見出し画像

やさしいひとたち① 山田健太(INAGO-DX)

☆山田健太
 INAGO-DX(イナゴ・デラックス)所属
 広島を拠点に俳優として、INAGO-DX公演や外部公演で活躍
 その他、脚本・演出・作詞など、活動の幅は多岐にわたる
 初代・2代・3代・6代目「声だけTHE SAN-DAI」優勝
 「カブフェスオンラインTHE SAN-DAI」岡田杯受賞
ゲスト:山田健太(INAGO-DX,以下『山田』)
聞き手:川村祥太


山田 川村さんが舞台に立っているところを、ガッツリ見たことがないんですけど……そういえば去年の4月あたり、公演が飛びましたよね?

 ーーあ、そうです。劇団たわけものの本公演の予定が飛びましたね。

山田 あれ、観に行けそうだったんですよ。だから、(公演の中止が分かって)うわーー!!ってなりました。

 ーーあの頃は、他の劇団もバタバタと公演中止になってましたよね。そういえば去年は、INAGO-DXさんでもリモートを駆使した公演が行われていましたね。

山田 リモートの形態では2回ほどやらさせていただきましたけど……正直飽きました。

 ーー実際の生の演劇と比べたらそれほどですか?

山田 なんだろう……にんにく食ってても、映っていなければ下半身裸になっても大丈夫だし、あとは、やり取りの、ほんと、コンマ何秒とかのラグが、イラついてくるんです。

 ーーあぁ、分かります。軽く、少しずつ遅れていく感じがあって、思っているよりも伝わりづらい感覚はありますよね。

山田 人間の感覚って鋭いから、無意識にラグを感じちゃうじゃないですか。それはストレスですね。逆に現実で、電話をするときはラグがないから、普通に話している感覚になりますよね。

ーーコロナ禍の直前に「石橋を叩いて割る会」を拝見したんですが、初めて山田さんの執筆したお芝居を観ました。

山田 僕が高校生の時演劇部で、出演もしてましたけど、それこそ当時から作品を作ることが好きで、好きな映画とか、好きな小説の話を「この話がこう展開したら面白くない?」って、ifストーリーを考えるのが好きだったんです。それが高じて演劇部で脚本を書いて、部員に見せたりしてました。高校の入学当時、部活動紹介の時間にたまたま、体育館で演劇部がやっているのを観に来たんですけど、見学してる生徒が4、5人しかいなくて、終演した後にその当時の演劇部の部長が「囲めー!」って叫んで。

 ーーあ、観ていた生徒を囲んだんですね。

山田 そう。それで、持っていた入部届を奪われて、無理矢理入部させられたんですね。当時は演劇やりたい、っていう欲も全然無かったですし、むしろ「目立ったらいじめられる」と思ってたんですけどね。
高校の演劇って「学業の延長」だから、テーマ性がしっかりしてないとダメだし、何かしらのグループポリシーがあって、それに準じてやって行くみたいなところがあるじゃないですか。それが僕にとっては面白くならない原因で、あ、クソつまらねぇ。って思ってたんです。
その時に、演劇部の卒業生に誘われて、工房ギルドという劇団の公演を観たんです。当時、「オープニングアクト」と言って、冒頭にコントみたいなことを上演してたんですけど、観て「あ、これやりたい。コントだけでもいいからやりたい。おもしれぇ!」って思って、すぐに工房ギルドに入ったんです。

画像1

山田 工房ギルドに入るときは高校生で、親の承諾を得ないと入れなかったので、親に劇団に入りたいと言ったんです。そしたら、まあ、当然ですけど「お前は高校生だし、学業が本業だろ。二足のわらじは履けないぞ」と言われたので、あ、そっか、と思って「高校辞めます」って。

 ーー(笑)

山田 「いや、そういうことじゃない」と(笑)

 ーーなぜそこで、学業を捨てよう、ってなったんですか?

山田 僕は、「どちらか1個選べばいいんだ」と思ってたんです。

 ーーああ、なるほど……

山田 そしたら「いやいや、そういう意味じゃない。分かった分かった、やればいいから、その代わり高校は卒業しなさいよ」と。

 ーーそれほど工房ギルドに入りたいと思わせたものは、なんだったんですか?

