読了「RAGE(レイジ)怒り」

(ボブ・ウッドワード・著。伏見威蕃・訳。日本経済新聞出版・刊。2020/12/4発売)
2021/8/12(木)夜読了。honto電子書籍にて。

著名ジャーナリストによる、トランプへのインタビューと各種調査・情報収集に基づき、トランプが大統領になってから2020年7月までの動きをまとめたもの。
著者のトランプへの質問が鋭く、トランプの回答についての検証も丁寧に事実と照合。
事象が小分けになっているので、ちょこちょことぶつ切りに読んでも面白い。つまり、どこを読んでも面白い。

私は、トランプはいろいろダメだと思うが、
(金儲けのためや、金を持っていれば、何をやってもいい、なんてことはありえない。社会共通の価値観、社会で決めたルールの遵守、個人の相互尊重、倫理観、道徳感、責任感、知性など、必要なこと大切なことは山ほどある)
もちろんトランプが大統領の期間の業績というのもあると思う。
ただ、その業績はトランプじゃなくてもできたものかもしれないし、トランプにしかできなかったものなのか、その仕分けは必要。
(ちなみに、日本でも同じ。安倍菅100%なんでもダメという論調は能が無い。ちゃんとやった部分があればそれは評価すべき。それでも、政治倫理的なコアの考え方が賛同できないというのであれば、理由を明確にして批判すればいいし、落選させればいい。)

それでもトランプがダメだと感じることは、
そこに「それはやっちゃダメだろ」という事象、理由があるからで、
トランプに関して受けるその一番は、「嘘はついちゃダメ」ってこと。
頻度と内容がとにかくひどい。二枚舌も含めて。
嘘や二枚舌をやられると、その人がからむことは、ほぼ間違いなくトラブルになる。
私のような一般民だってたまに仕事や私事で運悪くそういう人に当たるとものすごく困るし疲れるのに、アメリカの大統領が嘘や二枚舌(しかも無戦略)、よく世界が4年間もちこたえたもんだと思う。それこそ奇跡。

もう一つ、本書の中で繰り返し語られる、トランプのダメなところは、「煽ってはいけない分断を煽った」ということ。
たしかにそう。そんなことは社会として許されるべきではなく、それこそ「何でもあり」になってしまい、少し大きな視点、将来視点を持てば、すぐに破綻し、社会全体としてのコストが増大することは火を見るよりも明らか。過去の歴史が証明している。
社会全体を見ず、特定の団体の利益ばかりを優先しては、個別団体の自己主張ばかりが跋扈し、譲り合わず、当該社会全体が退化するだけ。

最後に、トランプは、前述の「分断を煽る」ということを含めて、自分が「選挙に勝つこと」およびそれによって自分にもたらされる権力を第一に考えているということがダメ。
ただ、この「選挙に勝つこと」というのは、全世界どこの議員にとっても必要なことのため、トランプに限らず、票を入れてくれる人の言うことを聞きたくなるのが議員のサガ。
それでも、どんな議員も、当選して仕事をする予定の行政単位の社会全体が中長期的にも最大に幸福になるように政策を立案して実施することを壮大かつ緻密にビジョンとプランとして選挙民に語って、その政策の必要性を選挙民に納得させ、それをもって票を得て当選すべき、と思う。

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