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ビートルズ“Revolver”再販:いや、そりゃそうなんだけど…っていう話

注意❗️❗️
今回の主張は、今回の再販物について販売側に非がないと個人的に判断した上での物であり、常日頃から販売側の判断全てを肯定しているわけではありません。
クソなものははっきりクソと言うのが私の心がけです。

・ビートルズ“Revolver”のスーパーデラックス版が遂に出るよね

今週末、ビートルズのアルバム”Revolver”のスーパーデラックスエディションが発売されますね。

私が初めてこのアルバムを聴いたのはモノボックスのCD。「ビートルズといえばモノラル」というレビューが多く、初めに買うならこれ!と決めて買ったボックスセットでした。この出会いがなければ、今の自分はいなかったかもしれない。
今まで私が聴いたアルバムtop5に入るアルバムです。

さて今回収録されるステレオ音源は、最新のAI技術により元のマルチトラックをさらに細分化し再ミックスするという、なんとも興味深い技術が使われてます。

ボックスセットの箱には、タイトルやロゴが無いアートワークが使われるみたい

Revolverの時代はマルチトラックは合計で4chしかなかったため、一つのチャンネルにいろんな楽器を詰め込むしかなかったんですよね。
んで今回の企画は、それをAI技術でセパレート処理をして再ミックスするという…本来不可能だったことを可能にする技術が用いられたわけです。

例えば1チャンネルのモノラル音源にベースとドラムが詰め込まれているなら、それをAI技術で
①ベース②スネア③ハイハット④キック⑤タム
のトラックに分けるということです。

本国イギリスのアビーロードスタジオでスーデラ試聴会が行われた際、様々な音に重なっているトラックから見事に抽出されたスネアの音だけを単品で流してみせたそうですから、その技術は本物でしょう。

元々はディズニー配給のドキュメンタリー
“Get Back”にこの技術が用いられ、今回のリミックスにも使用が決まったというのが一連の流れのようですね。

ルーフトップパフォーマンスのボーカルも、このAI技術で
セパレートされて再調整されている



先行公開されたこの動画で、その新ミックスを聴くことができるんですが…↓

いや、これはすごい完成度です。
2009リマスターを聴いたことある人ならわかると思いますが、いい意味で現代風に生まれ変わってますね。


スーパーデラックス版はフィジカルのみならず、ハイレゾやサブスクサービスでの配信も予定されており、これは例年リリースされるスーデラ系では定番となってましたが…
今回のスーデラ、オリジナルモノラル版も収録されるんですよね。しかも発売当時の初期プレスのみに収録され、即取り下げられたTomorrow Never Knowsのモノミックス別バージョンもアウトテイク枠でリリースされます(この初期プレス盤は、ものすごい高値で取引されている)。

Revolverのモノ版は、デジタル音源で言うと公式からはモノボックスCDしか出てなかったのです。モノボックスCDはバラ売がなかったので、わざわざその為にモノボックスを買うのはあまりに高い。

だからサブスクでハイレゾモノが聴けるなんて、事件ですよ!?(?)

っというわけで、新ミックスもアウトテイクもモノミックスも楽しみにしているわけです。


・いや、そりゃそうなんだけど…

ここからは愚痴。腹立ってしょうがなかった。

Facebookなどで、しばしばビートルズ日本公式アカウントの広告を目にするのですが…やれ「オリジナルレコードで十分!」だの「金儲けだ!」だの
コメントが散見されるんですよね。

ここで私から一言。

うるせーよ!!!!


はい。では一つずつ反論していきましょう。



エントリーNo.①:「オリジナルレコードで充分!」

当時のレコードの音が良いのは、ビートルズをある程度聴いてれば勝手に耳に入ってくるレベルの知識で、そんなことは百も承知です。

が、今時のリスナーは、コメントしてる彼ら彼女らほど良質なリスニング環境を整えてるわけでも、ましてやターンテーブルを設置しているわけでもありません。

そもそもおたくらが言う「オリジナルレコード」なんて、クソ高くて買えやしねぇんだわ。
しかも、じゃあその盤を”デジタルと同等またはそれ以上のクオリティで安定して“再生するために、トータルでどれだけ設備費用がかかるのか?
ターンテーブル、針、カードリッジ、アンプ、スピーカー、ケーブル、電源、空調、部屋……挙げたらキリがありません。
余裕で設備だけでウン十万円以上かかるし、スマホやネットで手軽に聴くのが主流の若年層には非現実的な世界です。

そういう主張をし続ける層がいる限り、「ビートルズはめんどくさいマニアしかいない」とか「敷居が高そう」と側から思われ続けるんでしょうね。


エントリーNo.②:「金儲けだ!」

レーベル会社は、自身が抱えるアーティストの楽曲でどれだけ利益を出すか、長期的に持続/保存させるかを考えるのが仕事です。過去に流出した可能性があり著作権的に危うい物でない限り、アウトテイク等を小出しにするのは当然の判断です。それはアーティスト側も同じことを考えるはずです(一部バグってるアーティスト管理団体もあるけど…)。

アナログからデジタルを股にかけた再販を経てあらゆる世代に聴いてもらっているからこそ、今もなおビートルズは輝き続けているのではないでしょうか。ビートルズが凄いのは勿論です。ただレーベル側や管理側の努力も素晴らしいと思います。

音楽レーベルを慈善団体か何かと勘違いされてる方が多いですが
それは間違ってますよ。

③まとめ

ビートルズのスーデラがデジタルで同時発売(しかもフィジカルと比べても超安価)されているのは、間違いなくサブスクやデジタル音源で曲を聴く若年層を意識していると思いました。
リミックスを担当しているジャイルズマーティンは、オリジナルへの敬意とその点の、互いのうまい落とし所を探った上で作業したはずです。

一人でも多くの人が、今回のスーパーデラックス版をきっかけにRevolverを好きになってくれればと思います。

発売日が楽しみですね〜〜

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