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そういえば、「お金」ってなんだっけ…?―お金の誕生から会社、税金までをシンプルに解説!―

私たちが毎日触れて、稼いで、使う「お金」
けれど、よく考えてみると、そんなに大事なお金について考えてこなかった…
そんな人は多いかと思います。そんな人に向けて、「そもそも」から、シンプルに説明していきます!


・そもそも「お金」とは?
・銀行って何?
・株、保険、税金ってなんで必要?



・そもそも「お金」とは?

お金が誕生する前。
人々は、何かを手に入れるには、2つの手段しかありませんでした。

1つは、「自分で探す」
木材が必要なら、森に行って切り倒す。
肉が必要なら、ウサギなり羊なりを見つける。
それぞれ準備も考えると、何時間もかかるだろうし、そもそも、見つけることができない、得るためのスキルがない、という場合もあります。
今、私たちが、小麦の生産方法すら知らずにラーメンを食べたり、建築に必要な数学の勉強やガラスの生産方法を知らずに頑丈な家に住めるのとは、大違いですね。

2つ目は、「もらう」
家族や友人など、親しい人は、見返りもなく物をくれるかもしれません。
しかし、それ以外の人から何かをもらうには交換が必要です。
そこで、人は、たいてい物々交換をしてきました。
魚と肉の交換などだけでなく、時には自分の家畜や、子供すら明け渡したり、何かしらのサービスと交換することもあったでしょう。

「もらう」という方法は便利です。
しかし、欲しいものを持っている人と会えるか、そして、そもそも会ったとしても交換条件が合うのかはわかりません。


そこで、人々は、金など、価値のあるものを「交換専用の道具」として、使い始めます。

「お金」の登場です。

すると、その場での必要性にかかわらず、そして、一方的に欲しい場合でさえ、お金を渡せば手に入れられます。
これは、後に歴史を揺るがすほどの画期的な発明でした。


・銀行って何?

お金が流通すると、たくさんのお金を自分で持っておくのは危ない、めんどうだと思う人が出てきます。

そこで、お金持ちにお金を預ける人が増えていきました。お金持ちなら、預けても信頼できると思ったからです。

銀行のはじまりです。

すると、銀行は、お金の足りない人に貸して、その代わりに利子、つまり金利を課すようになりました。

今でも、多くの人が銀行にお金を預ける一方、個人での大きな出費の際、あるいは、会社の出費など、まとまった大きなお金が必要な場合に、銀行から借りることはありますね。


・株、保険、税金ってなんで必要?

お金が広がるにつれて、交換できるサービスも増えていき、非常に便利になります。

そして、また新たな発明も生まれました。
かつて、航海は、ハイリスク・ハイリターンでした。
造船、船員の確保、航海の準備などにはとてつもない費用がかかるのに、沈没してしまえばすべてを失います。
その一方で、成功して、新しい資源や香辛料などを確保すれば、大儲けができました。

ただし、リスクがあまりにも大きい。ということで、多くの人から資金をつのることになりました。
そして、利益が出たら、出資した全員で山分けということです。

株式と株式会社のはじまりです。

こうして、「今すぐには利益を上げなくても、長期的には成功するかもしれない」といった事業にも手が出せるようになっていきました。

現在の「株式投資」だったり、それを専門家に依頼する「投資信託」だったりにつながるわけですね。

株式は、リスク分散という意図があったわけですね。
リスクに備えるという点では、「保険」もお金にまつわる重要な発明です。

大きな事故や病気など、たとえ確率は低くても、いつ誰が被害にあうかわからないことは色々とあります。

たとえば、ある日、重い病の発症に気づいたとします。しかし、治療に莫大な費用がかかるものの、お金がない場合、治療が受けられません。
実際、保険に加入していない人の多いアメリカでは、治療ができない人が大勢います。

