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来場者の困惑と絶望と諦め @リフォーム産業フェア職人育成ブース

東京ビックサイトでのリフォーム産業フェア二日間のブース出展が終わりました。今回私は、建築業界の職人不足問題を根本的に解決する、志と技能を教えながら高校卒業資格を取れる学校の設立構想をひっさげて、2023年度にサポート校として協業する工事会社を募るためにブースの出展を行いました。全国から数多くの旧知の経営者が私たちのブースに立ち寄ってくださり、その方々には多くの共感を集めることができたと思います。職人育成高校の全国展開への足がかりを少しつかめたような気がしています。

困惑と落胆、ちょっとした絶望

しかし、その反面、職人育成を本気で考える事業所、経営者がまだまだ少なく、職人不足問題に危機感を感じていると言いながらも自分たちが取り組まなくては誰かがやってくれるのではないか、との甘い期待を持って現状維持を続けていこうとされている雰囲気が感じられ、残念な思いも少なからずありました。大体、展示会にブースを出展して通りがかりの来場者に話を聞いてもらう、説明を行う人はにこやかに満面の笑みを讃えながら丁寧な対応をするものと相場が決まっており、それが当然だと思われています。ところが、私の場合は、建築業者さんですか?の問いから始まり、職人育成されてますか?職人不足に問題意識はありますか?本気で取り組むつもりはありますか?とまるで詰問するような厳しめの口調で話をするので結構な割合で引かれてしまいます。(笑)
その上で興味があると答えられた人にだけ職人不足解消に向けてのロジックと学校のスキームを説明するのですが、多くの人に見られたのは困惑と落胆、そしてちょっとした絶望です。私にとっては当たり前のこと積み重ねを伝えただけですが、当たり前のことを行うのは本当に難しいことなのだと改めて感じさせられました。

伝えるのは厳し過ぎる現実

私たちのブースの壁に大きく書いてある職員育成の高校設立と、職人不足問題解決の文言を見て、ひょっとしたら簡単に若手の職人を紹介してもらえる、もしくは育成してもらえるのではないかと淡い期待を持って立ち寄られた人に私が伝えたのは、多分全く予想だにしていなかったことだと思います。それは、職人になりたい若者はいません。また、もし職人になりたいと思ってもまともに就職できる事業所がありません。よしんば職人として正式に就職できたとしても、事業所に職人を教育、育成するスキームがありません。おっさんもしくはじいさんにくっつけて現場に放り込んでおくだけです。そして、未来を標榜するキャリアプランもありません。だから若者は職人にならないし、なったとしても離職してしまうのです。との厳しい現実です。

若者には職業選択の自由がある。

本当に若い職人を育てようと思われるのなら、まず初めに完全法適合の正規雇用の制度整備を行う必要があります。それと同時に、雇用したい若者を生涯面倒を見る覚悟で、退職するまで豊かな暮らしが続けられるキャリアプランを組み立てる必要もあります。1人前の職人にまで育てたからといって後は好きにしろでは、加齢とともに現場でのパフォーマンスは落ちて行き、見習いの頃の給料に戻ってしまうのがこれまでの職人の世界で、これでは職人を目指す若者に夢も希望も与えられません。そして、若者に対する責任を取れるように持続可能なビジネスモデルの構築が不可欠です。そのためには地域社会に貢献し、社会から必要とされる事業所にならなければなりません。私たちはそれを未来創造企業の認定と言う形で見える化しています。これらの全てのハードルを乗り換えた事業者のみ、一緒に手を携えて職人育成の学校を運営していこうと提携事業者を募っているのです。それが、職業選択の自由を手にした若者たちに私たちが示せる当たり前すぎる誠意であり、オファーです。

アンテナの高さと資本力の残念な関係

簡単に若い職人を雇用できる仕組みがあるのかと期待されて我々のブースを訪れられた方は上述の私の説明を聞いて、こんなにも面倒で複雑で高いハードルを越えなければ若者に来てもらえる事業所になれないのかと困惑の色が隠せませんでした。そんな方々はそれ以上深い話を聞くまでなく諦めてブースを離れられていきましたが、その中でも数人は、なるほどと私が提示した当たり前のロジックに納得をされ、詳しい事業説明会に参加したいとお申し出いただきました。そして、それらの方々は残念ながら建築業界の人なら聞けば誰でもその名を知っているような、株式上場まではしていないにしてもそれに近い位規模を拡大されている大手事業所の執行役員や取締役の方ばかりでした。本来、職人育成に取り組む役割を担っているはずの地域密着の事業者ではなく、資本力のある大手事業所の方が本質に気づかれ、手を打とうとされてるのをひしひしと感じた次第です。これは小さな会社が淘汰され大手に吸収されていく理由なのかもしれません。

本気で職人育成に取り組む経営者を募っています。

実際、私は日本最大手の住宅設備機器メーカーの職人育成の研修にも携わらせてもらっています。職人の社会的地位の向上を志している以上、事業所の規模や形態によって研修先を選別するつもりはさらさらないのですが、どこかで残念な思いが残っています。それはやはり、建築事業は地場産業であるべきで、地域に根を張った事業者が持続可能な事業所の要件の1つとして職人育成に取り組んでもらいたいとの思いです。今回のリフォーム産業フェアではそんなに多くの地域企業然とした工事店の経営者とは話す事は叶いませんでしたが、8月からは毎週月曜日に我々の社会課題解決プロジェクトの事業説明会を継続的に行うことになっています。志を確立させる通信制高校の2024年の全国展開に向けて、地道な啓蒙活動を続けていきたいと思っています。少しでもご興味がある方はお気軽に以下のフォームから申し込みをいただければと思います。ただ、定員に限りがあり、既に定員オーバーになっている日も多くありますので、日程の調整をいただく必要があるのはご承知おきください。建築業界だけでなく、日本のインフラを守り、レジリエンスな国家を目指す上で家かすことができない職人の育成、根本的な問題解決のアプローチをご一緒されることを大に募っています。

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申し込みフォームをこちらから、希望の日時を記入の上送信してください。

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