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犬山という場所② 食べ歩き

あらすじ
犬山城の最終入場時間が迫る中、僕たちは立ち並ぶグルメの店に引き寄せられていました。

最初に食べたのはこちら、飛騨牛タンの串です。
頼んだ後にその場で焼いてくださり、見た目だけでも涎が滴る破壊力です。肉の部位で最も美味しいのがタンであると、初めてタンを食べた頃から思っているのがわたくしです。

その後に食べたのが、飛騨牛の串です。

このポスターの中で♡を四つ探せ、という目標に一生懸命になっていたため、飛騨牛の串の写真を撮ることはすっかり忘れていましたが、サイコロ状の飛騨牛が非常に噛み応えがあり、3等級以上の黒毛和牛の実力を感じ取りました。

念の為言っておきますが、犬山は愛知の土地名で、飛騨牛は岐阜のブランドです。それなのに、まるで愛知のもののように、飛騨牛を扱っているお店が並んでいる事実は認めなければなりません。どんな理由があるのかは知りませんが、状況証拠で判断するに、愛知県が岐阜県のことを植民地だと考えているのでしょう。とても美味しかったです。

こんな可愛らしい飲むゼリーも売っていました。金魚が清涼な水の中で泳いでいますね。写真のように犬山城をバックにすると、何だか涼しくて居心地の良い和を感じることができて穏やかな気持ちになります。ソーダゼリーになっていて味も美味しいのですが、金魚を吸うにはストローの口の大きさが足りず、最終的には金魚の体をストローで粉砕してから飲むしかなくなるので、金魚に愛着を持ちすぎるのは非常に危険です。

アクセスだけに着目すれば、伊勢神宮よりもよっぽど行きやすいのに……やはりネームバリューか。

街並みも、売っているものも、どこか伊勢神宮のおかげ横丁に似ています。僕たちはおかげ横丁に何度も足を運んで食べ歩きデートをしていたので、懐かしい雰囲気に心を和ませました。違う点は、飛騨牛か松阪牛かの違いと、やはり込み具合でしょうか。犬山城は天下の伊勢神宮よりかは知名度が低いからか、天気の良い日曜日でありながら、通路が人で埋め尽くされるということはなく、快適に食べ歩きをすることができました。僕たちの到着時刻が遅かっただけなのかもしれませんがね。

さて、他にも団子を食べたり、やたら甲高い声で吠える犬を見たりしながら城下町を歩き終えると、いよいよ厳かな空気が流れてきます。
犬山城は当然城ですから、小高い丘にそびえています。犬山城に行く前にいくつかの神社があって、それらを抜けて犬山城へと行くという道程です。


全ての神社を巡っている時間など当然ないので、僕たちは三光稲荷神社へと行きました。入った途端、桃色だらけで驚きました。縁結びの神社だそうで、縁結びと聞いたら、安直な日本人は恋愛の縁ばかりを想像しますから、こういう、いかにも恋愛の代表と言わんばかりの明るい神社になったのでしょう。ピンク色の絵馬や、赤い鳥居、お稲荷さんの足元に集まっている小さなハートが、鼠色の神社を恋愛色に染め上げています。

ちなみにこの小さなハートは、恋愛おみくじです。五百円で買うことができ、ハートの中におみくじが入っています。誰が始めたのかはしりませんが、そのケースであるハートに、ペンで甘ったるい言葉を書いてあちらこちらに置くことがお馴染みの行動となっている模様です。
なんなんだこのへんてこりんで俗物的な文化は、と思いつつ、僕たちは誰よりも甘ったるい本音を書き記し、お稲荷さんの足元に置いておきました。
そしておみくじは大吉です。朝陽が昇るような大運勢が待っているとのことで、これからの二人生活を後押ししてくれるようなおみくじで歓喜です。彼女が大喜びしていて、その様子を見ているだけで多幸感に包まれていきます。
俗物には一通り罵詈雑言を浴びせてから、ちゃっかりとそれに乗るのが僕たちのスタイルです。

さて、いよいよ犬山城へと足を運び始めた僕たちですが、ダラダラと寄り道に寄り道を重ねていたのは確実です。
果たして犬山城の最終入場時刻に間に合うのでしょうか。

続く

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