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何故、koeを設立したのか。

最初の投稿でもあるので、koeを設立するまでの経緯を書き記したいと思います。

1.とにかく建築が好き。

自分はとにかく建築が好き。特に建物の外観や内装のデザインが好きです。大学では建築意匠設計の研究室で日々設計課題に取り組んでました。しかし、課題をやればやるほど、建築デザインだけでなく、建築のストーリーを考える事に楽しさを見出すようになりました。「この敷地に美術館を設計するなら、地元の人がどう使えるようにしたら面白いだろう?」「そもそも、このエリアの人は普段どのような生活送っていて、どんな機能を町にもたらすべきなのだろう?」「美術館に違う付加価値を付けるべきなのでは?」そんな考えが巡り巡って、建築に楽しく関わり続ける為には、建築の前後にある企画設計や経営・運営まで出来るようにならなくてはだめだ!そんな思いが強まり、私は建築に関わりつつも、企画や運営に携わる事の出来る広告代理店(東急エージェンシー)に就職を決めました。

2.広告業界でまちづくりに出会う

広告代理店では、営業として百貨店・車メーカー・家電量販店など、様々なクライアントの広告・広報・イベント等を担当。そして、ある程度の経験を積んだ後、私は本来の目的を果たすべく動きます。建築に関わりつつも、企画から運営まで携わるにはどうすれば良いか。私には入社してからずっと思い描いているビジョンがありました。それが「まちづくり」でした。まちづくりには様々な点で建築が関わりつつも、まちを良くする為に色々な観点から企画・運営が実施されています。私はこの分野に関わるべく、そして、自分自身で移住を経験すべく、本社から九州支社への転勤希望を提出。そうして、九州支社で九州エリアの会社のお手伝いや、行政と広報を中心としたまちづくり業務を実施するに至る事が出来ました。

3.まちづくり事業への疑問

営業努力の甲斐あって、地方空港の再開発から地域PR動画の企画・制作、首都圏での地域PRイベントなど、様々な地域事業に携わる事ができました。そのほとんどが行政、つまり、地域の役所や県庁との仕事でした。そんな中、行政との仕事に一つの大きな疑問を抱くきっかけがありました。私はとある市役所から地域のPR動画制作の相談を受けました。内容は、動画を制作し、認知度を上げ、魅力を周知する事で移住者を増やしたいと言う内容。当時は地域PR動画が流行っていた事もあり、予算もそれなりにあるとの事でしたので、私はオリエン返し(依頼された内容とは異なる内容の提案)の提案を実施。「動画は既にたくさんの地域でやられています。動画だけではこのエリアの課題を解決するのは厳しいと思います。予算も十分にありますので、動画以外の手法で地域にとって最善の事業をこちらからご提案させて頂けないでしょうか?」もちろん、すんなり受け入れて貰える等とは思っていませんでした。それでも、お断りの理由が私にとっては衝撃だったのです。「国に対して動画を作る名目で予算を貰っているので、それ以外の事業は不可能です。」国から予算を頂いていると言う事は、当然税金です。私は、税金だからこそ、ギリギリまで実施内容を考え、ブラッシュアップを行い、事業をすべきと思っていました。でも、話を聞くと、申請が受理された時点で内容変更は不可。また、実施しないと言う判断も無いとの事。もちろん、私が知り得ない様々な弊害や障害があるのだと思います。その予算を取るのにもの凄く苦労されたのだと思います。それでも、このルールにはどうしても疑問が残ってしまいました。この出来事をきっかけに私はまちづくりに対して様々な視点で勉強をするようになりました。何かを変えなきゃならない。でも、どうして良いか分からない。勉強と言いつつ、当初の私は、まちづくり関連の書籍を読み漁る事しか出来ませんでした。

4.一冊の本との出会い

たくさんの本を読み漁っている中、一冊の本の内容がとても胸に刺さりました。『地方創生大全 著:木下斉』。「税金に頼らない」「経営をしっかり行い、稼ぎを生む事業にする為に、民間と連携して事業を行う公民連携事業が必要。」私にはこの内容が、私が抱いている疑問への一つの答えであると直感しました。私は著者である木下斉さんのブログを読み漁り、ブログにたまたま記してあったメールアドレスに是非一度会って欲しいと連絡。(今考えても何て失礼なアポだったと反省しています。)お返事頂く事は難しいかなと思っていたのですが、何と、翌日には返信を頂き、すぐにお会いできる事に。そこで私は、木下さんから様々なお話を頂いた中で、「公民連携プロフェッショナルスクール」と言う著書にもあった公民連携を学ぶ事の出来るスクールがある事を知り(木下斉さんが講師の一人)、その場で入学を決意。

5.公民連携プロフェッショナルスクール

「都市の経営課題解決には、民間事業者・市民の活発な経済活動が必要であり、民間の公共への参画が必要不可欠。地域が抱える多くの課題を官・民、市民が志と責任・権限を持ち適切な役割分担をしながら連携して解決する。」スクールタイトルでもある公民連携のこの考え方に強く共感を抱き、同時に業務上疑問に感じていた事に対する答えの一つにたどり着いた感覚を今でもハッキリ覚えています。スクールには約一年通い、座学から実践者による講習まで、様々な観点でまちづくりに対して学ばせて頂きました。そして、この公民連携が全国で実践できている地域も人も少ない状況であった事も踏まえ、私自身が実践者になると誓ったタイミングでもありました。

6.そして独立へ

スクールを終えてからすぐに独立した訳ではありません。卒業後1年は、在籍していた広告代理店での実施を模索していました。しかし、公民連携はもちろん、まちづくりと言う分野において活躍する為に、私は経営スキルを身に付けたいと考えていました。広告代理店で経営を経験するには限界がある、そう感じ始めたタイミングで、一人の方からお声がけ頂きました。それが、今もお世話になっている、公民連携事業の最先端を行っている岩手県紫波町のオガールを経営しており、スクールの講師でもあった岡崎正信さん。『一緒に働かないか』と言うお誘いは私にとって願っても無いお話でした。そして更に、木下斉さんからも、独立を考えているなら早いに越した事はない!高校からやっている私が言うのだから間違いないと熱いお言葉を頂戴し、独立を決意。このお二人が居なければ、私はこのタイミングでの独立を決断出来ていなかったと思います。

7.最後に

このような過程で、私は合同会社koeを設立しました。ちなみにkoeと言う会社名について、名前は「声」のローマ字表記。『地域や人の声を聞き、自身が責任を持って声に出して発信し、行動する』と言う思いを込めて名付けています。私は決して前職が嫌になって辞めた訳ではありません。むしろ、暖かく見送ってくれた東急エージェンシーには感謝しかありません。私は、これからの広告代理店の営業は、経営スキルがあれば、より一層仕事の質も上がり、幅も広がると思っています。地域にとって必要な事業を構築し、成功させる事が目標ではありますが、同時に、前職に対して自分が身に付けたスキルを還元する事も目標であります。この2つの目標を実現すべく、私はこれからも走り続けます。

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