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フェス個人的ベストアクト

2011年のサマソニに参加して以来、ほぼ毎年サマソニかフジロックに通うようになった。
毎回行ってよかったとは思うけど、その中でも特に印象に残っているアクトをいくつか挙げていきたいと思います。

<井上陽水/フジロック(2012)>

まずフェスに出る珍しさと、コアなファン以外もいるという状況をしっかりと意識した、名曲だらけのセットリスト。「少年時代」の時に誰かが吹いたシャボン玉が空に舞っていく光景が忘れられない。ピースフルでノスタルジックで、気づけば号泣している自分がいた。完全に予想外だった。

<Mogwai/Sonic Mania(2014)>

Sonic Maniaの最後のアクトでやってたのを覚えてる。確か時間帯も午前3時とかで、若干虚ろになる頭で夢見心地で見てた。
ただ音量が本当に容赦ない。当然寝ている暇など1秒も無い。
自分、元々バンドマンだったので、アンプで出して良い音量とか何となくわかるんだけど、「これ以上はやばくね?」ってボリュームの2,3倍くらいの音量が鳴り響いてるイメージ。
ほんとにあれ機材の管理とかどうしてるんだろう。音量じゃなく音作りでのアレなんだろか。
破裂寸前の風船を抱えている感じ。
爆発するぞ…やばいぞやばいぞ…ウワーーーキターーっていう緊張感がずっと続いてる。なんか稚拙な文章になりましたねすみません。
ただ静と動、どちらのパートも本当に音が綺麗で素晴らしかった。

<Pixies/サマソニ(2014)>

この日はマリンのトリがQueen、マウンテンがKraftwerkとビッグネームなアクトが並ぶ中でのソニックトリ。
恐らく7割くらいの客はQueen見に行ってたと思う。そりゃそうよQueenだもの。俺もPixies来てなかったら間違いなくそっち見てたよ。
なので、この日のソニックステージにはマジのPixiesファンしかいなかったのか、会場の一体感が半端なかった。
ブラックの歌声も調子よくてシャウトもキレッキレ。セトリもザ・ベストみたいなセトリで最高。
個人的なことを言うと「Greens and Blues」のイントロが始まったとき、目の前にいたカップルらしき男女が嬉しそうに目を見合わせ、手をつないだ瞬間が忘れられない。本当に幸せな光景だった。

<Sigur Ros/フジロック2016>

以前から、「フジロックの夜のグリーンステージでシガーロスが見たい!」とずっと思っていたところにまさかの抜擢。
ちょうどシガーロスがやってるとき、霧雨が降ってて少し肌寒くて、行ったことはないけれど、まるでアイスランドの深い森に迷い込んだような感じだった。
想像していた通りロケーション、空気感がばっちり合っててライブ自体も素晴らしかった。ヨンシーの天使のような歌声がグリーンステージ奥の山々までこだまして、荘厳で感動的なライブだったなぁ。終演後、近くにいたカップルの女の子ではなく男の方が大泣きしてたのが何かよかった。なんでかは分からんけど。

<Travis/フジロック2016>

昼のグリーンステージに合う楽曲、これまた最高にピースフルな空間。本人たちの人柄のよさそうな感じや、ファンも質が良いんだろうか。それらが相まって会場全体が何となく暖かくウェルカムな雰囲気でパンパンになり、「Selfish Jeans」の時に予定調和ではなく、座ってた人もみんな立ち上がって手拍子を始めてたのが印象的だった。高揚感の塊のようなライブだった。

<Tortoise/フジロック2016>

ポストロック/マスロックの大御所だけあって抜群の安定感。んで演奏が半端なく巧い。楽曲の盛り上がりとか煽りとかでなく、演奏が上手すぎて超盛り上がってた。初めて見た光景。何よりTortoiseが生で見れたことの嬉しさよ。

<Explosions in the sky/フジロック2016>

MC無しで各曲がシームレスに繋がっていく。キラキラとした宝石のようなアルペジオから、耳を劈く轟音まで、その音のすべてによって、まるで一枚の絵画が描かれていく様を見ているような感覚。全ての曲が叙情的で美しくて、日が沈んでいく苗場の山を表現するようなオレンジと紫の照明も鮮やか。最終日の祭りが終わってしまう物悲しさも勝手に感じていた。
そして最後の「The Only Moment We Were Alone」で音と感情が最高潮に達していく。曲最後で轟音がピークに達した瞬間、バッとブレイクが入り、何のキメもなくライブが終了。その衝撃に一瞬会場が戸惑ったように静かになり、直後の爆発するような大歓声。
アンコールを期待するとかでなく、ただただ称賛を送りたいがために拍手が鳴りやまない光景を初めて見た。
これは文章で表現するのは限界がある。you tubeとかに映像が上がっていたはずなので見てみて欲しい。一生忘れることのない名アクト。

<Radiohead/サマソニ2016>

本当に新旧織り交ぜた大判振る舞いすぎるセトリ。
この年のレディヘのツアーは今までやらなかった曲をやっていることは前評判で聞いていたけど、聞きたい曲ほぼ全部やってくれた。
「2+2=5」の緊迫感、「Let down」の天に登るような多幸感、そして死ぬまでに一度は生で見たかった「Creep」。
Creepの時なんかは本当に会場の大合唱が凄すぎてトムの歌声が半分聞こえないくらいだった。
高揚感が大爆発して目の前がホワイトアウトしそうになった。
最後の曲が「Street Spirit」なのが個人的に嬉しかったな。しっとりと、でも確実に終わりを知らせる音。
なんか、「有名曲ばかりだった!最高!」っていう短絡的な感想では締めたくないんだけど、やっぱり長らくやってこなかった名曲達が生で聴けたのは本当に嬉しい。何より、それらの曲を単に懐メロとして再現するだけじゃなく、しっかりと今のレディへイズムに落とし込んでアップデートされてた感もあり素晴らしかった。

