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追悼 村上"ポンタ"秀一

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6387785

今回は、かなりプライベートな内容を……。

訃報を知ったのは、昼過ぎでした。
突然のことではあったけど、音楽界のレジェンドが続々とこの世を去っていたため、「いつか、もしかしたら……」という思いは心のどこかにあった。
体調が優れないって、何かとメディアで聞いていたし。
でもやっぱり衝撃でした。

14歳からドラムをはじめ、ポンタさんを知ったのは、16歳の頃。
知り合いのギターがバカウマなおじさんから「お前、ポンタって知ってっか!」と言われ、「いや、知らないっす!」と即答。
「ドラムやるなら、知っとけ」と言われ、ポンタさんが表紙のドラムマガジンをいただきました。

表紙を見た第一印象は、「この人は、なんか他のドラマーと違う」でした。マジで。
当時はうまくそれがなんなのか言えなかったけど、今思えば「華がある」と感じたのだと思う。
ドラマーのイメージと言えば、Tシャツにジーパンで、目立たず後ろにいる感じ。舞台衣装なんてこだわってないし、むしろちょっと無粋な雰囲気を漂わせるのが、逆に職人ぽい。それが当時の当たり前だったんだと思う。

しかし、ポンタさんはちがう。おしゃれで、髪型やサングラスや葉巻にこだわりがあることがありありと伝わり、その雰囲気のかっこよさに「芸能人みたいだな」と思ったことも覚えてます。

それは30周年記念アルバム「MY PREASURE」発売を記念してのロングインタビューが掲載された号だったんだけど、「とりあえず聴いてみよう」と思い、その足で「MY PREASURE」を買いに行きました。

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本当に自分が語るのもおこがましいんだけど、ポンタさんは天才だったと思う。

ドラムをやってて、「好きなドラマーは?」と聞かれてポンタさんと答えるのは恥ずかしかったから言えなかったけど、めちゃくちゃ好きでした。

たくさん作品を聴いて、18歳の頃には流れてきた音楽で「あ、これポンタのドラムだ!」と当てられるくらいには聴き込んだんだけど、ポンタさんのドラムのうまさは、ひじょーに言語化しにくいのです。

普通のドラマーだったら、「リズムがタイトでぴったり」「ちょっとモタってて、それが味になってる」「めちゃくちゃ手数が多い」とか、そういった特徴を列挙して上手さを表現できるんだけど、ポンタさんの場合、全てが特徴的かつレベルが高すぎて、「ここがすごい!」と逆に言えないのです。

一番近い表現だと、モハメド・アリの「蝶のように舞い、蜂のように刺す」。
これがまさにピッタリだと思ってるんだけど、一定のグルーブ・リズムの上で、「蝶のように舞ってる」感じがするのが、ポンタさんのドラムなのです(わかりにくっ!)。
※こんな感じで、上手さを表現しようとすると、観念的になってしまう

いや、Youtubeとかドラマガでも解説されてるんですよ。
「8ビートを叩いてても16ビートを感じさせる」とか、「ちょっとモタっててタム回しがオリジナリティある」とか。
でもそういった類のことは、全部彼の一部なだけで、彼を説明したことにはならない感じがするのです。

そんなドラマーは、世界中探してもいない。
ほんとに。
世界レベルの稀有なドラマーでした。

一度、ポンタさんを拝見したことがあるのですが、意外と小柄でびっくり!
ところが、ドラムに座ると、とても大きく見えるし、何よりドラムがめちゃくちゃ似合う。

上手い人はたくさんいる。
でも上手いだけじゃなく(それどころか超一流なんだけど)、見た目もプレイスタイルも華があり、言っていることも粋な、かっこいいドラマーなんて、いまだに彼しか知りません。
まさに不世出な存在だと思っています。

最後に、ポンタさんが語っていた言葉の中で、一番好きな言葉を。

「いろんな場所に行って、いろんな人間に会って、美味しい飯、美味しい酒、好きな服、好きな女…こういうものに出会って、いろんな気持ちを抱く。それをドラムに利用するんだ。これも練習なんだよ」

ドラマガで読んだのだと思う。
何年も前に、手帳にメモをしていました。
こんなことを言うドラマーがかつていただろうか。
この一文で、魅力が伝わると思います。

特別に面識があるわけではないけど、本当に大きな影響を受けました。
ご冥福をお祈りします。

ありがとう!

※ついでに…Youtubeでポンタさんの音楽はいろいろあがってますが、個人的に好きな1曲を。

ほんと、すごすぎて何やってるかわかんないよね笑

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