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”謎多き”膝の前面痛 論文から『ヒント』を得る

臨床+に参加させていただくことになりました、樋口翔太(@Sho_Higu)です。運動器疾患や痛みで来院された方への理学療法を行っています。
上手く行った・行かなかった経験を踏まえて、皆様と有益な情報を共有できればと思います。何卒よろしくお願い致します。

今回のテーマは「膝の前面痛」についてです。膝の前面痛はpatellofemoral pain(PFP)anterior knee pain(AKP)と表現され、整形外科診療において最も一般的な膝の状態の1つと言われています。

しかし、多くの研究において膝の前面痛は”更なる研究・検証が必要”であると記述されており、未だにわかっていない事が多いと言われています。
多くの因子が関係しているとされており、治療においては

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とNATAの文献等で記載されるくらいです。
実際、PFPに介入することの難しさを感じることは多いです。
*患者さんにこの様な情報を、伝えることについては細心の注意が必要です。

今回、PFPについて調べたところ、セラピストの介入は「膝蓋大腿関節(PF関節)へのストレス因子を把握し、改善すること」が中心になります。

Petersonらは、patellofemoral pain syndrome(PFPS)を引き起こす因子を多くの論文の中から探し出し、アルゴリズムとして下記の表にまとめています。2)

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これらの要因がPF関節にストレスをあたえている為に、痛みを生じることとなります。PFPの病態は上記の図、黄色の因子に集約されます。

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動的な膝外反という表現は、聞き慣れないと思うため動画をご覧下さい。これらは、動的な膝外反の例です。一つ目の動画はバーティカルジャンプ(垂直跳び)、二つ目の動画はドロップジャンプ(Depth jump)です。

動作を比較すると、ドロップジャンプの方が高負荷・高難易度であるために台から降りた着地時、顕著に動的な外反を起こしています。

さて、記事の内容ですが、発症までのアルゴリズムを基にPFPを引き起こす「因子」の解説日本語論文の情報が少なかったため、海外の論文を中心とした情報から、「現段階で推奨されている治療・介入」の方法について解説していきます。

この記事は、臨床的な技術面の解説が少ないです。しかし、上記の知識が理解出来ることにより、介入する際の『道しるべ』になるのではないかと思っております。

では、今回の記事において核となる論文の紹介です。全て無料で閲覧出来ます。

International Patellofemoral Pain Research Retreat (IPFNR)からPFPを治療するための運動療法、理学療法に関する推奨事項の提示がされています。1)

膝蓋大腿関節痛症候群の根底にある病理、および治療法に関する根拠が要約されています。2)

National Athletic Trainers’ Association(NATA)からPFPの危険因子の特定と管理に関して、推奨事項を提示されています3) 

アスリートにおけるPFPの研究がまとめられています。4)

「膝蓋大腿痛の保守的な管理に関するベストプラクティスガイド」レベル1のエビデンスに専門家の臨床的推論を組み込んだ内容となっています。

これらを読むだけでも、臨床のヒントになる情報が沢山ありますので、是非ご覧下さい!!

Ⅰ.概要・病態

I-1.概要

PFPは若年期から青年期の活動度の高い方に多く、男性よりも女性が多く発症し、様々な病態・因子が関連するとされています。

痛む動きとして「膝蓋大腿関節(PF関節)へのストレスが増大」する階段昇降、しゃがみ込みや正座、長時間の同一姿勢保持時(movie sign)が多いとされています。

I-2.病態・予後

PFPは「病態の明らかなもの」「そうではないもの」に分類されます。9)

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明確な器質的障害を認めないPFPSは、原因不明の痛みと診断されることもあります。

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上記のことから2)、臨床で一般的な画像所見では「静的な評価をすることが多い」ため、問題が認められにくいのではないかと私は思っております。

「動作分析は理学療法士が得意」とする所です。後述しますが、PFP・PFPSに対しては複合的な治療介入が推奨されています。その中でも、運動療法の効果は質の高い根拠を得られており、動作分析との合わせ技で「我々の強みを活かせる」のではないでしょうか。

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PFPSに似た名称でAKPSがありますが、第1回のIPFNRで、これらは同義語と定義されました。

