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大学で分断された女性達ーOur Boys Matter

今回の日記は、ミシガン州議事堂の前で行われていた共和党支持者たちの集会を社会見学していて、米国の白人女性達の間にある大学に由来する深い深い分断を象徴するOur Boys Matterという印象的な言葉を聞いたので、それに関する日記です。まず私の社会見学の文脈を理解してもらうために、余談から始めようと思います。

0. はじめにー州都にある名門州立大学

アメリカへの大学院留学というと、カリフォルニアのどこかか、東海岸IVYリーグを思い浮かべがちですが、ちょっとそれらとは異なる視点から私がおススメできる大学があります。それは、ミシガン州立大学、ウィスコンシン大学マディソン校、テキサス大学オースティン校、オハイオ州立大学といった大学です。

アメリカの大学に詳しい人なら州立大の名門校だ、というのは気が付くかもしれませんが、それだけだと全ての州立大学の中のトップに君臨するミシガン大の名前が入ってこないのがおかしくなります。さては畠山、自分がいる大学のライバル校を省きやがったな…、というのはなかなか良い邪推ですが、違います。これらの4校は州都にある名門州立大学という共通点を持ちます。

日本では、大体県庁所在地には国公立大学がありますし、国公立大学があるのは県庁所在地が多いという特徴があります。しかしアメリカでは、州都にR1研究大学に位置付けられるトップランクの州立大学が無い方が普通ですし、州立大学旗艦校の大半は州都に立地しているわけでもありません。

そもそも、州都が州内の最大の町ではないケースも多いですし、州内最大の町に州立大旗艦校がないケースも多いです。県庁所在地の岐阜市が県内最大の町で、岐阜大学も岐阜市にある岐阜県民の私は未だにアメリカに違和感を覚えますが。

話を戻します。州都にある名門州立大学で学ぶメリットとして、地方行政の様子をつぶさに観察できる点が挙げられます。アメリカは連邦制の国で、日本の県以上に州の権限が大きいので、地方分権化や地方自治を学ぶ上で、そういった大学で学ぶアドバンテージは大きいです。例えば、私もミシガン州の教育局長の授業を取りましたし、その教育局長の議会での様子も見学させてもらいました。それらを通じて、アメリカの地方政治はこんな感じなんだなというのを実感できました。

もう一つのメリットは、州都にある名門州立大学で学ぶと、アメリカの分断がよく見える事です。少なくないアメリカの名門大学は、それ単独で街を形成するカレッジタウンとなっています。このカレッジタウンは、米国内では異質な存在となっています。例えば、選挙結果を見ても、民主党が優位となっているのは主に都市とカレッジタウンなので、これを地図上で見ると広大な赤(共和党カラー)の海の中に、ポツンポツンと青(民主党カラー)が浮かび上がることになりますが、名門大学はその青点です。そしてその青さは都市よりも濃い青になりがちなので、カレッジタウンから出ることなく米国留学を終えると、極めて青いアメリカのみを経験しただけで、赤いアメリカがどのようなものかを全く実感することなく帰国する事になります。

州都も基本的には青くなりがちなのですが、州都では赤いアメリカで暮らす人達がやってきて色々な政治活動をしているので、少なくとも赤いアメリカの一端を垣間見ることが出来ます。

1. Our Boys Matter

下の地図の左端の赤丸で囲まれた場所の話です。ちなみにですが、私はミシガン州立大学のキャンパス内に住んでいるので、下の地図の真ん中あたりに住んでいます。

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私は週末の社会見学ジョギングコースとしてミシガン州議事堂の周りを走っています、なぜなら政治集会が週末によく行われているので、それを横目で見ながらエクササイズが出来るからです。興味深いのは、基本的に政治集会を開催しているのは共和党支持者で、民主党支持者による政治集会はこれまでで数回しか見た事がないという点ですかね。

先週末も、ミシガン州立大学から僅か1マイルの距離にある州議事堂の前で、共和党支持者たちによる集会が開かれていました。参加者はほぼ全員が白人で数百人程度でした。男女比は半々ぐらいですかね。これぐらいの規模の政治集会は大統領選挙の前後から、シャレにならないぐらい寒い週末を除いて毎週末見るぐらいよくあるものなので、今日もやってるなー、ぐらいの感じで聞き耳を立てながら州議事堂の周りをグルグルとランニングしていました。

演説の中身は、トランプ大統領万歳、民主党は共産主義だ、大統領選挙は不正があった、と本当にいつも通りのありふれたものばかりでした。しかし今回は、普段は聞く事がなかったセリフを演説した人がいました、それは、

Our Boys Matter!!

