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2020年度「日本空間デザイン賞」大賞は3作品に決定

11月13日、東京・五反田の東京デザインセンターで、日本空間デザイン賞の贈賞式が開催された。贈賞作品は、9月26日に行われた最終審査で選出された、金・銀・銅賞の合計35作品。式の中では、金賞11作品の中から、2020年度の大賞である「KUKAN OF THE YEAR 2020」が発表された。

大賞に選ばれたのは、「渋谷スカイ」(エンターテインメント&クリエイティブ・アート空間部門)、「深大寺ガーデン レストラン Maruta」(食空間部門)、「熊本城特別見学通路」(公共生活・コミュニケーション空間部門)の3作品。

今年度は、空間と都市やサステイナビリティーとの関係性を考えた作品が目立った。新型コロナウイルスにより変化した人々の生活スタイルが、今後、空間デザインにどのような影響を与えていくのか。一時はタブー視された「人が集まる場」の在り方はどう変化し、空間の中で人と人とのつながりはどのようにデザインされていくのか。来年度以降もこのアワードに注目だ。

以下、受賞作品と審査員選評(『年鑑日本の空間デザイン 2021』より一部抜粋)

日本空間デザイン賞 KUKAN OF THE YEAR
「渋谷スカイ」

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【受賞者】
渋谷駅周辺開発計画共同企業体 亀井忠夫・勝矢武之(日建設計)RHIZOMATIKS 有國恵介
撮影/シンヤケイタ

審査員選評/山本尚美(株式会社資生堂 チーフクリエイティブオフィサー)
「渋谷スカイの立体的なつくりは、目線の変化を生み出し、『映える』ビューポイントは集中一点、インティメイトな時間と光の変化を楽しんでもらう大人の安らぎ場になっている。夜空に広がるスペクタクルな光の演出は都会の洗練さを感じるが、マジックアワーの光景は、人為的な演出だけではなしえない『時間』のランドスケープデザインだ」

日本空間デザイン賞 KUKAN OF THE YEAR
「深大寺ガーデン レストラン Maruta」

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【受賞者】
基本構想/田丸雄一 設計/古谷デザイン建築設計事務所 古谷俊一

撮影/新建築社写真部

審査員選評/渡邉康太郎(Takram コンテクストデザイナー/慶應大学SFC 特別招聘教授)「このプロジェクトは公と私のあいだ、『共(コモンズ)』を体現している。行政や民間企業などの特定の一者に依存せず、地域住民を巻き込んだ『共』によって管理・維持するコミュニティのあり方を探っている。みどり保全や環境・防災の意識を高め、今後予想される乱開発の潮流に逆らう、良い対案だ」


日本空間デザイン賞 KUKAN OF THE YEAR
「熊本城特別見学通路」

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【受賞者】
株式会社日本設計 塚川譲
撮影/益永研司写真事務所

審査員選評/五十嵐太郎(建築史・建築評論家 東北大学教授)「通路の下では、構造や建設の構法など、テクトニックな工夫がなされている。このプロジェクトは、史跡の整備・活用において新しい手法を提示しているだけでなく、3.11の震災遺構などでも有効に使えるデザインだろう」


※日本空間デザイン賞の最終審査の様子は、「月刊 商店建築」2020年11月号のNEWSコーナーで審査員のコメントと共に紹介している。また、今年度の受賞作品の情報などは、以下「日本空間デザイン賞」ホームページにも記載されている。https://kukan.design

文/月刊商店建築 編集部 贈賞式会場撮影/HIROSHI TSUCHIDA

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