Ⅰ-3.PFP•PFPSと変形の関係性

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これまで、PFPSと変形性膝蓋大腿関節症(PFOA)は別の存在とされていました。しかし、最近のシステマチックレビューでは、若い時のPFPS発症が、後のPFOAの前兆である可能性があると示されています。そのため、PFPSは予後が悪いという見解もあります4)。トラッキング不良についての解説で詳しく解説します。

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PFPSの段階から適切な対応を取ることで、後に「OAに進行する歯車を止めたい」ですね。

I-4.PFPSを引き起こすアルゴリズム

様々な病態・因子があると言われているため、それらを整理して行きます。

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介入の方針として、膝関節・膝蓋骨の「正常な動的アライメントの獲得」と屈曲拘縮を起こしていれば「拘縮の改善」を図り、関節周囲の組織へのメカニカルストレスを軽減することを目指します。そのために、筋機能の正常化動的アライメントの調整・再学習を行って行きます。

次に、「PFPSのアルゴリズム」に挙げられた因子について、それぞれ解説して行きます。

I-5.因子についての解説

膝蓋骨のトラッキング不良

先ずは、膝蓋骨とPF関節についての知識を確認して行きましょう。

膝蓋骨の形態・運動・接触面

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膝蓋骨の形態を確認しました。次は、膝関節の屈曲に供なったPF関節の接触面の変化について確認して行きます。

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正常の膝蓋骨の運動と接触面について確認したため、PFPSのトラッキング不良について説明して行きます。

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健常例では屈曲に伴って膝蓋骨は「Medial shift」「Medial spin」が起こります。PFPでは膝蓋骨が「Lateral shift」「Lateral spin」といった膝蓋骨トラッキング不良(Patella mal-tracking)を生じます。2)7)10)

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片脚立位の評価 (3)

広筋と外側広筋のバランス不良

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外側広筋(VL)はタイトネス、内側広筋(VM)は弱化・萎縮を起こす事が考えられますね。

腸脛靭帯のタイトネス

 大腿筋膜張筋、腸脛靭帯のタイトネスとPFPの関連が示されています。カプラン繊維が腸脛靭帯から膝蓋骨外側へ付着するために、関連があると言われていますが確定的な見解はまだ得られていません。2)

下記の図は、大腿筋膜張筋、腸脛靱帯の近位・遠位の関係性を実際の解剖をもとに示したものです。大腿の遠位では、これらの構成線維の付着様式から膝関節の屈伸運動に伴う膝蓋骨の運動制御に関わるとともに,膝関節の screw home movement(SHM)を補佐する動力源となり得ることが示唆されています。

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下肢の側方安定化構造と腸脛靭帯(ITT)の近位部分との関係図5)

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ITTの遠位構成束の解剖学的特性とその運動学的重要性6)

ハムストリングスの問題 2)4)

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上記の事から、内側ハムストリングスは弱化、大腿二頭筋はタイトネスを起こす可能性があると考えられます。評価・アプローチの際に意識して介入したいですね。

股関節周囲筋の弱化

PFPSにおける、股関節の支持性外旋筋群・外転筋群の筋力低下が示されています。2)
一方、他の論文4)では、股関節の外転・外旋・伸展の筋力の低下は、PFPSを発症するリスク因子ではない可能性があると示されています(エビデンスレベルB)

えっ?逆の結果じゃん!!となりますが

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「痛みや炎症が起こることで、股関節周囲筋の筋力低下が引き起こされている可能性がある。」という見解がシステマチックレビューにより示されています。4)8)

炎症部位である関節周囲の筋に関節原性筋抑制が起こることは周知のことです。この事を知ることで、炎症を早期に治めることの重要性を改めて確認する事が出来ました。

後足部外反と扁平足

歩行初期の後足部外反とPFPSの出現に関係性が示されています。具体的には踵接地時の後足部外反の増大外反ピークタイミングの遅延が確認されています。後足部外反のピークの増加が、脛骨内旋のピークの増加と関連していることも示されています。2)

腰の問題

PFPのある高齢被験者とない被験者の間で仙骨傾斜に有意差があり、PFPの患者では仙骨の傾斜が少なかった(約5°)。 この病理学的概念は「Knee -Spine Syndrome」と呼ばれています。2)