という絶叫でした。

もちろんこれは、Black Lives Matterのもじりです。BLMについては、現代ビジネスで教育警察の面から解説っぽい記事を書いているのでそちらを読んでもらうとして、BLMに対するカウンターアクションは色々出てきています。最も有名な物はAll Lives Matterかなと思います。BLMが黒人を強調しているのに対し、ALMは皆の命が大事だと一見するともっともらしい主張になっていますし、事実としてこれが何もない所から生まれたフレーズであれば全くもってその通りだと言えます。しかし、BLMに対するカウンターとして生まれた言葉であるために、人種差別問題をかき消してしまう言葉となってしまいました。言葉を解釈するには、その文脈が重要であるというのを教えてくれるものです。

これに対し、Our Boys Matterというのは初耳でしたし、肝心のLivesが入っていないので、何とも出来の悪いもじりだなと思いました。しかし、議事堂の周りをグルグルジョギングしていると、このOur Boys Matterもやたらと頭の中をグルグルし始めました。出来は悪いけれども、これは何か重要なことを示唆しているフレーズなのではないかと・・・

2. 非大卒の白人女性達

帰宅してから気が付きました、40代も半ばであろう白人女性が叫んだOur Boys Matterは、アメリカの分断された白人女性達を象徴する言葉であることに。

アメリカは様々な分断を抱えています。人種もそうですし、勤勉さによる分断も以前それとなく解説してみました。しかし、様々な分断の中で、最も解決が難しいものの一つとして、大卒白人女性と非大卒白人女性の分断を挙げることができます。

これはCNNの記事が詳しいので是非目を通してもらいたいのですが、性役割に対する価値観で、民主党を支持する大卒白人女性と共和党を支持する非大卒白人女性の間には大きな違いがあります。

大卒白人女性+黒人女性(主に民主党支持の青い女性達)は、性役割についてジェンダー平等を重視した価値観を持っています。具体的に言えば、男女平等に働くことが社会にとって良いことだ、ジェンダー平等はまだ実現されていない、公的なチャイルドケアはもっと拡充されるべきだ、といったものです。これは日本でも都市部の教育水準の高い女性の間でも優位的な価値観だと思います。

これに対し、非大卒の白人女性達(主に共和党支持の赤い女性達)は、性役割について保守的な価値観を持っています。具体的に言えば、男性は家の外で女性は家の中で働くことが社会にとって良いことだ、ジェンダー平等というのは女性をエコひいきしろと言う主張だ、子供は母親が育ててあげるのが幸せな事で公的なチャイルドケアに子供を預けるなんて子供が可哀想、といったものです。一言でまとめれば、夫と子供(特に息子)の世話をすることが女性の役割だ、というものです。

Our Boys Matterというフレーズは、夫と息子の世話をするのが妻であり母である女性の仕事であるという非大卒の白人女性達の価値観をよく表しています。その一方で、大卒の白人女性達がこのフレーズを口にすることは無いでしょう。そもそもBLMへのカウンターであるというのが理由ですが、性役割についても、大卒の白人女性達の間では夫と妻は独立した存在ですし(あくまでもパートナー)、娘も息子も等しく重要な子供なので、万が一My Partner MattersやOur Children Matterなんて表現があり得たとしても、Our Boys Matterなんて表現はあり得ないわけです。

このOur Boys Matterというフレーズは、大卒の青い白人女性達と非大卒の赤い白人女性達の分断を象徴する重要なフレーズなのかもしれません。

では、非大卒の赤い白人女性達にとって、大卒の青い白人女性達はただ単に性役割認識が違う女性達という存在なのでしょうか?これは、トランプ現象の背後をエスノグラフィーを用いて描き切った「Strangers in Their Own Land」という本の、第9章The Deep Storyを読めばよく分かりますが、そんな単純な物ではありません。非大卒の白人女性達にとって、大卒の白人女性達は、単なる性役割認識が違うだけの仲間なんてものではなく、明確な「敵」なのです。

