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歩道橋と僕

僕は歩道橋が好きだ。

小学生の頃、通学路に歩道橋があり、六年間お世話になった。
はじめての登校日も、大雨の日も、階段に雪が積もり真っ白だった日も、学校に行きたくなかった日も、思い出と共に毎日登った。

歩道橋を見るとそんなたくさんの思い出が甦るから好きなのかもしれない。

少し急な階段、剥がれた塗装、上から見える夕陽、歩道橋の下を通り過ぎるたくさんの車。

ありふれた日常の中に歩道橋はぽつんと立っている。

歩道橋を見ると僕は登りたくなる。

景色を楽しみにしながら僕は階段を登る。

一息ついて、顔をあげ景色を見る。
ありふれた景色だけど、いつもとは違って見える。

柵に腕を置きぼーっとする。

いまこの瞬間、この景色は僕だけのものだと独り占めしている気分になる。

目の前に広がる景色と過去の思い出に浸りながら、「さて、家に帰りますか」と呟き、反対側の階段へ向かう。

新たな思い出と共に僕は階段を降りる。

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