見出し画像

Niseko Classic2024 総合3位 年代別1位

今回のレースは、落車により入院し2週間前に退院し1週間のリハビリを得てのレース。

調子としては、4日間の入院生活による体力的な衰えの影響で、距離を消費してからのパワーの落ち具合は懸念点だったが、1週間のリハビリを得てインターバルは以前と同じ値に戻すことができ、地元で行われたヒルクライムレースでは優勝は出来なかったが2位とまずまずといった感じ。

だが、体の動きは以前よりも違和感を感じる部分もあり、怪我も治りきっておらず調子は正直未知数といった感じ。

藻岩山ヒルクライム2位

そんな調子だったが、色々な方の励ましのおかげでこの舞台に立つことができたので、恩に報いるためにも調子云々は気にせず今出せる全力を尽くそうと決めて走った。

レースプラン

コースレイアウト的に例年は最後の新見峠勝負といった展開だが、今年はコースが変更になった影響で、パンチャー向きになった印象。

レースを迎えるまでに、新コースを2回試走し、変更点をチェックし、自分の能力、想定される展開を総合的に考え今回のレースでは

•自分の能力的に終盤まで体力を温存できれば独走に持ち込める可能性が高いこと

•終盤の変更されたラスト30km部分は勾配が緩い部分が多く集団有利なことから、数名の逃げなら捕まえることができる

以上2点の理由から

数名規模の逃げは1分差程度なら容認し、基本集団ステイでアップダウン区間の始まるラスト30kmから仕掛ける

と決めた。

マークしていた選手としては、

昨年かなり有力な逃げを見しており、プロツアーでもチームメイトとして安定した走りを見している

•小出 樹選手(イナーメ)
•佐藤 駿選手(トライクル)


高い実力+レースを勝つことのできる走り方を熟知している

•高岡 選手(RX)

トレーニングを共にし、自分の脚質を理解している
•木村 選手(RX)
•牧野 選手(Yuri fit)

をマークしていた。

レースレポート

スタートまで

前日はすき家の特盛でカーボローディングをして、スタートが6:15と早いことから20時には就寝した。

緊張と部屋が蒸し暑かったせいか、かなり寝つきが悪くあまり寝た気がせずに4時に起床。

朝食はパスタを食べて、諸々準備して会場へ。

スタートボトルは迷っていたが、気温は低いことから1本はOS1、1本はACTIVIKEのスピードウォーター(カフェイン抜き)をセットし、補給食は

•黒糖わらび5個
•マグオン 4個

を持ちスタートラインへ。
トイレをしていたら既にスタートラインへの誘導が始まっており最後尾からスタートした。

出走前に翔さん達と📷

序盤
スタートからパノラマまで

予定通り6:15にスタート。
最初の数キロはパレードランということで、先導車のペースに従って走行する。

リアルスタート位置が例年よりも近くなっており、スタートしてすぐコの字コーナーが待ち受けていることから、少しずつポジションをあげて先頭付近へ。

各カテゴリーが一緒になり設定されているスタート位置で、総勢400名にてリアルスタートがかかる。

かなりの人数。
photo by cyclowired様


集団内では

•落車回避の為に降りは先頭付近で
•不用意に足を消費する行為はしない

これらの動きを意識しつつレースを進め、特段記載する展開もなくパノラマラインへ。

パノラマラインは長い登りだが、勾配が緩いので集団有利+残り距離が長いことから抜け出そうとする動きは起きないだろうと予想していたけど、実際その通りになって30min 280w程とさほどキツくないペースで頂上を終えた。

なるべく集団前方を位置取る

中盤 
ラスト30kmまで

勝負所となるラスト30kmまでに注意すべき点は、約80km地点にある1分程の激坂だ。
実力ある選手が、全員本気で登りきり平坦をローテーションすれば逃げ切ることは可能だと思っていたので注意していた。

坂が近づくにつれて、警戒している選手達はポジションを上げていく。

僕も同調して、先頭20番手程で激坂に突入した。
しかし、登りのペースは想定したいたよりも遅く誰も上げる気配もない。

30秒程ポジションをキープして登ったのち、これ以上はペースが上がることはないだろうと判断し足を緩めポジションを下げながら上りを終えた。

その後のちょっとしたアップダウン区間で軽いペースアップはあったものの見た感じ、勢いもそれ程なく、集団はまだ100名以上はいることから繋がるだろうと判断しさらにポジションを落とし、足を使わずにアップダウン区間を終え海岸線に向かう平坦部分に突入した。

平坦を少し走ったところでモトがタイム差を記載したボードを集団に掲示していた。

誰が逃げに入ったのか牧野選手に聞いてみると、高岡選手(RX)•小出選手(イナーメ)とその他1人(多分トライクル)が逃げ、タイム差は1分程離れているとのこと。

周りの選手は焦りを見せる選手もいたが、個人的には焦る気持ちはなかった。

まず残り距離が50km以上あり、集団もペースは遅くない中1分差をつけたということは相当ハイペースで逃げを決めたことになる。

そんな中これから海岸線を跨ぎ、新見に向かう平坦は全て向かい風だ。

タイム差を開かせるためにハイペースで走った逃げはこの先の向かい風区間で足並みが揃わず、実力順にトライクルの選手→小出選手の順番で引けなり、登りに入る頃には高岡選手は単独になる可能性が高い。