山田 これならやりたい!と思ったんです。高校演劇は微妙だけど、こっちならやってみたい、と思ったんですよね。
その後、入団した次の公演で、若手でそれぞれ1本コントを考えてみろよ、と言われてコントを書かせてもらう機会があったんです。でも、締め切りまでに書き上げたのは僕だけで(笑)それで結局僕のコントが採用されて、演出も僕がすることになって、出演もしました。でも、劇団のベテラン勢には「なんだこの本は?クソじゃねぇか」って叩かれて。

 ーー締め切りまでにきちんと書いたのに(笑)

山田 なんだこれ、って(笑)

 ーーそう思いますよね。

山田 そのときはコントの他にも、劇作を1本書いたんですけど、まあ中二色満々で、もう一回やり直したい!って今でも思いますねぇ。

 ーーどんな内容だったんですか?覚えてる限りで。

山田 えぇっとねぇ……桃太郎の話で、よくある、鬼はホントは悪いやつでは無かったよ、的な話ですね。鬼たちは陽気な奴らだったのに、噂に乗せられて桃太郎が討伐に来る、っていう。勢いだけでやる、若手特有のお芝居、みたいな。
今でもその当時のVHSを持ってて、自分の中で「調子に乗ってしまったな」と思った時に見て、自戒してます。

 ーー(笑)

山田 「うわ!俺はこんなもんだったんだ!やべぇやべぇ」って。もう、見たら自害したくなる感じ(笑)

 ーー見たくないけど、見なきゃ、みたいな。

山田 そう。ただ、山田のお芝居とか、脚本はダメでも、当時の勢いがあって面白かった先輩の若手団員の皆さんたちがやっていたから、その作品の塊としては良いものだったんですよね。それをVHSで見て、初心に帰らなきゃというか、お芝居はみんなで作っていくものなんだ、ってこととか、調子に乗るなよ、お芝居って技術だけじゃないよな、ということを思い出したりしますね。

 ーー今でも見るんですか?

山田 見ます。見たくないですけどね。それ以外の、初期の頃の作品も見直したりするんですけど、次の日から腰が低くなれる(笑)何様だ俺、って思って。
今、代々木アニメーション学院で講師もさせてもらっていて、学生にはとにかく言わないといけないんですよ。でも、家に帰ってから全部ブーメランで刺さってくるんです。「台本読み込んでないじゃん」とか「ビジョン浮かんでるの?」とか、学生に言うんですけど……いや、俺は?って。

 ーー山田さんはストイックですね。自分の映像なんて見たくないと思う人が多いと思いますけど、見たくないのに、見なきゃ!ってなるんですね。

山田 いや、ストイックっていうよりも、単純に、上手くなりたいんですよ。昔だったら見返したい、とか思ってましたけど、今は上手くなって、エンターテイメントしたい、もっと思い通りに、色んなことをやりたいんです。思い通りにならないところがまだあるから、早く、自分のコントロール下に置きたいんです。

 ーーそもそも、書く側の興味があったところから、ここまで演じる側の願望が大きくなったのは、工房ギルドにいた時なんですか?

山田 工房ギルドは社会人劇団だったので、スタッフもキャストも当然兼ねてやったし、スタッフワークは一通りやらせてもらったんです。
その後、家出して、1年ぐらい演劇しなかったときがあって。

 ーー家出したんですか?

山田 そう、携帯捨てて家出して、寝袋だけ持って、バイクで九州まで行って。

 ーーおぉ……

山田 19歳の誕生日は、家出をした先で迎えたんです。

 ーーそんな放浪の旅をした時期があったんですね……

山田 ひどかったですね……ひどかった。結局1年後に広島に戻ってきたんですけど。

 ーーだから、その1年間はずっと九州にいた。

山田 1年のうち後の半年間ぐらい焼肉屋で、住み込みで働いていましたけど、最初はバイクのガソリン代がないから、家出早々にバイクを押して歩くことになって、バイクがただの重い荷車になったんです(笑)
しかも、家出した直後が春先か冬ぐらいで、福岡の峠あたり、道の駅の駐車場でガス欠のバイクを停めて、寝袋で寝たりしてたんですけど、起きて寝袋開けようとしたら「バキバキバキッ」って音がして。九州だけど冬頃の峠で、めちゃめちゃ冷えてるから朝露が凍っていたんです。しかも髪の毛にも霜が降りていて、枕元の灰皿の中に溜まった水も凍っていて。

