浅草演芸ホール上席 神田伯山主任興行

伯山先生の主任興行に行ってきました。noteを見返したら、1年前にも同じく上席の千穐楽に行っていたんですね。月日が経つのは本当に早いです。

毎度のことながら、朝から整理券の列に並びました。当日券の整理券で先頭を取れたのは地味に嬉しかったです笑

客席は二階席まで一杯。色々な寄席に行きますが、伯山先生の寄席は特に客層が広い。やはりテレビ、ラジオ、YouTubeの影響でしょうか。寄席の演芸に興味を持つ人たちが増えるのは、個人的に嬉しいです。

今回も元成金メンバーなどお馴染みの面々をはじめ、遊雀師匠、松鯉先生と顔付も自分の好みのものだったので、最後まで釘付けでした。

開口一番 神田梅之丞
伯山先生のお弟子さんです。山田真龍軒を途中まで務めていましたが、宮本武蔵の二刀流の構えや表情は師匠譲りといったところでしょうか。少し言葉に詰まるところはありましたが、よく通る声で堂々とやりきっていて、将来どんな講釈師になっていくのか楽しみです。

中トリ 神田松鯉 
松鯉先生は源平盛衰記から扇の的の一席。伯山先生の力強い語り方とは一味違い、一つ一つの語りに重みがありながらも、各所にくすぐりを入れて笑いを誘うところはさすが人間国宝の芸だと感じました。

三遊亭遊雀
看板のピンというネタをやっていました。何度も聴いているはずなのに、何でこんなに面白いんでしょうか笑 おそらく表情の豊かさ、間の使い方、前の出演者のネタの一部分を意表をついたところで繰り出す細かい技術などが凝縮されているのでしょう。もっとたくさんの人に知ってもらいたい…

神田伯山
マクラでは、いかに自分が末廣亭、浅草演芸ホールから搾取されているかと得意のぼやきからはじまりつつ下世話な話をしていて笑ってしまいましたが、中村仲蔵に入ると空気は一変。
この演目は、初代中村仲蔵が歌舞伎役者の最底辺の階級である稲荷町から、座頭まで成り上がっていく様子を仮名手本忠臣蔵の五段目の斧定九郎を演じる姿を中心に描く人情噺で伯山先生もトリネタとしてよくやっているイメージです。
歌舞伎役者の血筋でないながらも最高位の名代まで上り詰めた仲蔵が端役である五段目の斧定九郎の役をあてがわれて悔しがる様子を演じるところは、努力しても周りが足を引っ張ってなかなか報われない悲哀がすごく伝わって来て、心を打たれました。また、仮名手本忠臣蔵の初演でしくじったと思い込み落ち込む仲蔵が、通りすがりの二人組の会話を聞いて、自分のことを評価してくれている人がいることに気づき、奮起する場面も感動的でした。
伯山先生はラジオで度々歌舞伎を観に行った話をされているのですが、実際に観て感じたことを吸収して取り入れているからなのか、リアリティが増している気がしました。

自分は神田松之丞時代にラジオをきっかけに先生のことを知り、好きになりました。真打昇進と名跡伯山を襲名してまだ数年ですが、ますます芸に磨きがかかっているような気がします。伯山先生のこれからの活躍をできる限り見続けたいと思いました。



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