静的 ・動的アライメント不良について

『現段階では議論の余地がある』とされています。少々長くなりますため、まとめから先に説明します。

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静的アライメントの評価

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評価としてQアングルがあり、正常値平均は13.5±4.5°とされています。PFOA患者におけるQアングルの増加はPF関節の不安定性との関連性が示されています。しかし若年のPFPとPF関節不安定性との関連性は現段階では議論の余地があるとされています。

動的アライメント

PFPSの女性では大腿骨の過度の内旋膝蓋骨の外旋に関連していたと示されています。

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膝蓋骨のトラッキング不良・VMとVLの筋バランス不良の原因が構造的欠陥によるものではなく動的・機能的なマルアライメントである「股関節の内転・内旋」と「膝関節の外転」が主な問題として見られています2)

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この後は、治療方法を解説します。後足部外反と扁平足に関しては背屈障害が関連している事が多いです。臨床+で掲載しております「足をテーマ」とした過去記事をご覧下さい。

Ⅱ標準的な治療方法

どの様な治療方法が推奨されているかを説明して行きます。

片脚立位の評価 (4)

NATAの表明 3)

この論文でのエビデンスレベルについて

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外科的介入について

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保存療法について(リハビリ内容を含む)

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第5回International Patellofemoral pain Research Retreatでの表明 1)

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片脚立位の評価 (5)
片脚立位の評価 (7)

薬物療法について 4)

PFPSの複合的な治療介入において消炎鎮痛剤(NSAIDs)の利用は、短期的には疼痛緩和に有効とされていますが、追加の研究が必要であると示されています。

この後は、リハビリテーション評価・治療アプローチについて解説していきます。

Ⅲリハビリテーション評価・介入

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アルゴリズムを道しるべとして、問題となる因子を評価して行きます。他の論文で推奨されている事も紹介して行きます。

Ⅲ-1.圧痛の確認

まずは基本となる圧痛の有無、部位を確認していきます。疼痛部位による病態の判別は、治療をすすめる上でストレス要因や炎症部位を明確にしていく為に重要です。

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動作時や運動にて疼痛が生じる場合は、その動作を行ってもらい、どのようなメカニカルストレスが強まるかで痛みが生じているかを確認します。
代償動作の確認、荷重量による痛みの変化なども併せてみていきます。

Ⅲ-2.整形外科テスト

PFPに関係する整形外科テストを説明します。

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動画は膝蓋骨の動きを見やすいように両手の間隔を開けています。本来はもう少し間隔を狭めて実施した方が良いです。

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片脚立位の評価 (6)
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Ⅲ-3.膝蓋骨のトラッキング不良の評価

膝関節アライメントの評価(動的・静的)

静的アライメントの評価

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動的評価
膝蓋骨トラッキングにはscrew home movement(SHM)も関係するために、まとめて評価します。

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Ⅲ-4.筋の伸張性

下記の筋の伸張性が低下する事が示されています。13)
これらは膝蓋骨のトラッキングに影響を与えるため評価します。筋の評価はストレッチングとしても使います。静的ストレッチングだけではなく、最終域での等尺性収縮を用いた動的ストレッチングも有効です。

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*ハムストリングス、下腿三頭筋の伸張性評価は膝関節屈曲拘縮の所で説明します

大腿四頭筋 
 大腿直筋(エリーテスト)

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腸腰筋(トーマステスト)

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股関節外旋筋

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Ⅲ-5.大腿四頭筋のバランス不良の評価

Extension lagが生じているとADLの様々な場面で問題を生じるため、確認します。 紹介する評価方法は、運動療法としても有効です。

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筋出力低下が要因である場合は以下の評価を行います。紹介する評価方法は収縮不全の改善や筋力強化としての運動療法としても有効です。

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筋出力の評価
評価する筋の線維角を考慮した評価を行います。

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等尺性運動の出力を確認する。運動療法であれば、その後に等張性収縮を行いましょう。

広筋の伸張性評価

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大内転筋、長内転筋の一部の筋束が、その筋の停止腱から広筋内転筋板を介しVMと連続する構造になっています。18)
内転筋が関与している場合は内転筋への介入が必要です。

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関与している場合は大腿筋膜張筋や中殿筋に対しての介入が必要です。

大腿筋膜張筋の柔軟性改善
外側支持機構の拘縮改善はPF関節の安定性にとって重要な因子です。

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屈曲・外転の自動介助運動の最終域で股関節内旋の自動運動を行う。この動作を反復的に繰り返す。これは筋攣縮に対して有効的です。

