見出し画像

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』でMCUに初登場! アイアンハートの魅力に迫る

MCUの映画最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の予告編で、ついにその姿がちょっとだけ公開された期待の新キャラクター、アイアンハートことリリ・ウィリアムズ。彼女の物語はすでにドラマ化されることも決まっており、MCUファン要注目のキャラクターとなることは間違いないでしょう。この記事では、そんなアイアンハートのコミックでの歴史を簡単に紹介していきます!

文:傭兵ペンギン

220823_インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート
アイアンハートことリリ・ウィリアムズが活躍する
『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート』は好評発売中。
ブライアン・マイケル・ベンディス[作]、ステファノ・カセッリ[画]、吉川 悠[訳]

大物作家が手がける、期待の新キャラクター

 アイアンハートが初登場を果たしたのは2016年の『Invincible Iron Man』誌で、作者はライターのブライアン・マイケル・ベンディスとペンシラーのマイク・デオダート。ブライアン・マイケル・ベンディスといえば、マイルズ・モラレスやジェシカ・ジョーンズの生みの親であり、『ハウス・オブ・M』『シークレット・インベージョン』などのイベントを手掛けたベテラン作家です。

 さらにベンディスといえば、映画『アイアンマン』(2008年)から『アントマン』(2015年)の頃まで存在した、マーベル・クリエイティブ・コミッティというMCU作品にアドバイスをするための委員会の一員でもあり、コミックスだけでなく映像作品にもいろいろな形で影響を与えてきた人物でもあります。

15歳の天才少女

そんなベンディスによるストーリーで、リリ・ウィリアムズはマサチューセッツ工科大学に飛び級で入学している15歳の天才少女として初登場します。彼女は大学から拝借した資材でアイアンマンのようなアーマーを作り出し、それがトニー・スタークの目に留まったことで、スーパーヒーローになる手助けを受けるのでした。
 
マサチューセッツ工科大学といえばMCUではトニー・スタークの母校であり、ピーター・パーカーの進学先でもある学校。もしかすると、ドラマでもそのあたりの設定が活かされるのかもしれません。
 
当初のアーマーはいろんなパーツを組み合わせたという設定からか、頭だけはアイアンマンだけど、それ以外はトランスフォーマーみたいな雰囲気のロボットでした。果たしてこの形で映像化されるのでしょうか……?

リリ・ウィリアムズ作のアーマー

最初はトニーのサイドキック的な感じで活躍していくのかな……というノリだったのですが、予想外の展開に。実は当時トニー・スタークは(これもブライアン・マイケル・ベンディスが執筆した)イベント『シビル・ウォーII』の展開でキャプテン・マーベルと敵対しており、リリも一応トニー側に加わるのですが、後の戦いでトニー・スタークは意識不明となってしまうのでした。

アイアンハート誕生!

そして『シビル・ウォーII』の直後に1号から再始動した『Invincible Iron Man』誌はリリ・ウィリアムズが主人公となり、独力でヒーロー活動を始めていたところに、トニー・スタークの意識をコピーしたAI(トニー・スタークのホログラム映像付き)が送られてきて、そのAIの指導の元でアーマーを改良し、新ヒーロー「アイアンハート」として活動を開始するのでした。

トニー・スタークはリリをサポートすべく、
「自分が最も気に入っているもの」として、
(AI化した)自分自身を彼女に贈った

改良されたアーマーのデザインは直前までトニー・スタークが着ていたアーマーにそっくりで、配色も同じなので「アイアンマンの正当な後継者」という雰囲気が強いものでした。

アーマーに身を包んだリリ

こちらのストーリーはShoPro Booksから刊行された邦訳版『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート』に収録されています。そもそもなぜリリ・ウィリアムズはヒーローを目指したのか、アイアンハートの名前の由来などのストーリーが、バイオ忍者軍団との戦い(バイオ忍者軍団はトニー・スタークがリリと出会う直前に追っていた敵)と共に明らかになっていく展開なので、まずはこの1冊から読むことをオススメします!

