すべてを失ったバットマンVS.すべてを手に入れたジョーカー! 『バットマン:ジョーカー・ウォー』
1940年に誕生して以来、バットマンを執拗に狙い続ける“犯罪界の道化王子”ジョーカー。コミックスではもちろんのこと、『ダークナイト』など映画作品でもバットマンの宿敵として描かれる彼は、最も知名度の高いヴィランともいえるでしょう。
そんなジョーカーの誕生から80周年を迎える2020年に本国で刊行された、DCコミックスの一大イベント『バットマン:ジョーカー・ウォー』では、今までのバットマンとジョーカーの対決とは大きく異なる展開を迎えました。バットマンがいつも勝利し、ジョーカーが逃げおおせる。今まで描かれてきた、ある種“お決まり”の展開を持つ二人の戦いに何があったのか。そんな来週刊行を控える『バットマン:ジョーカー・ウォー』をご紹介いたします!
▲『バットマン:ジョーカー・ウォー』書影
今までとは立場が逆転したバットマンとジョーカー
普段の二人の対決は、資金や装備、バットファミリーやアルフレッド、ゴッサム市警といった家族・仲間を持つバットマンに、ジョーカーが策略を持って挑む流れが多かったのではないでしょうか。言ってしまえば、バットマンは常に有利な状況であったのです。それに対して、今回の『バットマン:ジョーカー・ウォー』ではその立場が逆転。前作『バットマン:ダーク・デザイン』で、ジョーカーはバットマンがブルース・ウェインとして所有していた財産や、開発していた装備をすべて奪い取ってしまいます。そして本作では、ゴッサムシティまでもがその手中に! 今やゴッサムシティは、ジョーカーに武器を与えられた道化師が闊歩し、ゴッサム市警をはじめ市政も機能が止まってしまった、今まで以上に恐ろしい犯罪都市となってしまったのです。
▲戦火に包まれるゴッサムシティ
また『ジョーカー・ウォー』に至るまでに、アルフレッドもゴードン本部長も失ったバットマンは、単独で戦火に飲まれるゴッサムシティを救わなくてはならないのです。すべてを失ったバットマンが、すべてを手に入れたジョーカーに挑む。いつもと違った二人の戦いから目が離せません。
バットマンの新しい相棒!? ハーレイ・クインの活躍
『ジョーカー・ウォー』には、もう一人の主人公といっても過言でないキャラクターがいます。それがジョーカーの過去の相棒であったハーレイ・クイン。彼女はジョーカーの凶行を今度こそ完全に止めるため、ジョーカーを止められる唯一の存在であるバットマンの命を何度も救います。
また、前作『バットマン:ダーク・デザイン』で因縁の相手となった、ジョーカーの新しい相棒パンチラインとの対決は必見です。かつてジョーカーに心酔したハーレイと、現在ジョーカーに心酔するパンチライン。まさに過去の自分のようなパンチラインに、ハーレイは打ち勝つことができるのでしょうか。
▲ハーレイとパンチラインの直接対決!
物語の最終局面では、ハーレイのある行動が今までとは全く違う結末を呼ぶことにも……?
亡きアルフレッドの幻覚と、本当の別れ
本作に入る前に、宿敵の一人ベインによって殺されてしまったバットマンの右腕アルフレッド。バットマンは彼の死に立ち会うことができず、心のどこかではアルフレッドの死を受け入れられずにいました。
そんな中、パンチラインによってジョーカーが開発した新たな毒に侵されてしまったバットマンは、その毒の効果によって既に死んだはずのアルフレッドの幻聴を耳にするようになります。
▲死んだはずのアルフレッドと会話するバットマン
生前と同じようにバットマンの呼びかけに応じ、無線によって戦いをサポートするアルフレッドの幻聴。そして戦いの最中、意識を失ったバットマンは亡くなったはずのアルフレッドと再会を果たすことに……。最後にアルフレッドは、バットマンに何を願うのでしょうか。
9月には『ジョーカー・ウォー:コラテラル・ダメージ』も刊行!
DCの一大イベントである本作は、他の作品を巻き込んだ“クロスオーバー”イベントとして刊行されました。そこでは、ジョーカー・ウォーの裏でジョーカーと戦っていた、バットマンの家族たちの活躍が描かれます。今回は日本オリジナル編集で、ジョーカー・ウォーに関連の深いエピソードを収録した『ジョーカー・ウォー:コラテラル・ダメージ』を全二巻で刊行。ナイトウィングやバットガール、レッドフードといったヒーローたちがそれぞれに繰り広げた激戦はまさに必見。この二冊でジョーカー・ウォーの全貌が明らかになります。
▲ジョーカー・ウォー三部作の色校です。
カバーの方も日本オリジナルで制作しました。こちらもぜひお楽しみください!