中殿筋の柔軟性改善
外転の自動介助運動の最終域で股関節外転の自動運動(筋の収縮幅をひろげるため最終域での収縮を強調する)を行う。この動作を反復的に繰り返します。

膝蓋支帯の評価
膝蓋支帯は膝蓋骨の安定性や可動性に関与するため評価する必要があります。

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下記の方法で伸張性を左右で比較します。膝蓋骨の可動性が減少していればそのままストレッチングとして治療する事が出来ます。

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膝蓋下脂肪体

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膝蓋下脂肪体を直接把持して内外側の移動量を左右で確認する。動きが少ない場合はこの操作自体が柔軟性の改善に繋がる。

大腿四頭筋の収縮を用いた改善方法の紹介です。

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大腿前脂肪体の機能と評価

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Ⅲ-6.動的な膝外反

動作分析
PFPは活動度の高い方が発症することが多いため、スクワットにおいて、動作の問題が顕著に現れないことが多い印象です。その為、高負荷のジャンプ系動作の評価まで行います。痛みの増悪や動作による外傷を避けるため低負荷の動作から行いましょう。

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動作の負荷量と難易度を調整することによって、評価だけではなくCKCの運動療法としても用いています。動きの中で動的な膝外反が起こる方が多いため単に殿筋・大腿四頭筋・体幹と個々の運動だけを行うのではなく、「運動の再学習」をして行きます。
紹介する動作の全てにおいて、観察するポイントを簡略化すると以下の通りになります。

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まずは上記を確認し、次に体幹・頭部を観察すると良いかと思います。触知出来る場合は合わせて確認して下さい。

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フォワードランジ
脛骨粗面と第2趾の向きを一致させた状態でフォワードランジを行ってもらう。

足関節の背屈制限がある場合に起こりやすい、ランジ動作を確認する事が出来ます。

片脚スクワット
動作をみるポイントは、フォワーフォランジとあまり変わりません。片脚スクワットは動的外反をチェックするテストとしての有用性が示されています。両手を胸の前でクロスさせ、5回片足でスクワットを行います。4)

支持なしでの動作が難しい方には、このように壁を使って実施する方法で安全に実施する事が出来ます。

バーティカルジャンプ
いわゆる垂直跳びです。跳躍・着地時にknee-in&toe-outが起こっていないか。脊柱のニュートラルな状況を保持出来ているか。一回だけではなく連続さてみることも有用です。

ドロップジャンプ(Depth jump)
走行や跳躍時では、足を一度曲げてから瞬時に蹴り出すような反動動作が多く行われます。この時、筋腱はゴムのように引き伸ばされた後に、その弾性要素を利用して短縮しているとされています。この筋腱の性質はStretch- shortening cycle(SSC)と呼ばれています。SSC は運動初期から大きな力を急激に発揮し ,運動効率をよくするために多くの運動で利用されています。15)

水平方向ドロップジャンプ(Depth jump Horizontal)
高飛びは垂直方向の運動ですが、走る動きは水平方向の運動です。競技特性を高めるため着地後にできる限り早く、前方に跳ね上がります。

Ⅲ-7.股関節周囲筋の弱化

個々の徒手筋力検査も行いますが。片脚立位・hip lift・膝立ち運動で評価を行います。エラーパターンを修正する事で運動療法としても取り入れています。

片脚立位

片脚立位の評価

hip lift

片脚立位の評価 (11)

膝立ち運動

片脚立位の評価 (2)


Ⅲ-8.膝関節の屈曲拘縮

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単関節筋の評価は、多関節筋の影響を除くために股関節伸展位での膝関節の伸展可動域を評価します。この評価は伸張性改善のためのストレッチングとして有効です。

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滑りの評価は、筋の短縮・攣縮を起こし緊張が高まる事で筋腹を滑らせる際に抵抗感を感じます。癒着等の滑走不全が起こっていても同様です。臨床ではこの滑りを内外側に4.5回往復する間に移動量が改善する事が多いです。移動量の改善に供なって筋の伸張性が改善されるため、治療としても使っています(様々な筋に対して有効です)。

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この評価も、伸張性改善のためのストレッチングとして有効です。
各筋に対しての治療はこの操作に加えて、最終域での反復的等尺性収縮運動が有効です。