<The xx/フジロック2017>

まずグリーンステージの夕暮れ〜夜の雰囲気が合いすぎていたのと、彼らのフジロックでのステージの変遷(レッド〜ホワイト〜グリーンと順番にステージを大きくしていった)、またこの時期くらいから海外のフェスでもヘッドライナーに抜擢され始め、確かな音楽で堂々としていながらも、大きくなったバンドにまだ気持ちが追いついていない感じがどことなく人懐っこさを醸し出し、幻想的な雰囲気ながらもどこか暖かい空気感に包まれていた。
一曲目の「Intro」のギターの一音目が鳴った瞬間にグリーンステージが一瞬でThe xxの世界に持っていかれた感覚が忘れられない。

<Gorillaz/フジロック2017>

ダウナーな音楽が多い印象だったので、前のThe xxでしっかりと完成された雰囲気を引き継ぎ、そういったステージになるだろうと思っていたら良い意味で期待を裏切られるようなライブだった。
めちゃめちゃ有機的でエネルギッシュ。もちろん音楽はGorillazのそれなので音像が破綻しているわけじゃないんだけど、ステージを縦横無尽に駆け回り、挙句の果てに客席まで降りて行くデーモンの姿に感じた音楽とのアンバランスさ。でも不快なのではなく、しっかりと「良いライブ」として成り立っている。きっと根本的に人柄が良いんだろうなデーモンは。
Gorillazとしての来日の珍しさやバンドセットでは初のフェス出演ということもあり、自分自身の中での期待値も爆上がりしていた中で予想の斜め上を行く満足感に浸れたライブだった。

<Cocco/フジロック2017>

雨の降り始めたグリーンステージにぴったりの雰囲気。その環境で聞く「Raining」が本当に最高だった。
雨のアクトって賛否がかなり分かれる印象だけど、Coccoは間違いなく雨で良かったと思えるライブだった。
むしろ晴天だったらここまで印象に残ってなかった感すらある。
根本的に曲が良いんだろうけど、歌唱力も含め総合的に完成度の高いステージだった。

<Aphex Twin/フジロック2017>

まずAFXをヘッドライナーに持ってくるフジロックの器量とチャレンジ精神に脱帽。
まぁグラミー取ってるし世界的にはしっかりと評価の定まったアーティストなので全く分不相応では無いんだけれど、ステージはやっぱりチャレンジング。
正直かなり賛否両論分かれるライブだったと思う。客席の人の少なさもそれを物語っていたと感じる。
ただ本記事に挙げたということは勿論、自分自身にとっては最高すぎるアクトだったということ。
グリーンの特大音響&VJだからこそ再現できるAFXの音楽性、世界観。
AFX印のリミックス、マッシュアップはしっかりと鳴らしつつも、ちゃんと客を楽しませる精神も忘れない演出。
曲の激しさに呼応するように強くなる雨脚。
ステージから放出されるレーザーが雨に反射して宝石のように輝いて綺麗なのが憎らしいほど。
そしてステージ最後に魅せた、数分間に及ぶホロコースト・ノイズ。
カオスでワケの分からない夢だったけど、なんか楽しかったな。二度寝するからまた見れないかなと思うような夢を見せられた感じ。
所謂ダンスアクトは過去にもたくさんグリーンのヘッドライナーで演ってきたけど、そのどれとも替えの効かない唯一無二のアーティスト。
なんとなくだけど、この先フジロックのヘッドライナーでAFXを観れる機会は無い気がするので、本当に見れてよかったと思えるライブだった。

<My Bloody Valentine/ソニックマニア2018>

音にまつわる体験というよりかはマイブラという一つの「現象」を体感した感覚。
もはや輪郭を完全に失ったギターが地鳴りのような轟音を上げて鳴り響く。実際に地面も少し揺れている。
前述したMogwaiも轟音のそれではあったものの、ある程度クリーンな音もありヒリヒリとした緊張感があったがマイブラは常に120%の音が鳴り続けている。実際にもうこれは大きな音なのかどうかも分からなくなってくる。
こうして書くと音楽として破綻しているように思われるけど、そうした出音のそれは全てシューゲイザーとしてあるべき位置で鳴っている。ほとんど聞き取れないボーカルも含めて、他のジャンルではあり得ないバランス感もシューゲイザーなら「アリ」になってしまう。
そうしたジャンルの金字塔となったバンドが鳴らすからこそ説得力があった。
ライブ自体が良かったかどうかは、もはや評価するのは野暮な感じすらした。
ただ間違いなく体験して良かったと思えるライブだった。

2019年以降は環境の変化もあり夏フェスにしばらく参加していないので記述出来ないのが寂しいけれど、自分の中でのベストアクトを挙げてみた。
たまたま同じライブを見ていた人がいたら本当に嬉しいし、それはもう一晩中語り尽くしたい思いで一杯です。
コロナ禍で中断してしまったフェス界、今年からようやく、少しずつ元通りになっている感じはある。
どうか一年でも早く完全に元の世界に戻ることを祈っています。

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