 ーー凍死しそうなぐらいの(笑)

山田 そう。それでお腹も空くし、飲まず食わずだったんですよ。僕が広島を出て行った時は色々な人間関係に嫌気が差して「誰もいないところに行ってやる」みたいな気持ちだったんですけど、結局家出した後、そうやって困っていた時に道の駅の駐車場で車中泊していたおばちゃんが、「昨日から飲まず食わずでしょ?これ余りもんだけど食べなさい」って車から降りて食べ物をくれたりしたんです。当時めちゃめちゃ尖っていたから「あ、はあ」みたいな返事でしたけど(笑)その後も、そういう優しい人も誰もいないところで寝泊まりした時はもう、生ゴミを食ったりして。あ、マジか……って思ったけど、身体が生きようとするから。

 ーー生ゴミまで……

山田 そういう経験をしながら、その間もずーっと台本のネタを書いたりしてしまうから「あぁ、お芝居やりたいんだ俺……」って思いました。その後、広島に帰ってきて、ちょっとずつ、家出の前から知り合っていた演劇の関係者のところに顔を出して「すみませんでした。もう一度お芝居するチャンスをください」って頭下げていきました。その人たちとお芝居をやりたい、って。

 ーー1人旅の話は、今聞いて驚きましたけど、でも山田さんの感じを見ていたら1人旅していても不思議じゃないですけどね。

山田 カッコ悪い事ばかりでしたけどね……今もダメだけど、昔はホントにダメな奴だったんですよ。

 ーーでも……人って尖っている時期があるじゃないですか。

山田 いや、ありますよね。

 ーー尖りがなくなる人って、あまりいないのかな?って思ったりするんですよ。隠したり、形を変えたりしているだけなのかな、って。山田さんにとって、自分の中の尖りが変化した瞬間ってあったんですか?

山田 僕2回ぐらい、おいたしてブッチしたことあるんですよ。バイト先で言うと、バイトの子が連絡つかなくなって、そのまま辞める、というか、自然消滅、みたいに、演劇公演のオファーをもらって、稽古に行かずそのまま、みたいなことを2回やったことがあって、そのせいで「干された」時期があったんです。その時に「あ、俺は自分の力だけじゃお芝居できないんだ」って思い知ったんですね。1人では5人芝居できないんですよ。理想を掲げるのは良いけど、それだけじゃなくて、皆さまさまなのだと。そこから謙虚に、じゃないけど、信用してもらえるようになりたい、って思えるようになったんです。
ちょうどその時に武田さん(※武田宣裕:INAGO-DX主宰)が電話をくれたんです。
実はその前からINAGO-DXのファンで、昔「ミート ザ シナリオライターズ」っていう色んな劇作家の作品が上演されるイベントがあったんですけど、そこでINAGO-DXの芝居を観て「めっちゃ面白い!武田さんって面白い!」ってなって、武田さんは僕の中で「至高の人」になったんです。それで、次のINAGO-DXの公演は観るぞ、と思っていた矢先、電話で出演オファーをいただいたんですよ。うわぁ!と思って、「是非!」って言ったんですけど、「あ、INAGO-DX観れねぇじゃん……」って。
でも、そこからありがたいことに、毎公演キャストとして呼んでいただきました。でも僕は最初、ビビり上げていたんです。上手い役者しかいなかったから。背筋伸びるわ〜って。

 ーーイメージでは「俺の方が上手いでしょ」って思ってそうですけどね。

山田 そうでしょ?(笑)僕は態度もでかいし、顔面もデカイし、とっぽい、生意気そうって言われてましたけど、それが最初の印象としてあまり良くないんです(笑)可愛がられない後輩の典型なんですよ。

 ーーでも、確かに、物静かそうでもあるし、何を考えているのか分からない時はあります。

山田 それね、未だに水島さんに言われる。
(※水島さん=水島憲弘:INAGO-DX所属の俳優)

 ーー(笑)

山田 あの人は、僕が高2の時に、工房ギルドの客演で出演されていた時からの付き合いなんですよ。

 ーー正直、水島さんも何を考えているのか分からないイメージがあるんですよ。

山田 水島さんはね、それこそ竹を割ったような性格っすよ。INAGO-DX内でのあだ名は「人民の正義」ですからね。

 ーー人民!(笑)