AIのトニーが提案したヒーロー名を
即決で却下するリリ

若手ヒーローチームに参加

その後、歴史改変によってヒドラのリーダーとなっていたキャプテン・アメリカがアメリカの支配を目論む2017年のイベント『シークレット・エンパイア』の中で、リリはキャプテン・アメリカに対抗するヒーローチームの「アンダーグラウンド」に加わり、そこで若手ヒーローチームの「チャンピオンズ」と交流をしていきます(このあたりのストーリーはヴィレッジブックスから刊行された邦訳版『シークレット・エンパイア1』とShoPro Booksから刊行された『チャンピオンズ:フリーランサー・ライフスタイル』に収録)。

そのイベントの後、リリはチャンピオンズと共に行動を開始し、後に正式加入を果たしました(チームに正式加入する直前のストーリーはShoPro Booksから刊行された『アベンジャーズ&チャンピオンズ:ワールド・コライド』に収録)。

リリ加入後の『Champions』誌は、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などのコミックでも知られるジム・ザブがライターを一時期担当したこともあって、突然ファンタジー世界(ウィアード・ワールド)にいって冒険したりと、変わり種で面白い展開が続いていきます。邦訳版は今のところありませんが、『Champions』はアイアンハートの活躍を追いたい人は要チェックのシリーズです(単行本のタイトルは『Northern Lights』、『Weird War One』、『Beat the Devil』、『Give and Take』)。

単独シリーズがスタート

 そして2018年のイベント『インフィニティ・ウォーズ』の前段で、サノスにアーマーを破壊されてしまうものの、新たなアーマーを作り出し活動を続けます。そして、初めてそのヒーロー名を冠した単独シリーズ『Ironheart』誌が2018年からスタートしました。

 ライターはシカゴ大学で教育社会学の教授も務めるイヴ・L・ユーウィング(ちなみに同じくコミックスライターのアル・ユーウィングとは名字が一緒なだけで、関連なし)。先程紹介したジム・ザブの後任として『Champions』誌を担当したライターでもあります。
 
新アーマーはマゼンタと金色の組み合わせで、名前にも関連したハートが描かれ、アイアンマンの雰囲気は残しつつも独立した別のヒーローという雰囲気があるものとなっていました。MCU版では、リリとアイアンマンは出会っていなさそうだし、このデザインが採用されるのかも……?
 
また同シリーズではリリはワカンダに向かい、そこでティチャラの妹であるシュリと初めて出会って、協力してテン・リングスに立ち向かうことに。映画の予告編では二人は仲が良さそうでしたが、コミックでは出会った当初はぜんぜん反りが合わないという感じでした。果たして映画ではどういう繋がりで描かれるのか……?
 
ちなみに『Ironheart』誌は2020年、『Champions』誌は2021年でシリーズが終了しており、(アイアンマン関連のイベントに登場したものの)リリはレギュラーで登場するシリーズが今はない状況なので、これからの展開に期待したいところ。いつものマーベルのコミックの流れから言えば、きっと2023年に配信予定のドラマに合わせて何か動きがあると思います。
 
というわけでリリは、コミックではそこまでワカンダとは繋がりのないキャラクターである一方、トニー・スタークとは繋がりが強いキャラクターなのでした。それとは大きく違う設定になるであろうMCU版ではどのような人物になるのか、楽しみですね。ぜひ今のうちにコミックを読んであれこれ予想したりなど、いろんな方向からアイアンハートを楽しんでいきましょう!

傭兵ペンギン
ライター/翻訳者。映画、アメコミ、ゲーム関連の執筆、インタビューと翻訳を手掛ける。『ゴリアテ・ガールズ』(ComiXology刊)、『マーベル・エンサイクロペディア』などを翻訳。
@Sir_Motor

最後までお読みいただき、ありがとうございます。アカウントのフォローと「スキ」ボタンのクリックをぜひお願いいたします!