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短編・掌編

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夏よ、こい恋

イヤホンから蝉の声が聴こえた。その瞬間体に夏が駆け巡る。混みあった電車の中が夏に彩られた。サラリーマンのスーツすら色調が濃くなった気がする。車内に入り込む朝日の眩しさも、車窓から見える田んぼの青さも、空の水色も。

でもそれは一瞬で終わりを告げた。急激に色を失っていく車内に私は落胆した。

夏は好きじゃない。電車は弱冷房車とか言って暑いし、体の至る所の毛が見えるのが気になるし、汗をかいてベタつくし

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