山田 あの人はね、ホントに真面目、ジャスティス、って感じ。

 ーー広島じゃなくて、人民の正義なんですね。かなり大きな正義ですよね。

山田 あと、「広島の狂犬」とも呼ばれてる(笑)僕、水島さん大好きなんですよ。
そう意味も含めて、自分を成長させてくれるフィールドとしては、めちゃめちゃ良いんです。

 ーー僕、初めてINAGO-DXさんの公演を見たのが、「パイプ・ライフ」なんですよ。あれを見た時の印象がそれこそ、「上手い人しかいない!」だったんですよ。

山田 でしょ〜嫌な集団なんですよ〜

 ーー(笑)

山田 ホント、化け物級(の役者)が揃ってるんですよね〜

画像2

山田 他と遜色ないように、足引っ張らないようにすることがずっと、僕のテーマなんです。それは、お客さんが楽しめるものを作るには、そうした方がいいと思うから。僕がカッコ悪くならないように、ということではなく、観客に「観てよかった」「面白かった」と言ってほしい。僕も観客として、そういう舞台に触れ合いたいし、「満たされた」と思わせる舞台が、エンターテインメントだと思います。

 ーー山田さんのお話を聞きながら、山田さん自身の謙虚な姿勢から物事を考えたり、進めたりしているのだな、と感じました。

山田 謙虚、というか、自信がないです。

 ーー山田さんは、ご自分のダメなところはあんまり見せたくないんですか?

山田 だって、これ以上ダメな部分見せてどうするんですか、っていう気持ちですよ。

 ーーそもそも山田さんにダメなイメージはそんなに持ってないですけど……基本的に、舞台上の山田さんしか見ていないですし、舞台の山田さんは、かっこいい、上手い役者っていうイメージですけどね。

山田 え!こうやって褒められることないから、嬉しい……(照)

 ーー僕最近、広島で「スター」の俳優って誰だろうな、って考えたことがあって、女性だったら船木めぐみ(天辺塔)さんで、男性だったら山田さんだな、って思ったんですよ。

山田 えぇ?!僕の舞台見てます?

 ーー見てますよ、めちゃめちゃ見てます(笑)

山田 え、それって、どこがですか?

 ーー……まず何をもって「スター」なのかを考えると、僕の場合はシンプルに、この俳優を観たい!と思わせる人だな、と思うんですよ。その点、山田健太さんは、僕もそうだけど、周囲でも「山田健太さんが……」っていうふうに名前を結構聞くんです。

山田 それ誰ですか?(笑)

 ーーまあ皆さん、なかなかご本人の前では恐縮して言えないんだと思いますけれど。

山田 うそだぁ!(笑)

 ーー僕だってインタビューだから言えますけど、普段から本人の前で「スターですね」なんて、あんまり言えないですよ。

山田 え、LINE交換しましょうよ。

 ーーえ、あ、いいんですか!しましょう!(笑)

山田 僕、友達が居なさすぎて、大変なんですよ。

 ーー……確かに山田さん、友達が沢山いるイメージは無いです。

山田 (笑)まあ、そもそもまだ尖っているから、誰かと仲良くしなきゃ、ってならないんだと思います。
 でも今は、最低限人と仲良くなる努力はしなきゃな、とも思うんですよ。今までは飲みの席での顔つなぎとか、どうでもいいって思っていたんですけど、本当に最近になって、ようやく「誰々が広島に遊びに来たから、飲みに来ないか」っていう誘いに「ぜひ!」っていう返事が出来るようになったんですよね。そこで演劇の経験値が上がるかもしれない、上手くなりたいって思うようになったんです。でも、そもそも友達がいないから、知り合いが増えない。だから今回のインタビューも、僕はぜひ受けたいと、川村さんとガッツリ話したことなかったので。

 ーーいやぁ、ありがとうございます……(恐縮)

山田 こちらこそ、山田でいいんですか?っていう感じですよ。

 ーーいやいやむしろ、お芝居を見たこともない、よく分からない僕のインタビューを快諾してくださったことがありがたいです。

山田 逆に言えば、お芝居見たことないからお引き受け出来たところもありますよ。

 ーーなるほど。

山田 お芝居見たらその人のことが、なんとなく分かるじゃないですか。知らないことが入ってくる体験が好きで、すれ違って少し会釈するだけの相手と面と向かってしっかりと話すことで、その人の印象とか、関係性とかが変わりますよね。

 ーー演劇のお仲間と、そういったようにガッツリ話す機会って、あまりないんですか?