非大卒の白人女性達の目線に立つと、夫&息子達は日々額に汗を流して働きながらAmerican Dreamを実現させる行列に並んでいたのに、その行列に横から割り込んできた連中と割り込みさせた人物がいると映っています。その割り込んできた連中というのが移民・LGBTQ・女性達で、割り込みをさせた人物がオバマ元大統領です。そう、大卒の白人女性達というのは、非大卒の白人女性達にとって、夫と息子が並んでいた行列に割り込んできた連中という、明確な「敵」なのです。

※おまけーバイデン政権の政策と非大卒の白人女性達

バイデン政権は、公的なチャイルドケアの拡充に大きなリソースを割こうとしていて、私もそれはとても良い人的資本投資政策だと思うのですが、特にこの子育て領域での青い女性達と赤い女性達の価値観の違いは乗り越え難い物になっています。

私が授業を受けたミシガン州の教育局長も女性で、ハーバード大学を卒業し、ミシガン州立大学で博士号を取得したスーパーエリートですが、授業でもこの点について言及していました。ミシガン州は面白い州で、今でこそ民主党の女性が知事を務めていますが、その前は8年間共和党の男性が知事でしたし、更にその前は8年間民主党の女性と、赤と青が入れ替わる典型的なスイングステイトです。前の知事の時にも公的なチャイルドケアの拡大が議論されたそうですが、子育ては母親がするもので公的なチャイルドケアの拡充なんてとんでもないし子供が可哀想だ、と上手くいかなかったと局長は憤慨していました。

青い州ではバイデン政権の政策は進むだろうけど、赤い州ではどうかな?というのが今の所の私の見立てです。

3. 大卒の白人女性達

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上の写真は、道路沿いに建てられている看板です。黒人・アジア系・白人の女性が掲載されて、「歴史を作っている女性達」、と掲げられている、非常にポリコレなものです。興味深いのは、この看板がある場所です。

アメリカは固定資産税と教育予算が結びついている&不動産と金融の人種差別の存在により、住む場所によって人々の階層が極端に違っています。この辺りは、アメリカから暴動の火は消えない、という記事の中で話しているので、興味がある人は読んでみて下さい。そしてこれは私が住むミシガン州の州都にも当てはまります。

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ミシガン州立大学の東側に、Okemosという街があります。上の地図の青で囲まれた地域です。ここは全米でもトップクラスの学区です、なぜならここには高学歴&高収入の大学関係者や州政府関係者が住んでいるため、子供達の社会経済的背景や家庭環境がとても良いだけでなく、学校の教育リソースもふんだんにあるからです(なんなら学区の教育委員を、教員養成で全米No.1のミシガン州立大学の教育学部の先生が勤めていたりします、もはやチート・・・)。治安も非常に良いので、私も週末の社会見学ジョギング以外は、この青い地域でジョギングをしています。

これに対し、ミシガン州立大学の西側、州都ミシガンはと言うと、貧しく危険な地域になっています。アメリカの危険な街ランキングをググってみると、堂々の一位は同じミシガン州のデトロイトですが、州都ランシングも全米17位にランクされています(記事)。州議事堂周辺にも見るからに治安が悪い安易に足を踏み入れるべきではないブロックがあり、貧困の巣窟と表現できます。

大学を挟んで、東西に全米でも最も豊かで安全な地域と、最も貧しく危険な地域が広がっているのが、ミシガンの州都ランシングの特徴ですが、件の看板は街のどちら側にあるのでしょうか?このような励ましが必要なのは、間違いなく西の貧しく危険な地域に住む少女・女性達ですが、この看板が存在するのは東の豊かで安全な地域です。具体的には青の矢印を書いておきましたが、西側の町の人が人生の中で一度も足を踏み入れた事がないであろうWhole Foodsというオーガニック食品を扱う高級スーパーの近くです。

つまり、ミシガンの州都ランシング一帯では、大学を挟んで東西で街が全く違う様相を呈しているのですが、豊かで安全な地域ではジェンダー平等実現に向けた環境も整っているし、そのメッセージも発信されているのですが、それは貧しく危険な地域の女性・少女達に届くことは無いという、学歴だけではなく地理的にも大学で分断された女性達が存在しています。

