アウレーリア一統 感想
天冥の標3巻 アウレーリア一統を読み終わりました。前巻よりもマイルドな感じに仕上がっていたなって思ったのは前巻で叩きのめされたからの様な気がします。
以下、少しばかりネタバレが入ります。
ドロテアの忘却炉を追うストーリーの構図がガンダムUCに似ている様に感じました。
面白いと思った箇所はたくさんあって、いずれ個別にnoteにしようと思っているのですが、今回は作中の国家や準国家のあり方について好きなポイントを列挙していきたいと思います。
作中の時代設定は西暦2300年代の結構な未来で、人類は宇宙に進出し小惑星帯に小国家群を築いています。作中に出てきた主だった国家だけでも、ノイジーラント大主教国、救世群連絡会議、日本特定患者群連絡医師団、ロイズ非分極保険社団などが出てきます。
この中で特に興味深かったのがノイジーラント大主教国とロイズ非分極保険社団です。
ノイジーラント大主教国は<酸素いらず>たちの国家で、その成り立ちが作中で説明されています。詳しい内容は本を読んでもらいたいので書きませんが、海の一統に馬で連なる彼らの生き様が形成された背景を知るのは面白かったです。こういった作品間のゆるい繋がりが天冥の標の魅力なのではないかと思います。
そしてロイズ非分極保険社団は名前の通り、保険会社です。普通の保険会社と違うのは法廷戦艦をはじめとした武力を保持してその庇護を保険として売り出すなどをしており国家に近い振る舞いをしている点にあります。
企業が国家に近い振る舞いをすると言うSFは多く、僕の好きなタイプのSFなのですが(サイエンスを押し出してないからSF的かと言われると微妙ですが)現実世界の国家も保険に極めて近い性質を持っているな、と考えさせられる設定でした。
現実世界の国家は税金や文字通り保険料として国民(被保険者)から金銭を受け取り見返りとして様々な社会保障、治安維持、消防、外交国防などを提供する保険組合とみなすことも可能です。
作中では、ロイズが国家に対して統治行為を受注しようと持ちかける描写があります。その際に、統治行為のほとんどが非採算的と言っているので国家を営利団体の保険会社に置き換えればいいと言うものではないのかもしれません。
今は、読み終えたばかりであまり整理されていませんが追加の感想も思いつけば書くと思います。
2巻に引き続いてのダダーの独白パート。全宇宙規模の情報生命体同士の戦いに翻弄される人類って構図が結構好きで天冥の標のポイントが上がりました。
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