読了「無敗の男 中村喜四郎 全告白」

(常井健一・著。文藝春秋・刊)
2021/3/27(土)朝、booklive電子書籍にて読了。

中村喜四郎という人物はとても興味深いし、勉強になる。
それは、本書の中村喜四郎氏本人や周辺の人物への取材での口述や、周辺の事実などから、良く理解できる。

一方、著者である常井健一氏は、
中村喜四郎氏から口述を引き出した点は優秀かも知れないが、
各種分析は一面的、短絡的で、間違った推論でよくやる「母集団を大きくする」(「みんな」「いつも」「絶対に」といった文脈)や決めつけが多く、仮説や推測、一意見としても、違和感が大きすぎて読むに耐えない。特に最終章でひどくなった。
そもそも、中村喜四郎氏を語るなら、中村喜四郎氏が社会に対して何を成し遂げたいのかを知りたいのに、
選挙に負けない理由の部分が本書の大半を占め、成し遂げたいことや成し遂げたことは中村氏が多くを語らないとはいえ、最終章に配置され、そこまでの選挙ばかりの記載を我慢して読み進めてきたのに最終章が前述の違和感に満ち溢れた分析であったので、読後感が非常に悪くなった。
中村氏を、選挙のごく一部の側面に限ってトランプとなぞらえるのは理解できるが、
人間は違うがといくら断っても、中村氏を全般的に単純にトランプ現象と似ているというのは、中村氏に失礼だと思うし、中村氏本人も本書内で暗に不快感を示していると見てとれた。

違う著者による中村喜四郎伝を読みたい。
何より、単純に、中村喜四郎氏の演説や著述を読む方がいいのかも知れない。

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