山田 劇団のメンバーとはしますけどね。特に武田さんには困った時に連絡して、話します。武田さんは脚本・演出で僕は俳優なので、稽古中に思ったこと、僕はこう解釈してますけど大丈夫ですか?みたいなことを聞いて、そこからお芝居の話を2人で延々と続けたりしますね。お芝居の話をしているときは楽しいですね。飯食わなくてもいいからずっとこういう話をしておきたい!って思いますね。そこを満たしてくれる環境って中々なくて、「この公演が終わったら討ち滅ぼされて、絶滅しても良いよね」っていうぐらい入れ込んでいる人たちと打ち上げで話すと、「これで終わってもいい」を通り越して「次、また公演打ちましょう」って自然となってくる、「次」の話が出てくる、恋人みたいに。そういう環境でやりたいですよね。

 ーーINAGO-DXに所属しているのは、そういった環境に恵まれているところも大きいのですか?

山田 そうですね。去年はコロナで演劇を行うのもままならない状況で、武田さんや劇団の制作と「この企画に出てみたいです」って相談した時に、武田さんから「君がこう言う状況下でこの企画に出演することを、どう捉えているの?」って言われたんです。はぁ?!って思って。僕ははっきり言ってやりたいだけで、都合が悪ければINAGO-DXの名前も、山田健太の名前も出さなくていいし、「ミスターX」でもなんでも良いから、やりたいんです!っていうことを武田さんに夜中泣きながら訴えたんです(笑)で、武田さんも変な人だから「うん、うん、健ちゃんがそう思うのは分かったんだけど、何を言いたいのかというと、俺も混ぜろよ」って。なんだそれ!って思いましたけど(笑)それ以降も僕がやりたいことを相談したり、武田さんからも「お前オンラインはあんまり好きじゃないかもしれないけれど、こういうのもやってみたら?」って言われたり。武田さんが言うんだから、何かあるのだろう、何かに繋がるのかもしれない、と思って、僕も積極的に引き受けるようになりました。

 ーー山田さんはコロナの第1波の真っ只中で、僕らの劇団も含めて公演中止となっている中でも、舞台に立ち続けていましたよね。

山田 それも劇団のおかげのところもあって。武田さんがコロナ禍が始まった直後くらいに、劇団の中で「山田くんは何か(お芝居を)やっていないと生活のバランスが崩れるそうなので、何か企画しましょう」って言ってくれたんです(笑い)そうやって、僕のことを理解してくれていたから、出来たところはありますね。

 ーー即興演劇バトル【声だけ】THE SAN-DAIでは、3連覇も達成されていましたね。

山田 そうですね〜これをきっかけに県外の演劇人の方々と交流することができて、いや〜ネットってすげぇなって、改めて思いましたね。これも、武田さんから「出てみたら?」と言われて参加したんです。僕、即興って苦手なジャンルなんですね。

 ーーえ?!苦手なんですか?3連覇もしているのに。

山田 苦手だからこそ僕は、前もって沢山練習したり、準備をしたりするんです。不安なので。

 ーーTHE SAN-DAIに挑むときの準備って、具体的には何なんですか?

山田 もともとTHE SAN-DAIは生の舞台で行われていたものだから、初めて挑戦したときは事前に、YouTubeにあがっている動画を見ましたね。「うわっ、すげぇ。怖すぎる……」って思いました(笑)でも、会場で恥かくか、オンラインで恥かくかの違いだから、それを考えたら大丈夫かな、とは思ったんですけど、シミュレーションしてみたらやっぱりうまくいかなくて、そこから一人で傾向と対策を考えて、どうテーマを繋げるかとか……あ、でも僕、真面目イメージが定着し過ぎると良くないかな(笑)

 ーー真面目イメージは定着し過ぎないと思います(笑)

山田 あ〜それはそれで残念ですけどね……(笑)

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?