読み終わったあと、じわじわ辛くなるんです。天冥の標1ネタバレ感想

天冥の標の1巻を読んだ感想(ネタバレ版)です。
ストーリーを追っているうちはメインキャラに注目していて気づかなかった(気にしなかった)のに読み終わって時間が経つと辛くなってくる、という話を書こうと思います。

1メニー•メニー•シープ
本作のメインキャラは、セアキを中心とした海の一統などの陣営です。彼らには「領主の弾圧から人々を解放する」という明確な「正義」がありました。つまりほぼ最終盤までこの作品は「正義が腐敗した体制を打倒する」という筋書きで進みます。
ところが途中から雲行きが怪しくなります。ダダーの登場あたりからです。そして最後に領主(臨時総督)が理解が得られないまま孤独に闘っていたことが明らかにされます。

この体制側の正義と、その正義を打ち破ってしまったが故に訪れた悲劇がこの作品に冒険活劇ではない読後感を与えているのだと思います。
( この構図がすこしガンダムseedディスティニーに似てます)

そして大きな組織はそれ自体が目的化して正義になり得ると考えると利己的な役人や軍人でさえも正義に奉仕しているという見方もできます。

果たして、部下にも暴君だと思われながらダダーという超越的存在に人々を救う為に人々を虐げる様求め続けられたユレイン3世は何を思いながら死に至るのでしょうか?

今後も8巻でユレイン3世が再登場するかどうか僕はまだ知りませんが彼の内面を想像しながら序盤の彼の行いを振り返ると辛くなってきます。

あと2巻の読後感は言わずもがなです。

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