見出し画像

誰かを傷つけているかもしれない笑いは後になってしこりを感じる


ホームセンターの一角に
その場にそぐわない
まるでアパレルショップのような
イマドキバッグがディスプレイされていた

わ、おもしろ〜と
らしくない風景に興奮して
数日後またその場を通ると
今度は上半身だけのマネキンが加わっていた

その途端、私は吹き出しそうになる
なぜならそのマネキンが着ていたのは
ミントグリーン色のポロシャツと
もう一体は
ラベンダーの色のポロシャツだったから

そのマネキンの首から
例のおしゃれなバッグが
下げられていて
なんともシュールな光景だった

なぜポロシャツを選んだ

そしてなぜその色

私にとって
そのおしゃれバッグは
ティーン向けの印象だったので
明らかにその対象外となる
まるで介護職員のスタッフのような格好が
バッグとのギャップを際立たせ、
私は一人で
すっかりツボにハマってしまった

後で誰かに話したくなり
パシャリとスマホにその光景を収める

そして数日後、
思い出したように
同僚にその話をし、
「ポロシャツて!だっさ!なぜそれを選んだし!
まじウケるよね!
私たち、他人の売り場にまでケチつけてるし!」と
二人でゲラゲラと笑い転げてしまった

その時は大爆笑で
涙まで出てしまったものだが、
帰り際、そのことを思い出して
なんだか胸がちくりとした

さっきはあんなに笑って楽しかったはずなのに
なんだろうこの胸の違和感

そっか、
あの売り場を
なんらかの意図を持って
作った人がいるってことに
私はすっかり忘れていた

誰かわからないが
その人のことを見下していた
まるで自分がセンスがあると言わんばかりに

もしかしたら
忙しい合間にとりあえずで着せたのかもしれない
もしかしたら
そういう層をターゲットに考えたのかもしれない
もしかしたら

そういう想像力が
私には欠けていたなあと
胸のモヤモヤを解いていく

自分だったら
自分がしたことを
まるでバカにされたように言われると
悲しいし、ムッとするだろう

その光景を
面白いと感じた心は事実だけど
それを
なんとデリカシーのない言葉で表したんだろう

後になって気づく
悪意はなかったんです、と

でも誰にも弁明することはなく
こうしてお風呂で思い出し、
一旦底まで
落ち込んでいる

誰かが傷つくかもしれない
そんな笑いは
とても後味が悪いものだ

想像力を今一度、はたらかせよう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?