登りに入れば集団もペースアップし、勾配が緩く集団有利なため自然と吸収することができるだろうと推測した。

なので、今は1分開いていてもこれ以上開かない限りは動く必要はないと判断。

少し走ると幸い海岸線を跨ぎ向かい風区間になると、先頭との差は縮まってきた。

今の所順調だなと思いつつ集団内でリラックスしていると、いきなり左前で落車が発生し、落車した選手に突っ込む選手も現れ、中規模な集団落車が起きていた。
幸い自分は右車線は空いていたのでそちらに回避し事なきを得た。

集団が割れていたので、少し踏んで集団に復帰する。

登り区間まで残り数キロに差し迫った頃、タイム差は30秒程になっており、小出選手が先頭からドロップし集団に戻ってきた。

トライクルの選手も既にドロップしていたので、これで先頭は単独になり想定通りの展開になった。

足の調子も良く、これは今日は自分の日に出来ると思い聞かせ、カフェインジェルを注入し勝負所となるラスト30kmの登坂区間に突入した。

終盤 
ラスト30kmからゴールまで


いよいよ、今大会の山場であるラスト30kmの登坂区間だ。

仕掛けるタイミングは、新見の登坂区間の最初と決めていた。
最初の1分程勾配がきつい坂が続き、その後一旦緩やかな登りになる。

この1分で踏み、後続と離れ単独なれれば理想だが、有力選手数名で先頭を形成できればそれでも良い。

左コーナーを曲がり、補給場で水を受け取り体にかけクーリングし、登りが始まるまでにポジションを上げ、先頭10番手程に位置取る。

いよいよだ。
ここから出し惜しみなくいくぞと自分を奮い立たせた。

自分が仕掛けると同時に牧野選手も上がってきた。
後ろに一旦つき、スピードが上がっていなかったので踏み直す。
不意に見たメーターは600w以上を表示していた。

1分の坂を踏み切り、後ろを確認すると、
•木村選手(RX) •高橋選手(帯広南商業高校)
の2名が着いてきており、集団は20秒ほど離れていた。

前には高岡選手が10秒先程に見えており、このままこの3人で行ってパスしようかとも考えたが、チームメイトである木村選手が着いていることから、この展開では高橋選手は同調してくれるだろうが、木村選手は前にチームメイトがいるなか引く可能性は低いと思った。

確認のために、交代の合図を送ったが
「ごめん、前に高岡さんがいるから」と。

やはりそうだよなと思い、後ろの集団もこちらとも差を縮めようとペースを上げていることから一度集団に戻ることとした。

集団に戻ると40-50名程残っており、やはりコース変更された新見は集団有利なんだなと改めて認識し、次の仕掛けるポイントまで足を休めるために集団に潜むことにした。

新見の往路に戻って左コーナーを曲がり、高岡選手を吸収しKOMポイントに向けてのアップダウン区間に入る。

ここで再度モトがタイムボードを掲示し、ボードには1分と書いていた。

「あれ?前は高岡選手だけだったのでは?」

一瞬理解できなかったが、どうやら一名が既に抜け出し、独走していたらしい。
全くどこでいったか理解していなかった。
これに関しては完全に失念していた。

この終盤の局面で1分差は正直逃げ切りが濃厚だ。

優勝を狙っていただけにこの瞬間かなりショックだったが、だからといって諦める理由にはならない。

せっかくここまできたんだから、やれることはやらなければと気持ちを切り替えた。

KOMポイントに向けて、イナーメ北野選手がペースを上げてきたので自分も同調してペースを作る。
集団の人数は以前多いが、その中でも疲労している選手もいたり2位争いに切り替えているのか集団の先頭交代に出てこない選手がでてきた。
このままでは確実に逃げ切られてしまうので、集団に周していこうと促しつつペースを作る。

KOMを超える手前で、先頭とは40秒差に縮まりニセコ温泉の登りに向けて降っていく。
試走した時と違ってスピードがかなり速い。
やはり集団の恩恵はでかい。

ニセコ温泉の登りに入った瞬間に牧野選手が左からアタックを仕掛けたのですかさず後ろにつく。
登りの半分程消化した時点で、先頭を変わり400w強でペーシングしていく。
余裕を残しつつニセコ温泉の登りを消化し、頂上付近で先頭と20秒差に縮まっていた。

