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散歩と男の子

仕事の休憩時間中、たまに職場の周りを散歩する。

道路を挟んで向かい側から
「冬と言ったらふ~ゆっ♪」
と繰り返す男の子の声が聞こえて来た。

今日の最高気温30℃だけどなと、心でツッコミながら、その自由な声がどこか快く感じて、思わず男の子のいる方を振り向いた。

男の子は僕と目が合って、即座に声を止めてしまった。

いや、もしかしたら、僕は身体が大きいし、今の僕は天然パーマが膨張してアフロヘアーになっているので、そんな僕の様態にビックリしたのかも知れない。

でも、男の子の止まり方は明らかに「見られた」ことに対しての反応だった。

恥ずかしい思いをさせてしまった。
僕は振り向かなければ良かったと、少し後悔した。

逆の立場だとして、
もし僕が子供で、ご機嫌に歌ったり、リズムを刻んだりしてるところをおじさんに見られたら、一瞬で恥ずかしいと感じてしまうと思う(ましてや184cmのアフロヘアーの男がこちらをギョッと見てきたら、恐怖すら感じるだろう。)

もちろんそれは勘違いかもしれないし、思い過ごしかもしれない。

僕自身は子供の頃から、他者の目に過敏に過ごして、縮こまっていた覚えがある。

おとなしくすることで、大人に喜ばれる。
すると子供は、おとなしくすることが良いことなんだ!と、気付くようになる。
逆に外でギャアギャア騒いでる人を見かけると、その人をネガティブに感じてしまうようになる。

今となってはそんなの他者がどう見ようが、自分の好きな歌を歌って、心地いいリズムに乗って、思いっきりステップ踏んじゃえば良かったんだと後悔することが多い。だから余計にそう思うのかもしれない。

男の子は、ご両親と一緒に車を降りて、これから歩いてどこか出かけに行く様子だった。

楽しいお出かけになるといいなと思うし、
大人の僕だって、ご機嫌なときは楽しい歌でも歌ってやろう!とも思う。

職場に戻る道中、季節違いでトンチンカンな「冬と言ったらふ~ゆっ♪」のリズムが心の中でループして離れなくなった。

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