州都ランシングでは大学が象徴的に非大卒と大卒の白人女性達を分断していますが、都市と農村という形でこの地理的な分断はアメリカの至る所に存在しています。

この分断のお陰で双方の女性達が発するメッセージが向こう側の女性達には届かない様子は、「パルプンテを唱えて声だけがこだました」ならまだ良い方で、恐らく実態としては、「パルプンテを唱えた、どこかで何かが壊れる音がした」に近いものになっているはずです。

4a. バイデン大統領の宗教と教育政策

バイデンでは癒せない米国の分断とハイパーバトルサイボーグ達」という記事を書いておいてなんですが、私はバイデン政権はアメリカの分断を緩和していくと踏んでいます。

件の記事を執筆した時に、重要なポイントを見落としていました。ジョー・バイデンは、アメリカ史上二人目のカトリック信者の大統領という点です。詳しくはαシノドスで解説したのでそちらを購読してもらえればと思いますが、勤勉さによるアメリカの分断の背景には、米国独立以前・直後から存在する勤勉さを重視したプロテスタント的価値観に裏打ちされたエリート学校と、移民の流入と共に1830年頃から拡大した世俗的な普通学校の、二つの学校の存在があります。米国の大統領は二人のカトリック信者を除いて、基本的にはプロテスタント信者でした。この歴代の大統領達が持つ宗教・受けてきた教育による背景がシバキ上げ的な教育政策に現れ、米国の分断を加速させてきました。

こうなると気になるのが、一人目のカトリック大統領は誰だったのかという点ではないでしょうか?答えは、暗殺されたJ.F.ケネディ大統領です。彼が教育政策的に何をしたのかあまり知られていませんが、彼の後を継いだリンドン・ジョンソン大統領はWar on Povertyの一環としてElementary and Secondary Education Actを制定し、連邦政府が基礎教育に資金を出すという革命的な教育政策を行いました。その道筋を整えたのはJFKの偉大な功績の一つです。

JFKが象徴的ですが、教義の違いにより、カトリック的な教育政策は、プロテスタント的な教育政策と異なり、非シバキ上げの貧困層に届きやすい教育政策になりやすいという特徴があります。

JFKは親の意向で、カトリックではなくプロテスタントの中高で学んだのですが、米国史上二人目のカトリック大統領であるジョー・バイデンは中高もカトリック系の学校で学んでいて、JFKよりもよりカトリック純度が高い人間であるようです。そしてこれが、彼の教育政策にも反映されています。

まずは、ミゲル・カルドナという教育長官の指名です。近年教育長官は教壇に立ったことが無いエリート型の人物が就任し、シバキ上げの教育政策を加速させてきました。しかし、カルドナ長官は、英語が母語でないどころか、無名中の無名の大学を卒業し(過去数十年の全閣僚の顔ぶれを見ても、カルドナ長官ほどの無名大学を卒業した人物はほぼいません)、教員→教育委員会→教育学博士(Ed.D)→州の教育長という、私が知る中でもそんな経歴の教育長官がいたかな?というレベルの叩き上げです。

そして、新型コロナへの対応です。オバマ・トランプ両大統領は、危機に対する緊急教育資金の提供の際に、自分が望む教育改革を進めるために、あれやこれやと条件を付けました(シバキ上げ)。しかし、バイデン政権は、ほぼ無条件で、かつ両政権の危機対応の15倍近いという途方もない金額を教育に割いています。

そんな米国の教育政策に希望をもたらしつつあるバイデン政権なので、ひょっとすると白人女性達の教育水準が上昇する事で、彼女達の間の分断も解消できるかもしれません。ただ、本人が高齢なのと、後継者にカトリック的背景を持つ人物も見当たらないので、そこに辿り着く前に元の木阿弥に戻る可能性も大いにあります。

4b. 大学→性役割、性役割→大学進学?