これは次の最後の1番の勝負ポイントと睨んでいた700m平均勾配7%の区間が勝負になる。

疲労しているが、そんなことは言ってられない。ここで仕掛けようと覚悟を決めた。

降りを終え、登りに入る。
佐藤選手(トライクル)がペースを上げるのに乗じて、ペースを上げる。

キレはなかったが、出力は500w程でていた。
後ろの気配が消え、単独になっていることを悟った。
さらにペースを上げたいが、これ以上あげることはできなかった。

足が痙攣しかける中ペースを保ち登りをもう少しで登りが終わるだろうという頃、後ろを確認すると牧野•木村選手が着いてきており、集団も10名弱まで人数を減らしながら迫っていた。

足はキツかったが、ここからもう一度いこうと決める。

この状況において余裕のある選手は1人たりともいない、集団も10名弱に減らしているが若干距離があいている。
集団は僕たちに追いついた瞬間、絶対緩む。
そこからもう一度行けば決まる。

後ろが追いついてきた瞬間、アタックする。
少し踏んで後ろを確認すると、集団は離れており安立選手が着いてきていた。

先頭交代をしかなりいい勢いだったと思ったが木村選手の牽引でキャッチされてしまう。

捕まった後集団を確認すると20名ほどまだ残っていた。
集団にはスプリント力のある小林選手などが残っており、スプリントになると部が悪いため勝つためにはなんとしてでも独走に持ち込まなければいけない。

マークされていることは感じていたが、集団自体もかなり疲弊していることからまだチャンスはある。

ラストの平坦に登る1分ほどの坂にさしかかったが、集団もアタックを警戒しているのか互いを見合いながら登る。

登りがもう少しで終わりそうといったタイミングで、高岡選手が抜け出し木村選手も同調し2人で先頭を形成した。

すぐにでも反応したかったが、集団の様子を伺うためにステイした。
集団には追う力はなく、誰もが他選手の牽引を待っているかのようだった。

これはチャンスと思い、20秒ほど坂で前にブリッジをかける。

牧野選手が反応してきたが、離れたことを確認しさらに踏み込み前に合流。
後ろが離れていたのでこのままいこうと呼びかけるもうまく回ることができずに集団に吸収されてしまう。

残りは全て平坦なのでもうこれ以上マークされている中動くのは自爆してしまいそうだったので、この段階で僅かな望みをかけてスプリントに切り替えた。

となればゴールまでに足を回復させなければならないと集団前方に位置取り、他選手の動きを警戒しつつ足を貯める。

そうしてゴールまで残り2キロほどになった時に、高橋選手(帯広南商業高校)が位置をあげこちらに向かって何か合図し、そのままアタックしていった。

他選手はこの動きに、恐らく高橋選手をマークしておらず+アタックの勢いが良かった事から焦りよりも困惑し一気に集団が牽制状態になったように感じた。

みるみるうちに集団と距離を開け、残り1キロ地点では100m以上は差が開いてるように見えた。
ここまで開けば逃げ切りの可能性が高かったが、ここでアシストに切り替えた小出選手+高岡選手の牽引が始まり残り400mで集団はひとつに。

最後の左コーナーを先頭4番手あたりで通過し、いよいよスプリントだ。
ここまでかなり足を消耗してきたので、足はもう限界だったが、それでも最後のゴールまで踏まないという選択肢はないので必死に踏み込む。

スプリント開始した時点で小林選手がすごい勢いで駆け上がっていくのが見え、優勝は難しいと悟った。

しかし、2.3位に位置している足立選手•木村選手が失速し距離が縮まってきた。
なんとしてでも表彰台は確保したい。
怪我からここまで辛かった日々に報いるために、限界な足を更に踏み込んでゴールに近づく。

木村選手をパスし、あと少しで足立選手を刺せるかというところで惜しくもフィニッシュ。

優勝は逃したが、後少しで2位になれたといった悔しさの感情と怪我から復帰までの辛かった日々を思い出して、ゴール直後はかなりエモーショナルになった。

総括

結果としては総合3位•年代別1位と当初の目標である総合優勝には届かなかった。

展開的にもまだまだ煮詰めれたと思うし、事前準備次第では優勝も十分可能だったと思うので悔しい。

しかし、大会2週間前に入院する程の怪我を負ったことを加味したら上出来な結果だったのかなと思う。

怪我が治りきってない中でのトレーニングは、痛みが常に付き纏う地獄のようなものだったけど、こうして心折れずにやり切れたのも常に支えてくれる彼女•そしてファンの皆様のおかげだったと確信を持って言えます。

惜しくも優勝は逃したけど、これまでの日々よくやったと少しだけ自分を褒めようと思います。

改めて皆様応援ありがとうございました!

レース動画


PS.今回のニセコクラシックの前後でHBC北海道放送様にデュアルキャリア生活の密着をしていただいていました。

アスリート社員として所属している
「有限会社恒志堂」での仕事風景や自分のトレーニング風景からニセコクラシックの様子まで幅広く密着していただいたのでよかったら観てください。

このNoteが良い•活動を応援したいと思っていただけましたらサポートの程よろしくお願いします🙇‍♂️

ここから先は

0字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?