Ⅳ.まとめ

アルゴリズムを基に病態の把握、論文で得られた情報から現在推奨されている評価介入方法を確認して参りました。膝関節局所のコンディションを整えるだけでは改善されにくい病態がご理解頂けたかと思います。

今後研究が進むと、紹介させて頂いた事と異なる見解が出て来る可能性があると思われます。知り得た情報は記事のアップデートやSNS等で拡散できたらと存じております。

今回は評価・運動療法の実践的な内容の紹介が少なかったのですが、これからの臨床の参考になさっていただけると幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Ⅴ.引用文献

引用文献
1)Collins NJ, Barton CJ, van Middelkoop M, Callaghan MJ, Rathleff MS, Vicenzino BT, et al. 2018 Consensus statement on exercise therapy and physical interventions (orthoses, taping and manual therapy) to treat patellofemoral pain: recommendations from the 5th International Patellofemoral Pain Research Retreat, Gold Coast, Australia, 2017. British journal of sports medicine. 2018 Jun 20. Epub 2018/06/22.
2)Petersen W, Ellermann A, Gosele-Koppenburg A, Best R, Rembitzki IV, Bruggemann GP, et al. Patellofemoral pain syndrome. Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy : official journal of the ESSKA. 2014 Oct;22(10):2264-74. Epub 2013/11/14.
3)Bolgla LA, Boling MC, Mace KL, Distefano MJ, Fithian DC, Powers CM. National Athletic Trainers Association Position Statement: Management of Individuals With Patellofemoral Pain. Journal of Athletic Training. 2018;53(9):820-836. doi:10.4085/1062-6050-231-15.
4)Petersen, W., Rembitzki, I., & Liebau, C. (2017). Patellofemoral pain in athletes. Journal of Sports Medicine.
5)三浦真弘,影山幾男,紀 瑞 成,加藤征治,腸脛靱帯の構成線維とその機能解剖学的意義について.第9回臨床解剖研究会記録
6)三浦真弘,青地英和,影山幾男,腸脛靱帯遠位部の線維構築と大腿膝外側支持機構との関連性について.第10回臨床解剖研究会記録
7)Christine E. Draper, Thor F. Besier,Using Real-Time MRI to Quantify Altered Joint Kinematics in Subjects with Patellofemoral Pain and to Evaluate the Effects of a Patellar Brace or Sleeve on Joint Motion J Orthop Res. 2009 May; 27(5): 571-577.
8)Rathleff MS, Rathleff CR, Crossley KM, Barton CJ. Is hip strength a risk factor for patellofemoral pain? A systematic review and meta- analysis. Br J Sports Med. 2014;48(14):1088. (LOE: 1)
9)神原雅典,膝蓋大腿関節障害に対する理学療法診断の進め方.理学療法37(12):1129-1138,2020
10)In Vivo Noninvasive Evaluation of Abnormal Patellar Tracking During Squatting in Patients with Patellofemoral Pain
11)整形外科運動療法ナビゲーション下肢
12)膝関節拘縮の評価と治療
13)Michael J. Mullaney, PT, DPT, SCS and Takumi Fukunaga, DPT,CURRENT CONCEPTS AND TREATMENT OF PATELLOFEMORAL COMPRESSIVE ISSUES.Int J Sports Phys Ther. 2016 Dec; 11(6): 891–902.
14)Dye SF , et al:Conscious neurosensory mapping of the internal structures of the human knee without intraarticular anesthesia.Am J Sports Med 1998;26:773-777
15)KAORU SAKUMA, JUN NISHIMURA, KOJI OHATA, NORIAKI ICHIHASHI, ドロップジャンプ跳躍高向上に影響する
運動学的要素の検討.理学療法科学 24(2):263–267,2009
16)A. M. Merican, A. A. Amis,Anatomy of the lateral retinaculum of the knee.The Journal of Bone and Joint Surgery. British volumeVol. 90-B, No. 4
17)Delp SL, et al: Variation of rotation moment arms with hip flexion. J Biomech 32 (5): 493-501, 1999.
18)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24221245/


○ライター紹介

片脚立位の評価 (8)

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運営団体Twitter:@N_Reha_Labo
運営団体HP:https://n-rehabilitation-labo.jimdofree.com/











































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