興じている方達もいる。何にせよ、繁華街のメインストリートにおいて、通行人より客引きの方が多いとか異様な光景だ。


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※二番町の裏通り。店の灯りがまばらな上人通りがほとんどない。


進む二極化

街中を歩きながら、お店にも目を向けた。ざっくりと見渡した限りでの見解だが、全体の1/3ほどのお店は今も閉まっていた。その中には休業の貼り紙ではなく、テナント募集と貼られているものもあり、なんとも言えない気持ちになった。

営業中のお店についてだが、コロナ対策の為か入口のドアを開けっ放しにしているお店が多くみられた。この施策は個人的には良いと思った。外から店内の様子が見えるので、初めて訪れる場合に入りやすい。

新規開拓で新しいお店に入ってみたいという欲求が湧いてきたが、馴染みのお店の状況が気になったのでその考えを頭の隅に追いやる。八坂通りを一番町方面に進むと、馴染みのお店が見えてきた。灯りはついており営業中だ。このお店の壁面は擦りガラスのようになっておりうっすらと中がみえるが、カウンターがお客さんで埋まっている。これは盛況だ。心配する必要は無かったかとバツの悪い笑みを浮かべて立ち去った。

私はどうも面倒臭い性分で、こういう場合例え席が空いていてもゆっくりできそうにないなと思うと他の店に向かってしまう。すぐ近くに別の馴染みのお店があったが、ここも盛況であった。そうかと思うと通りすがりに見かけたお店ではお客さんは1人もおらずガランとしている。

私見になってしまうが、これから先はある程度の人数の常連客をうまく囲い込めたお店こそが生き残れるのではないだろうか。逆に観光客を含めて一見さんに期待する方法は通用せず、やがて立ち行かなくなる。そんな二極化が進むが生き残れるのはごく一部、もし生き残ったとしても街そのものが衰退していく。そんな未来を想像してぞっとした。

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※一番町から見た八坂通り。こちらも人通りはほとんど無い。


出口の見えないトンネルのような

私はこの街が好きだ。居酒屋のカウンターでたまたま居合わせた酔客と意気投合したり、飲み友達から怪しげなお店や隠れた名店を紹介してもらったり…本当に色々あった。

もしこのままコロナ禍の影響が続くと、宝石箱のような煌びやかなネオンの光は失われてしまうのだろうか?楽しく飲み歩く人々も威勢よく街を盛り上げる方々も姿を消すのだろうか?

では衰退を押し留め、元の活気を取り戻すにはどうすれば良いのか?口惜しいが私はその答えを持ち合わせていない。ただ一つ言えることは、コロナの収束を待つという考えで時間に解決を任せると、手遅れになるということだ。そうならない為に、この暗く長いトンネルをどうにか抜け出してほしい。


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