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今アメリカで何が起きているのか

今週のWEEKLY OCHIAI まとめと感想です。


今アメリカで何が起きているのか。


5/25にジョージフロイドさんが警察に首を膝で押さえつけられ殺害されるという極めて残虐な事件が起きました。

Black lives matter「 黒人の命が大切だ」という言葉を掲げて50州全体で抗議デモが起きています。
今回の事件を通して、人種差別には根深い歴史があるということを学びました。

日本は島国で人種という概念がない方がほとんどですよね。私も今回の事件を耳にしても特に興味もなかったというのが正直な感想です。
ある意味恵まれてはおりますが、世界から見たら少し異常とも取れるかもしれません。

事件から二週間経っておりますが、全ての州、800都市でデモは収まる気配はありません。


歴史上デモはこういったタイミングで起こってきましたがこれまでのものとの違いを理解する必要があります。

まず今回は個人レベルでの動きがあるということ。50人くらいの少数でも集まって毎日デモを行いに出ていると言います。
今まではまとまった集団となって限定的な地域でデモが行われてきたのが普通でした。


背景にはソーシャルメディアを中心としたネット社会の情報の拡散力にあります。


Twitter、Instagram等を使って連絡、拡散をして「今日は何時にどこでデモを行う」など取り合うそうです。

新型コロナウイルス真っ只中のため、若い世代が主に先頭に立っているようです。しかしながら全世代が様々な形で参加しています。



彼らが求めていることは一体何?


一つ言えることは

「警察予算を減額してくれ」

ということです。

警察予算は1977年からおよそ3倍に膨らんでいます。そのことから「警察に力を持たせすぎている」との市民からの不満が募り、結果として不信感へとつながっています。

その予算を減らし、ヘルスケアなどを中心とした社会にとって然るべき問題にもっと予算を回すべきという主張です。

アメリカの警察は潤沢な予算を元に身体中、完全武装をしており、もはや軍隊みたいなものだと言います。

ここで大事なポイントがあります。

それは警察という括りでも全体論なのか、あるいは一部の警察だけなのか。


今回殺害をした警察も過去に何度か同じ類での事件を起こしています。もちろん彼のような人間は少数派だと言えます。真っ当な仕事をしている警察官の方が多いでしょう。今回の事件があったからといって警察そのものを否定するのは間違いでしょうか。

アメリカの保守的な土地に行くと警察、消防隊等への尊敬は依然として大きいようです。銃社会での彼らの活躍は市民を守ってくれる存在という認識もなのです。こういった人たちが投票権のある国民の割合は多数なのです。


政治的な話にはなりますが、警察全体を悪くいうとそれだけそういった人の批判が多くなるのは避けられません。全体で考えると警察を悪くいう発言はデメリットの方が大きいでしょう。今回は残虐で動画もある。感情を駆り立てる。


これまでと違い、デモに参加する人が今回は多くなっているそうです。


今はほぼ全ての人がスマートフォンを持ち、動画を撮れるため誰もが記者になれる時代です。情報の拡散力も桁違いです。そういった中、警察も言い訳ができなくなってきました。上手く責任逃れをすることができなくなっているのです。

それにより根深い問題がより浮き彫りになりました。


全米で見ると犯罪は減っています。
しかし、警察から黒人への暴力が減っていません。

警察という組織の問題


現在、警察は断片化しており、地域警察は1万8000にもなり、統率が取れていないと言います。
それゆえに不透明となり、組織の中の「腐ったリンゴ」を表に出さない法律もあるそうです。本来ならそういった人間は取り除くべきです。
警察が起こした射殺事件が1000あるうち、裁判になったのは77件、うち殺人犯となったのは26だけだそうです。警察が銃を打つことは正統事由としてとして判断されるケースが多く、これの数は少なすぎると言います。



共産党からすれば警察が強くなったから犯罪が減ったという主張です。
民主党は全く逆に立場でトランプ政権のせいで警察の舵取りがうまくできていないと言います。
共和党の議員たちはブラックライブスマターを口に出せない。その言葉は民主党のアイコンであり、まるで言葉を借りるようなことに見えてしまうからです。
これをもって次の選挙がどういう結果になるのか?現時点では誰も答えを出せません。



黒人と白人で警察への印象は全くもって違うようです。黒人の方へのインタビューで「警察は自分を守ってくれるか」という質問に対し、と100%「No」と回答したようです。


実際、黒人だからといって疑われたり、何時間も拘束されたりといった経験をした人が大半ということなのでしょう。
警察によって射殺された人数も雲泥の差が出ているというデータもあります。


これは医療の現場でも起きています。人種によって診断から治療までの時間に開きがあります。


論点整理


デモ隊の目的は?
警察の予算削減?本当に?
もっと根本的な話なのでは?
何らかのルール設定を望んでいる?
怒りの感情はどうなる?


このデモのエネルギーはどこにいくのでしょうか?
最大公約数はどこにあるのでしょうか。


その答えは一つでは無さそうです。


これは下からの社会運動なのでゴールはフワッとしているという見方があります。
ただ怒っている人もいれば、便乗して略奪行為をする人もいる、はたまた軍の投入すらも考えるトランプへの対応批判とか。みんなの思いはバラバラです。


黒人の方は生きていくことで意識することがあるそうです。白人を怯えさせないようにする。自分は脅威じゃ無いよという。
そういう気持ちで黒人は生きている。
身を守るための防衛手段なのです。慢性的な精神ストレスもかなりあるということも容易に想像できます。


人種差別の背後に隠れる資本主義による経済格差


ここで落合さんが一石を投じます。

これは貧困による格差とも言えるのではないか。
貧困を生み出す資本主義社会が先か?それとも人種差別が先か?
人種のみに本質があるとは切れないのではないか?



人種差別は紛れもない原罪。遥か昔からあった。
しかしながら資本主義も混ざり、ごちゃごちゃになっているということもまた事実。


人種問題をお題にすると話が大きくなりすぎて一向に前に進まないのが事実です。
だから警察というポイントに絞っていると言えます。
警察が変われば他も変わる足がかりになるかもしれない。
ステップバイステップでこの問題を解決していくしかないでしょう。


今回の放送を見て


人種差別には日本人の私には対岸の火事のように思えました。しかしながら400年以上の根深い歴史があり、日本はあまりにもこれに無関心であることを今回痛感しました。

事件の動画も上がっています。
それも見た瞬間、涙があふれました。

なんて残虐なことをするのだろう。苦しみながら息を引き取ってもまだ膝をどかさない。正気の沙汰ではありません。

これに関心を持たないことは罪のようにも思えてきます。

どうして人間は差別をしてしまう生き物なのだろう。

どうして人を傷つける人が存在するのだろう。

ある意味、人間がここまで進化できたのもそういった他人を傷つけてでも生きていく本能があったからこそとも言えます。

でもきっと人は変われると思います。
動物の中で唯一論理的な思考ができ、理性があるからです。

人間は愚かですが、唯一、変われる存在でもあると思います。

日本も移民を受け入れることによってより様々な人種が来るかもしれません。その時のためにも人種問題に関心を持っておくべきなのかもしれません。



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