バイデン政権で女性の教育水準が上昇することは見込まれますが、これが性役割に関する白人女性達の分断を解消できるのか、実は不透明な所があります。

大学教育が保守的な性役割に関する価値観を解消しているのであれば、バイデン政権下で白人女性の分断は解消の方向に向かうはずです。例えば、高卒・大卒女性のキャリアの違いや(大卒女性の増加と同程度に、現在の大卒女性が就職するような雇用先が増加するという条件は付きますが)、大学教育そのものが性役割に対する価値観にインパクトを与えている場合が、これに該当します。

しかし、保守的な性役割に関する価値観を有していない家庭出身の女子が大学に進学しているだけであれば、女子の教育水準が上昇しても思ったほどには分断が解消の方向にはそれほど向かわないことになります。州都ランシングでの大学を挟んだ東西での分断を見ると、これも十分にあり得そうな話です。そして、過去数十年間で女性の教育水準や労働参加が伸びたにもかかわらず、実はあまり米国社会の中でのジェンダーステレオタイプが変化していない事も分かっています。

この謎を解いてくれるような因果推論を用いた実証研究がバンバン出ていれば良いのですが、やはり実験的に教育水準を上げづらいのと、性役割に関する価値観のデータを取っている事が極めて稀なので、この謎は謎のまま残っている感じです(女性は数学に向いていない、といったジェンダーステレオタイプに対する介入実験だと結構あるのですが)。

さらに、宗教や離婚といった性役割に関する価値観に影響を与える/その結果となるものと大学教育(を受けていない事)の間にも複雑な関係があるので、この謎がどうなるのかをより一層混沌とさせます。

このサイトはアメリカの宗教に関するデータが色々と揃っているので眺めているだけでも面白いのですが、基本的に信仰心の強さは教育水準が上がるほど低下していきます。宗教保守と性役割の間には関係があるので、教育と宗教の間にある関係から、非大卒の白人女性達がより性役割に対して保守的になっている所までは分かります。しかし、よく分からないのが、非大卒層は夫は家の外で妻は家の中でという保守的な性役割認識があって、より信仰心が篤いにもかかわらず(宗教的に離婚は好ましい物ではありません)、アメリカ労働局のデータによると離婚率は大卒の1.5倍以上もあるという点です。

多分、ドラマの話の又聞きをし過ぎたんだと思いますが、私はデータを見るまで、アメリカの離婚率が高いのは教育水準が高く収入もある女性がバンバン離婚しているからだと思っていました。しかし実態は、教育水準が高く収入も高いし、女性も外で働くという価値観を持ち、それほど信仰心が篤くない女性はそれほど離婚せず、教育水準が低いし収入も低く、女性は家の中でという価値観を持ち信仰心も篤い人達が離婚しているというわけです。

この辺りの話を聞くと、バイデン政権下で女性の教育水準が向上することが白人女性達の分断を癒すのか、それとも大学は単なる分断の表出でバイデン政権下の教育政策だけでは分断が解消に向かわないのか、今の段階ではよく分からんなと言う感じです。

5.最後に

大卒と非大卒の白人女性達の間にOur Boys Matterという言葉に象徴される深い分断があるけれども、それが今後どうなっていくかは分からないというのがこの日記の趣旨でした。

完全に余談になるのですが、なぜアメリカで大卒者の信仰心が薄いのか、その理由が分かりますか?実は大学の教育自体はそれほど影響を与えていないのではないかと言う研究がいくつかあります。確かに自分のことを振り返っても、私はとくに宗教の信仰が無いのですが、自分の受けた大学の授業で信仰心に影響を与えるようなものがあったかなと考えてみると、ぱっと思い浮かぶようなものがありません。

しかし、アメリカでは大学生の教会(ミサ)離れは深刻で、車を運転しながらラジオを聞いていても、何度かこの話題が出てきたほどです。なぜ大学生が教会離れを起こしているのかを探ってみると、日曜日の午前中ではなく、夕方にミサを開いている所では大学生も結構出席しているという話に行きつきます。つまりそれは、大卒者の信仰心が薄いのは、学生時代に土曜の夜にどんちゃん騒ぎをしていて日曜日の午前中のミサを欠席した所から始まっているのではないか?なんてです。そこから信仰心が低下し、性役割に関する認識にも影響が行っているのであれば、実にくだらない話です。

案外世の中の分断や分かり合えなさの中には、実にくだらないしょーもないところからボタンの掛け違いが始まって、それが巡り巡って大きなものになってしまっているところがあったりするのかもしれないですね。

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サルタック・シクシャは、ネパールの不利な環境にある子供達にエビデンスに基づいた良質な教育を届けるために活動していて、現在は学校閉鎖中の子供達の学びを止めないよう支援を行っています。100円のサポートで1冊の本を子供達に届ける事ができます。どうぞよろしくお願いします。