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男2人×女1人の恋愛事情⑪ なんだか落ち着く

部屋の空気が変わった。
 涼太がぐいっと私を引き寄せる。
 涼太の心臓は、痛いぐらいにドクンドクンと波打っていた。

 涼太の腕の中は思った以上にゴツゴツしていて、強制的に男の人だと認識させられる。
 「ごめん、ごめん、今のは失言だった」
 そう言いながらも、私は涼太の腕の中から出ようとしなかった。
 久々の人の体温。気持ちいい。なんかいい匂いもするし。すごく落ち着く。

 なんと、その姿勢には触れずに、そのまま私と涼太はおしゃべりをした。
それも楽しく、まったり、癒されながら。
 抱きしめられているから、涼太の下半身が大きくなっている事にも気づいていたけれど、涼太はそれ以上、私に手を出したりしなかった。

 涼太は、本当に私に何もしなかった。
チェックアウトの時間がきて、私は涼太を家に送り届けてから家に帰った。

 家に帰ってから、今更ながら、胸がどきどきする。
今日あった事は本当に現実なのか。いや、現実なんだけど。
とりあえず、「ホテル行く?」なんてつい口から出ちゃったけど、涼太にドン引きされなくて良かったー。いや、そうじゃなくて。
 頭の中をぐるぐると思考が回る。思考が回ったうえで、今日の場面を思い出し、思考が停止する。その繰り返し。
 明日、私関西に帰るんですけど!

 予定通り、私は次の日関西へ帰った。
 家についたのはもう夜に近くて、へとへとで早めにお布団にもぐる。
 「・・・」
 私は布団の中で、涼太に電話を掛けた。
 「もしもーし」
 涼太がいつもの口調で電話に出る。

「もしもーし」
私も普段と同じように電話に出る。
それから、いつも通りのたわいないおしゃべりを交わした。
沈黙が訪れるまで。

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