そこで、大きなリスクのあるものに備えて、日ごろから大勢で少しずつ貯蓄する。それが、保険です。

特に、日本の社会保険は、治療費が3割負担でさらに自己負担額には上限があり、保険料が会社と折半で、扶養家族の保険料は免除など、とてもよくできている保険の例ですね。

では、税金とは何か?
いろいろと悪者扱いされやすい税金ですが、批判するのは、まずはその実態についてしっかりと勉強してからですね。
これも便利な制度です。

かつては自分の身は自分で守るしかありませんでした。
強盗があったり、暴力に遭ったり、火事が起きたりしても、自分や周囲の人でどうにかするしかなかったわけです。
けれど、そうした物騒なことには、みんなで協力して準備・対応をしようということになり、集団で、集金をすることになりました。

これが今で言う「税金」です。

そうして、個人では難しいこと―道路の整備から防犯まで―を頼む際の資金になったわけです。

そして、その使い道について学んで考える専門家がいたほうが、効果的だということで、生まれたのが政治家というお仕事です。

税金がなければ、道路を使用するにも、犯罪者を捕まえてもらうのにも、何万とか何百万とかかかることでしょう。


はたして、お金は人間の生活を豊かにしたのか?

では、「お金の発明によって、我々はより優れた社会をつくることに成功した!」
はたして、そのように言えるのでしょうか。

お金は、元々の物々交換を円滑にするという目的から、広まりながら派生していくことで、用途が広くなり、非常に複雑になりました。

元々は、個人間の取引だったのが、株式会社として出資を募り、その仲介やサポートを銀行や証券会社が担うようになりました。
それぞれに人が必要になると、多くの人を雇うようになり、株式も保険も税金もリスク回避を大きな目的の1つとして機能しました。

テクノロジーの発展と、経済の拡大という組み合わせの末に、お金で「交換」できるものはどんどん増えました。

今では多くの人が、「靴が欲しい」「安全が欲しい」といった、本来要求するものを忘れて、「お金が欲しい」と考えるようになり、収入の多さは成功の指標と認識する人が多くなりました。

それは、飽くなく物欲と金銭欲、そしてお金という空想に基づく、不平等と優劣を生むことになりました。

現在のアメリカの大企業のCEOは、世界中に名をはせ、毎日高級な料理を口にして、自家用ジェットを飛ばしている一方で、
ブルンジやネパールのスラム街に住むストリートチルドレンやホームレスの人は、暴力や病気や飢餓などによる死の危険と常に隣り合わせで、あっけなく死亡しています。

ただし、お金がない世界は、より良い世界なのか? あるいは、金銭的に平等な世界がより良い世界なのか?

そうとは言い切れません。たとえば、お金のない時代では、医学者を生み出すほどの余力が社会に生まれません。すると、病気への対処ができないため、生まれて間もない子供が多く死んでいました。
また、金銭的に平等を目指した共産主義が、貧しく不安定な社会を生み出したことは20世紀に証明されました。

株式の誕生、銀行の誕生、保険の誕生、税金の誕生、そもそもお金の誕生は、私たち人間の暮らしを豊かにしたのか、それとも、貧しくしたのか。

それは、私たちが考えるべき大きなテーマだと思います。




【筆者の詳細について】

―加藤将馬:著者、講演家、幸福学&ビッグヒストリー研究家

・加藤将馬のウェブサイトはこちら

【著書の紹介】

宇宙と人類、138億年ものがたり ―ビッグヒストリーで語る 宇宙のはじまりから人間の未来―

紙の書籍:1260円→電子書籍版:0円(変更の可能性あり)


本書は、宇宙と人類の歩みを考察する一冊です。
「宇宙が生まれた頃はどのような姿だったのか?」「なぜ19万年間も狩りをしていた人間は、今では宇宙進出を始めているのか?」「気候変動やAIなど、これからの人間社会はどうなってしまうのか?」といった大きな問いについて説明します。
 そして、本書の最大のテーマは、「人間は文明を発達させて地球の覇者となったのにもかかわらず、なぜ世界には数多くの自殺者がいて、不幸が消えていないのか」というものです。
 138億年にわたる壮大な物語を堪能していただくと同時に、人間社会のあり方にまで思考を巡らせてもらうことを本書では目的としています。そして、私がなぜ本書を書き、ビッグヒストリーを通じて何を伝えたいのか。ぜひ、最後まで見届けていただけると幸いです。

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